2割の施設が一般名処方での情報提供を求めず?(日医調査)

 日医ではこのほど、今年度実施された診療報酬改定を検証し、今後の診療報酬改定のための重要な基礎資料とすることを目的に実施した「2012年度診療報酬改定についての調査」の結果を公表しています。(詳細は日医総研のページに掲載)

「2012年度診療報酬改定についての調査結果報告について」
(日医白クマ通信 No.1575 2012.08.07)
http://www.med.or.jp/shirokuma/no1575.html

2012年度 診療報酬改定についての調査結果報告
(日医総研 日医総研ワーキングペーパー No252)
http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=484

 調査では、私たちと関係が深い一般名処方についての項目あります。

2.11、診療所 一般名処方加算
http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=484#page=80

 このうち目に留まったのが、「一般名処方にもとづいて調剤したときの保険薬局からの情報提供の方法」で、次のような結果となったそうです。

  • 患者が医薬品を選択した都度、保険薬局からすぐに連絡(29.2%)
  • 次の診療時に、患者を通じて連絡(「お薬手帳」等による確認(5.4%)
  • 一定期間分をまとめて、保険薬局から連絡(1週間、1か月ごとなど)(12.7%)
  • 継続して服用してきた薬剤と異なるものを患者が選択した時だけ、保険薬局から連絡(24.7%)
  • 情報提供を求めていない(22.9%)

となっており、一見すると2割以上の施設(診療所)が、実際に調剤した銘柄名の把握へのこだわりがないことがうかがえますが、設問文を確認したところ、若干問題がありました。(レポートの最後の方に調査用紙あり)

保険薬局が一般名処方にもとづいて調剤した際、情報提供の方法については、どのような形で合意されていますか。1つだけ○をつけてください。
(※保険薬局によって異なる場合には、処方せんのもっとも多い保険薬局と合意している方法に○をつけてください。)

 つまり、施設近隣の薬局が「後発品はこれを調剤します」と事前に伝えておけば、情報提供は必要ないわけで、本当に情報提供を求めていない施設の割合はもう少し低くなるような気もします。(まるで門前薬局ありきで、これでは適切な設問とはいえない)

 それでもこれを、厚労省が平成23年度に行った、後発医薬品の使用状況調査報告書のデータ(診療所)と比較すると、

  • 変更調剤が行われた都度(47.0%)
  • 次の診療時にお薬手帳等で(10.6%)
  • 一定の期間分をまとめて(3.7%)
  • 最初の変更調剤時とその後は更に変更がある時だけ(28.7%)
  • 調剤内容についての情報は必要ではない(2.1%)

と比べると大幅に増えており、一般名処方時における情報提供では、後発品への変更調剤に比べても実際に調剤した銘柄名の把握へのこだわりがないことがうかがえます。

 これだけ、一般名処方が進むと、情報提供を行う方も、受け取る方も負担と感じることがあると思います。(あらかじめ決めた方法であればというが、処方せんはあらゆるところから来るので、結局は電話で「どうしたらよいですか」という二重手間になる)

 すぐに連絡が欲しいという施設も3割いるので、何らかの形での情報提供は必要かと思いますが、一方であまり銘柄名の把握にこだわらない施設も少なくないとも感じることがあり、少なくとも一般名処方による調剤についての情報提供については、その必要性も含め、一考の余地があるのではないでしょうか?

 せめて処方せんの備考欄に、調剤銘柄名の連絡は不要などのコメントを入れるか、処方せん様式に初めから、連絡方法についてのチェック欄を作って、そこにチェックを入れてもらえると助かるのですが。(でもチェック欄を設けるとかえって、不要とする施設は少なくなると思うけど)

関連情報:TOPICS
 2012.06.28 後発医薬品の使用状況調査報告書(平成23年度調査)
 2012.04.08 一般名処方考

  


2012年08月09日 11:43 投稿

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