4人に1人のかかりつけ医がネット購入医薬品の健康被害に遭遇(英国)

 日本では一般用医薬品の問題だけが取り上げられている医薬品のインターネット販売ですが、ネットで検索をかけると通常医師の処方せんが必要な医薬品や日本では未承認の抗うつ薬や肥満治療薬についても、個人輸入の形ではありますが販売されていことは皆さんもご存じの通りです。

 海外ではこういった処方せん医薬品もインターネットを通じて買うことができる国が少なくありませんが、英国でこのほどGP(General Practioner、日本の開業医に相当、423人が回答)に対して行われた調査によれば、GPの25%がネットで購入した医薬品でおきた有害事象(adverse reaction)に遭遇、また7%が遭遇したかもしれないと答え、回答した85%のGPがオンラインファーマシーの規制強化を行うべきできだとしています。(日本の現状はどうなのでしょうか?)

 英国王立薬剤師会によれば、、インターネットを通じて200万人が医薬品を購入しているとし、処方せん医薬品を処方せんなしで購入することの危険性や、ネットで医薬品を購入する際は会が認証する薬局(Internet Pharmacy Logo が記されているサイト)を利用することを呼びかけています。

SOCIETY URGES CAUTION WHEN BUYING MEDICINES ONLINE
 (英国王立薬剤師会プレスリリース2009.4.15)
 http://www.rpsgb.org/pdfs/pr090416.pdf

 一方、英国王立薬剤師会では、非合法のオンライン薬局などから購入する可能性がある偽薬(Counterfeit Medicines)対策として、このほど一般向けのリーフレットを60万部作成し、卸を通じて50部づつ配布を行うそうです。また、医療関係者向けのガイダンスも英国医薬品庁などと共同で作成しています。(TOPICS2009.1.16コメントも参考を)

PHARMACIES URGED TO HELP RAISE AWARENESS OF FAKE MEDICATION TO PATIENTS(英国王立薬剤師会プレスリリース2009.4.15)
 http://www.rpsgb.org/pdfs/pr090415.pdf

Counterfeit Medicines Advice for Healthcare Professionals
 Guidance for Pharmacists and Dispensing Doctors
 http://www.rpsgb.org/pdfs/counterfeitmedsguid.pdf

 日本では一般用医薬品の議論に隠れてしまっていますが、一般用医薬品のネット販売がもし容認されれば、薬局を名乗った(もっともリスクの低い医薬品は登録販売業でも販売可能なわけだから、一般の商店でも販売できることになりますが)非合法のサイトが紛れ込む可能性が懸念されます。

 もし、ネット販売のあり方について議論を行うのであれば、一般用医薬品だけではなく、処方せん医薬品や未承認医薬品が購入できるサイトの現状、危険性や問題点についても、きちんと議論を行うべきではないでしょうか?

 そして、日本で今後医薬品をネットで販売することを容認するのであれば、行政への届け出や業界の自主ルールだけではなく、薬剤師会が主体となってガイドラインをつくって、英国などのように認証制度を導入することが必要ではないかと思います。

関連情報:TOPICS
  2009.01.16 偽造医薬品の危険性を伝えるキャンペーンを開始(英国)
  2008.08.07 医薬品のネット販売制限は消費者の利便を損なうか?


2009年04月17日 12:01 投稿

コメントが2つあります

  1. 十年前に 日本の開業医で 知的障害児のために 医師が個人輸入して患者に売っている話を聞いたことがあります。社会適応性の低い知的障害児の場合、親はわらをもすがる思いで購入していました。結局、効果なく1年くらいで辞めたので、そのままになっていました。もし、偽薬だったらと思うと 怖いですね。詐欺や悪徳金儲けが入り込む隙間が 怖いです。素人が判断できないのですから。専門性が高ければ高いほど 情報公開と監視の充実が必要になると思います。消費者庁にも期待したいです。
    幼児のシロップ薬を化学的な知識無しの医師の指示で看護師が混合して 再攪拌出来なくなっているのをスプーンでかきだして飲ませる・・・なんて実際に行なわれているのですから。調味料のような安直な扱いを 止めさせないと。

  2. アポネット 小嶋

    確かにそうですよね。

    今でも、医師が日本では未承認医薬品を個人輸入の形で取り寄せて、患者さんに使ってもらうというケースがあると思いますが、斡旋業者から偽物をつかまされるということは全くないとは言い難いですよね。