アバスチンの乳がんへの使用は限られる(欧米)

 米FDAは17日、乳がん患者へのアバスチンの使用は有効かつ安全であることが示されないとして、効能から削除するプロセスに入ったと発表しています。

FDA begins process to remove breast cancer indication from Avastin label 
 Drug not shown to be safe and effective in breast cancer patients
(FDA Press Release 2010.12.16)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm237172.htm

Questions and Answers about Avastin
(FDA 2010.12.16)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/
PostmarketDrugSafetyInformationforPatientsandProviders/ucm237095.htm

 今回の発表は、7月20日の諮問委員会(TOPICS 2010.07.22)の評決を受けてのもので、FDAでは4つの臨床試験についてレビューを行い、総生存率の延長をせず、また重大なリスク(血圧上昇、出血・腸管などの穿孔、心不全、心臓発作、白質脳症など)を上回るだけの乳がんの進行を遅らせるベネフィットは見られないとしています。

 一方、EMA(欧州医薬品庁)も、アバスチンの乳がん患者への使用に関するアナウンスを行っています。

European Medicines Agency completes its review of Avastin used in breast cancer
  (EMA Press Release 2010.12.16)

 EMAの方は、転移性乳がん患者へのパクリタキセルの併用療法については、ベネフィットがリスクを上回るとしたものの、ドセタキセルとの併用療法はベネフィットがリスクを下回る、まるカペシタビンとの併用療法についても毒性を上回るベネフィットはないとして、乳がんへの使用はパクリタキセルとの併用療法に限られるとしています。

 アバスチンの乳がんへの使用はFDAでは事実上の承認の取り消しを検討していることに対し、EMAでは限定使用と対応が分かれましたが、使用についてはかなり限定されることのようです。

 海外公的機関 医薬品安全性情報Vol.9 No.02に日本語訳概要が掲載されています。
 http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly9/02110120.pdf

関連情報:TOPICS 2010.07.22 アバスチンの乳がんへの承認取り消しを勧告(FDA諮問委)

2011年1月22日 リンク追加


2010年12月17日 12:06 投稿

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