FDA諮問委、Flibanserin の承認を拒絶

 18日、米FDAの生殖保健薬諮問委員会(Reproductive Health Drugs Advisory Committee)が開催され、注目のHSDD(hypoactive sexual desire disorder :性的欲求低下障害)の治療(改善?)薬のFlibanserin(フリバンセリン、商品名 Girosa)についての審議が行われました。

June 18, 2010: Reproductive Health Drugs Advisory Committee Meeting Announcement
http://www.fda.gov/AdvisoryCommittees/Calendar/ucm210886.htm

Briefing Information for the June 18, 2010 Meeting of the Advisory Committee for Reproductive Health Drugs(→リンク

 審議のあと、委員による評決が行なわれ、「Flibanserinの有効性が証明できない」が9対2、「利益がリスクを上回ることが証明できない」が11対0で、諮問委員会としてFlibanserin の承認は推奨できないとの結論となりました。

 これは、有効性についてのエビデンスがFDAや委員を納得させるだけのデータがなかったこと、また臨床試験において、抑うつ・めまい感・吐き気・疲労などの副作用により15%の人が脱落した(プラセボ群では7%)などが影響したようです。

 ヒアリングでは、「性欲の低下は病気ではない」「会社は金儲けのために病気を作り出している」といった意見も飛び出したとのことで、HSDDを病気としてどうとらえるかということも今後議論となりそうです。

 おそらく今後も臨床試験が継続され、再申請されるのではないかと思いますが、元々抗うつ薬として開発がされたということを考えると、ハードルは高そうです。

関連情報:TOPICS 2010.05.25 HSDD治療薬flibanserin、FDA諮問委で審議へ

参考:
FDA Panel Votes Down Libido-Boosting Drug for Women
(Medpage TODAY 2010.06.18)
http://www.medpagetoday.com/ProductAlert/Prescriptions/20759
‘Female Viagra’ Gets Thumbs Down From FDA Panel
(ABC NEWS 2010.06.19)
http://abcnews.go.com/Health/Wellness/female-viagra-thumbs-fda-panel/story?id=10955762


2010年06月19日 10:43 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    AFP通信が日本向けの記事を配信しています

    「女性版バイアグラ」、米FDA諮問委が承認に反対
    (AFP BB NEWS 2009.06.19)
    http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2736504/5895792

  2. アポネット 小嶋

    独ベーリンガー・インゲルハイム社は10月8日、Flibanserinの開発中止を発表しています。

    Following regulatory feedback Boehringer Ingelheim decides to discontinue flibanserin development
    (Boehringer Ingelheim Press Release 2010.10.8)

    同社では、改めて有用性を強調しつつも、がんや糖尿病などの分野に研究を集中するとして開発をやめることにしたようです。