シブトラミン、米国での販売も断念(Update)

 豪州・カナダでの販売中止の前記事を掲載したとたん、米FDAからAbbott Laboratories 社がシブトラミン製剤のMeridia の市場からの回収(withdraw)に同意したとの発表が目に飛び込みました。

Abbott Laboratories agrees to withdraw its obesity drug Meridia
(FDA 2010.10.08)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm228812.htm

 医師へ対し本剤を処方しないことを助言するとともに、患者は本剤を服用しないよう呼びかけています。

FDA Drug Safety Communication: FDA Recommends Against the Continued Use of Meridia (sibutramine)
(FDA Safety Announcement 2010.10.8)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm228746.htm

 Q&Aによれば、流通の停止だけではなく、回収も実施されるようです。また、家庭内での余ったものについてもガイドライン(→Federal Drug Disposal Guidelines)に従って廃棄するよう患者に呼びかけています。

Questions and Answers: FDA Recommends Against the Continued Use of Meridia (sibutramine)
(FDA 2010.10.8)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm228747.htm

 とはいうものの、痩せたい人にとっては魅力的な薬であることには変わりありません。希少価値が高まることによって、ブラックマーケットでの売買や、偽造医薬品の氾濫といった懸念もあります。

 日本でもシブトラミンは個人輸入などの形で多くの人が使用していることが推測されます。多くの国で、事実上の承認取消=販売禁止となった以上、厚労省は服用することの危険性についてアナウンスをし、個人使用であっても使用しないよう呼びかけることが必要でしょう。

 そして、現在承認が見合わせになっているオベスケアの取り扱いについても、どうするのかをはっきり明らかにすることが必要でしょう。(エーザイ社のHPでも、アナウンスがないので申請も取り下げていないはず)

関連ブログ:
シブトラミンの心血管安全性問題(MEDICINE-BLOG 2010.4.15)
 http://medicineblog.k.asablo.jp/blog/2010/04/25/5042621 

関連情報:TOPICS
 2010.10.09 シブトラミン、豪州・カナダでも販売中止に
 2010.09.16 シブトラミンの販売継続の是非は割れる(FDA諮問委)
 2010.01.22 欧州医薬品庁、シブトラミンの使用中止を勧告

10月9日 15:40更新


2010年10月09日 01:50 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    11日、ニュージーランド当局も回収を発表しています。

    Withdrawal of Sibutramine (Reductil) in New Zealand
    (MEDSAFE Media Release 2010.10.11)
    http://www.medsafe.govt.nz/hot/media/2010/SibutramineOct2010.asp