第4回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会

 22日、注目の一般用医薬品のインターネット販売等のルール作りを行う4回目の検討会が開催されています。(今後記事更新する場合があります)

第4回一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会 資料
(厚労省 2013.03.22 開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xyf3.html

 今回も、傍聴されたと思われる方がやりとりの一部をツイートしています。

厚生労働省:一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会
(第4回・2013/03/22)実況ツイ―ト
http://togetter.com/li/475603 

 今日の検討会ではまず、関係団体からのプレゼンが行われました。以下抜粋します。

資料1-1 全国伝統薬連絡協議会 提出資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xyf3-att/2r9852000002xyho.pdf

  • 郵便等販売の規制により、加盟26社すべてで売り上げが現象、5割超減少となった企業も5企業に達し、経営危機や伝統薬の消失が懸念される
  • 直販から薬局・薬店(ドラッグストア)・配置販売への移行が可能かの検討をしたが、カバーできない地区があること、売上高大幅減と経費増で採算が取れず、大幅な値上げが余儀なくされる、お客様との安全確保のための対話がなくなり、信頼関係が薄れるなどおとして、以降は不可能と結論
  • 零細な伝統薬企業の新規顧客獲得困難による売上減少、伝統薬により症状改善をしておられる患者の方々が伝統薬の入手不可能、日本の伝統文化である伝統薬製造の継承困難などとして、お好きのルール作りを実現してほしい。

資料1-2 一般社団法人 日本医薬品登録販売者協会 提出資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xyf3-att/2r9852000002xyhz.pdf

  • 登録販売者制度は、一般用医薬品のリスクや副作用などについて知らしめるための情報提供を行う、まさに始まったばかりの国民のための制度であり、それを法的解釈や一方的な意見で、この制度を衰退させることがないようにして頂きたい。
  • 全国で活躍する13万人の登録販売者の国民の保健に寄与する意欲や彼らの努力、また彼らの雇用を安全性以上に便利性等を重視することで、奪わないで頂きたい。
  • リスクが比較的低く使用の慣れた医薬品においては、登録販売者のリアルに対してネット活用が補完的関係になり、生活者がさらに安全で有効な医薬品活用ができるような方法を考えて頂きたい。
  • 医薬品の安易な購入を抑制し、より必要な人に、より安全に提供できるため、対面の原則が確保できる方法を検討して頂きたい。
    → 検討会委員の皆様におかれましては、上記の当協会よりのお願いについて、どうかよろしくご指導お願い申し上げます。
    (ネット販売が拡大すれば、登録販売者の存在意義がなくなってしまうのではないかという危機感か)

資料1-3 一般社団法人 日本置き薬協会 提出資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xyf3-att/2r9852000002xyia.pdf

  • 多くの販売業者は保健所の指導も受け、やりたいのにやらなかったのが通信販売である。
  • 「情報提供」として薬事法上要求されているのは、文書を掲示しながらの説明書(薬のパッケージの中にある説明書)の事項の読み上げに過ぎない。「此れを何故わざわざ」、と思う消費者は聞きたくないだろうし、「何故専門家が」とも思うだろう。『お客さんも望まず、お店も馬鹿にする。』様な話だ。
  • 消費者が情報提供を求めなければ、情報提供以外の配置販売は可能と解釈し、一般従事者単独の配置販売が常態化している。(厚労省の企画官が事実上容認している)
  • 日本薬剤師会さんの方では、「各都道府県の薬剤師会が薬剤師を輪番制で選出して、消費者からの申し入れがあれば、山間であろうが離島であろうが、薬剤師が届けに行く。」とされていたが具現化しているのであろうか。
  • 「対面販売の原則」は、法に明定されていない為、違法との司法判断が確定した。
    薬事法に、「毎回必ず、専門家が関与する」旨の「対面販売の原則」を明文化すべきと考える。
  • 第三十六条の六の4「第一項の規定は、医薬品を購入し、又は譲り受ける者から説明を要しない旨の意思の表明があつた場合には、適用しない」は、削除すべきと考える。
  • ネット販売を含めたリスク軽減のための一般用医薬品販売の共通のルール作りが必要と考える。(詳細はPDFファイルで確認し下さい)
  • 医薬品のネット販売のルール作りや薬と関わる際の啓発活動を厚生労働省と消費者庁が連携して取り組み、検討会メンバーに加えるべきと考える。
  • ネット販売は、海外へ繋がる広い範囲(地域)に亘る為、厚労省による二次的な、販売上の新たな許可制が必要と考える。
  • ネット販売業者は第三者機関の認証制と監視委員会を作り、医薬品を販売する者としての倫理、行動基準や資質確保させ、違反したら、名前を公表、ルールを守れない業者には医薬品のネット販売ができないようにする。
    また、業界団体とは別にインターネット、法律、有識者、一般市民、全国薬害被害者団体連絡協議会代表、消費者団体代表、職能団体としての薬剤師会代表、登録販売者代表等による、監視委員会を設けるべきと考える。
  • 改正薬事法の見直し検討会メンバーの選考に当っては、田村厚労大臣の本年1月11日の答弁のとおりにすべきと考える。
  • 薬事監視、指導を徹底すべきと考える。
    (すごい、とても的をついて、整理されている。でも、置き薬協会は会員各社にこれら法令順守を徹底できるのだろうか?)

資料1-4 一般社団法人 全国配置薬協会 及び一般社団法人 日本配置販業売協会 提出資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xyf3-att/2r9852000002xyil.pdf

  • 今回の検討会において、制度改正が行われるのであれば、配置もネット・店舗と同様に新たな情報提供の手段が適用されなければならない。仮に、対面によらない情報提供による2類以上の販売が解禁になれば、配置販売における登録販売者制度が有名無実化するものと考えます。
  • 例えば、極端な事例ですが、都道府県に1名の専門家がいれば、残りは一般従事者で業が営むことができるというような大幅な緩和になることが予想され、これを危惧しております。医薬品販売制度全体を見た、情報提供の在り方を検討しなければならない。

資料1-5 一般社団法人 全配協医薬品配置団体連合会 提出資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xyf3-att/2r9852000002xyiw.pdf

  • 『国民・生活者の安全な医薬品使用を担保』するには『対面販売の原則』の法的な明確化を図り、現行の販売制度の趣旨に則して薬事法の再整備をしていただきたい

資料1-6 岩瀬構成員 提出資料(後日掲載)

 実況ツイートによれば、悪質業者・偽造医薬品についての議論は今回の検討会では対象外として欲しいとの発言があったようです。

※ブログに関連記事があります。

対面販売原則は合憲か
(生命保険 立ち上げ日誌 ライフネット生命保険副社長 岩瀬大輔 2013.03.18)
http://blog.livedoor.jp/daisuke_iwase/archives/6380968.html

 一方、国重構成員は下記資料を用いて、これまでに寄せられた下記の懸念事項について、その現状について例示するととともに、新経済連盟としての考え方や対策を述べています。

参考資料1 國重構成員 提出資料
一般用医薬品販売における 安全性確保に向けたルール作りについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xyf3-att/2r9852000002xyk2.pdf

  • 消費者の医薬品に関する認識・知識
    →薬育・消費者への啓蒙の充実が重要
  • 情報提供をしても、受け取とろうとしない場合がある
    (情報提供が無くても消費者が違和感を覚えない)
    →原則として情報提供がなされること、購入者側にも情報を受け取ることが必要であると
    強く認識されることが重要(継続使用を厳密に確認するには代理購入を禁止する必要)
  • 違法事業者対策(偽薬対策)
    →許可を受けた薬局・薬店であることを示す情報と、違法事業者かどうか判断するための
    方法を周知することが重要
  • 購入者の匿名性
  • 購入者の年齢確認
  • 大容量販売、大量購入
  • バイタルサインの確認、それに基づく受診勧奨
  • 薬剤師・登録販売者の関与
  • 店舗横断での販売履歴の管理、購入総量の確認
  • 安売り

 実況ツイートによれば、いつものパターンで推進派と慎重派でバトルになったようですが、結局悪質業者(偽造医薬品問題?)についても、今後議論の対象となったようです。

その他提出資料

資料2 指定第二類医薬品を含有する主な薬効群について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xyf3-att/2r9852000002xyjg.pdf

 これについては、中川構成員から「商品名を明記して欲しい」との意見も。

資料3 宿題事項について(偽薬関係)~インターネット上の広告監視
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xyf3-att/2r9852000002xyjr.pdf

 後藤構成員からは、「海外の実態調査はどうなっているか」といった趣旨の質問が出たそうですが、まだ資料として出せない状況のようです。

 21日の規制改革会議で出された資料を見ても、本当に調査をきちんとやっているのかと疑問をもたれても仕方ないと思いました。

規制改革会議3月21日 参考資料
http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee/130321/item8.pdf

 なお、参考資料として各紙が報道している医薬品のインターネット販売を考える議員連盟の見解が示されています。

参考資料2 議員立法の法案化に向けたこれまでの議論の整理
(平成25年3月18日 医薬品のインターネット販売を考える議員連盟)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xyf3-att/2r9852000002xykd.pdf

「医薬品ネット販売規制を」自民有志が議員立法へ議論整理
(産経新聞 2013.03.18)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130318/trd13031822080024-n1.htm

 次回にはたぶん厚労省から論点が示されると思いますが、個人的にはネット購入の一つである個人輸入の問題もきちんと取り上げるべきだと思います。

(ネットで購入することには変わらない。しかし、自己責任として健康被害が出てもわれ関せずの感あり。生活者によりいっそうの啓発ができないのなら、個人での購入は原則禁止すべきだと思う。そうすれば、今回の議論ももう少し前に進むと思う。)


2013年03月22日 13:08 投稿

コメントが5つあります

  1.  今回、傍聴できませんでしたが、個人輸入の問題は先の薬害肝炎の反省の際にも問題となっており、薬事法改正での規制条項として検討されていたはずです。
     不思議なのは、医師がその患者に使用するために輸入するものまでも「個人輸入」として許容していることです。それならば、薬剤師が事故の店舗で販売するために輸入するものも「個人輸入」として許容されるべきではないでしょうか。

  2. アポネット 小嶋

    関連記事です。

    薬ネット販売検討会、次回会合で論点整理
    (医療介護CBニュース 2013.03.22)
    http://www.cabrain.net/news/article/newsId/39489.html
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130322-00000004-cbn-soci

    厚労省検討会の設置から1カ月強
    OTC薬ネット販売規制、ようやく具体的な議論へ
    (日経DI 2013.03.22)
     http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201303/529642.html

    薬のネット販売、許可明示の義務付け提案 新経済連盟
    (日本経済新聞 2013.03.22)
     http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC22012_S3A320C1PP8000/

  3. 平成16年9月6日 第5回厚生科学審議会 医薬品販売制度改正検討部会の資料 「医療用医薬品と一般用医薬品の比較について」において一般用医薬品の定義として「一般の人が薬局等で購入し、自らの判断で使用する医薬品であって、通常、安全性が確保できる成分の配合によるものが多い。」、さらに製造承認に当たっては「一般の人が直接薬局等で購入し、自らの判断で使用することを前提に、有効性に加え、特に安全性の確保を重視して審査される。」とされている。
    つまり、一般用医薬品は一般の人が自らの判断で購入・使用される医薬品である。
    なぜ対面販売が原則などということができるのだろうか。

  4. 「第三十六条の六の4「第一項の規定は、医薬品を購入し、又は譲り受ける者から説明を要しない旨の意思の表明があつた場合には、適用しない」は、削除すべきと考える。」
     これには真っ向反対だ。何を血迷った事を抜かすのか?国民の意思表示まで奪う気か!違憲も甚だしい。

  5. 平成16年の状況とは社会情勢も違うと思います。
    スィッチもどんどん増えてますし。
    自由に購入できるのであればそもそも薬剤師も不要と思いますし、自由を優先すればタバコのように自販機で、「安全に注意し必要であれば専門家に相談してください」って書いて売ってもいいんじゃないですか?
    極論で申し訳ないですが。
    今回はネット販売の窓口のその先が無限大である事が原因で規制せざるを得ないから対面販売との話が出てきたんだと思いますけど。
    そして薬剤師と言う薬の専門家の立場からしたら規制は仕方ないと思います。
    自由に買えて自己責任を主張するのであれば、何か重大な健康被害を負った場合も自己責任なんですけど。
    エパデール問題で医師会が強い発言力を持ってましたけど、既得権益を守るためでもありますけど、「医師」として診察せず安易に薬をすべきでないとの意見が「信頼」されるからごり押しも通るんだと思います。
    自由が正しいって思ってる薬剤師にはそれがないのではないでしょうか・・・・服用者の健康を守るって信念が見えません。
    1類から2類へどんどん変わってますけど、本当にそれでいいのか?って疑問に思います。
    無関心な薬剤師が多いのが原因ではないでしょうか?
    あくまでも個人的な意見です。申し訳ありません。