血圧管理にはITの活用と薬剤師のサポートが有用(米国研究)

 ワシントン大学の研究チームはこのほど、通院して医師の診察を受けなくても、インターネットを活用したり、薬剤師がサポートを行うことで血圧の管理が可能とする研究結果をまとめ、JAMAの最新号に掲載されました。

Effectiveness of Home Blood Pressure Monitoring, Web Communication, and Pharmacist Care on Hypertension Control(JAMA. 2008;299(24):2857-2867.)
  http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/299/24/2857

 この研究は、薬物療法中にもかかわらずコントロール不良(BP140-199/90-109)の25歳から75歳の本態性高血圧症(心臓病・糖尿病などを合併する場合は除外)患者778人を対象に行われたもので、患者を「通常の治療」のグループ(A群)、「家で血圧測定(日本のオムロン社のHem-705-CPを使用。日本でも以前発売されていた記録が印字できるタイプ)を行い、Webベースのサービス(健康に関する情報)を提供」のグループ(B群)、「家で血圧測定を行い、Webベースのサービスの提供に加え、インターネットでのコミュニケーションを通じて薬剤師による管理を受ける(医師への電子メール送信、リフィルの依頼、検査結果の入手、患者情報にアクセスし、エビデンスに基づいた処方の変更)」のグループ(C群)の3つに無作為に分け、1年後にどのくらいの割合で血圧がコントロール(BP140/95以下)できているかを比較しています。

 その結果、A群では31%、B群では36%の血圧コントロール率であったのに対し、薬剤師が管理を行ったC群では56%の血圧コントロール率に達し、研究者らは、WEBコミュニケーションを活用した薬剤師によるケアマネジメントが高血圧症患者の血圧コントロールを改善すると結論付けています。

 対象がインターネットにアクセルできる人に限られるため、高齢者や低所得者層などデジタル格差がある人は対象から除外され、偏りがあるものとなっていますが、薬剤師などの医師以外の医療従事者をどのように活用するかという点で、IT時代を象徴する興味ある研究となっています。

 研究者らは他の疾患への応用や医療費抑制につながるかどうか、今後さらなる研究が必要としています。

参考:ITmedia News 6月25日(ロイター日本版配信)
     http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0806/25/news057.html
    Blood Pressure Control Improves with Web-Based Intervention
     (Medpage TODAY 2008.6.24)
     http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Hypertension/tb/9918
    Online Pharmacist Consultations Improve Blood Pressure Control
     (Health-System Pharmacy News 2008.6.24)
 http://www.ashp.org/s_ashp/article_news.asp?CID=167&DID=2024&id=26221

6月26日 14:30掲載


2008年06月26日 14:30 投稿

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