たばこアルコール対策者講習会資料

 厚労省ウェブサイトの最新情報を見ていたら、31日掲載の「平成20年度たばこ・アルコール対策担当者講習会」の資料が目にとまりました。

 この資料は、今年2月13日に開催された講習会のスライドで、中でもたばこに関する国立保健医療科学院研究情報センターたばこ政策情報室室長のスライドと大阪府立健康科学センター健康生活推進部の方のスライドなどは私たちにも役立ちそうです。

平成20年度「たばこ・アルコール対策担当者講習会」
  http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/090213.html

 国立保健医療科学院研究情報センターたばこ政策情報室室長の吉見逸郎氏は、講演「喫煙の健康影響」(PDF:2,650KB)で、喫煙と健康についての歴史の概略を紹介し、受動喫煙やニコチンによる害は既に大正時代から明らかになっているとした上で、諸外国の喫煙と健康についての研究や報告を紹介して、受動喫煙対策を強化するよう求めています。以下、このスライドで取り上げられている論文や関連サイトを紹介します。

Tobacco Control Monograph Series: public health issues in smoking and tobacco use control
 (The National Cancer Institute)
  http://cancercontrol.cancer.gov/tcrb/monographs/
  米国国立がん研究所によるたばこの報告書:現在19巻(1990〜)

Smoking & Tobacco Use(米国疾病管理予防センターウェブサイト)
  http://www.cdc.gov/tobacco/
 (米国環境庁等による「環境たばこ煙」の報告書などが掲載されているようです)

IARC Monographs(国際がん研究機関(IARC)ヒトにおける発がん性評価)
 (International Agency for Research on Cancer)
  http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/PDFs/index.php

Smoke-free Legislation and Hospitalizations for Acute Coronary Syndrome
 (NEJM 2008;358: 482-491)
  http://content.nejm.org/cgi/content/full/359/5/482
 (英国スコットランド地域での禁煙法施行前後の急性冠症候群入院数の変化を記した論文です)

Should doctors advocate snus and other nicotine replacements? Yes
 (BMJ 2008;336: 358)
  http://www.bmj.com/cgi/content/full/336/7640/358
Should doctors advocate snus and other nicotine replacements? No
 (BMJ 2008;336: 359)
  http://www.bmj.com/cgi/content/full/336/7640/359
  (snus他のニコチン置換療法を医師が勧めるべきか否かという誌上討論です)

THE HEALTH AND ECONOMIC IMPACT OF NEW YORK’S CLEAN INDOOR AIR ACT
 (NEW YORK STATE DEPARTMENT OF HEALTH 2006.7)
  http://www.health.state.ny.us/prevention/tobacco_control/docs/ciaa_impact_report.pdf
 (受動喫煙規制を行っても飲食業の売上には明らかな影響はなかった・米国ニューヨーク州)

 神奈川県の禁煙条例は骨抜きにされてしまいましたが、国はこういった資料については担当者だけではなく、もっとオープンにして、受動喫煙の問題の重要性を訴えるべきではないでしょうか。

 スライド最後の方で、特定保健指導における禁煙指導の限界を指摘し、いかに地域資源や健康づくりの活動などと連携していくかが鍵としています。私たちの出番かもしれませんね。

 また、大阪府立健康科学センター健康生活推進部の増居志津子氏は、講演「個人に対する禁煙支援の効果的なアプローチについて」(PDF:563KB)で、「禁煙支援・治療に対する基本的な考え方」「健診の場を活用した個別禁煙支援の方法」「個人にあった禁煙方法のアドバイス」など私たちにも関連のある、禁煙支援の方法論を示しています。

関連情報:TOPICS
  2008.07.01 公共の場を禁煙にすることによる成果(英国)
  2009.03.07 受動喫煙防止には公共の場での全面禁煙が必要(厚労省検討会)
  2008.02.21 無煙たばこは習慣性があり、健康に有害(EU)


2009年04月04日 17:04 投稿

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