6月から経口補水液の販売方法はどうなるの?(Update)

10日は、経口補水液の販売方法をめぐってTLで意見が飛び交ったので、いろいろ調べました。

簡単に言うと

  • 「経口補水液」と表示をした製品は特別用途食品の許可を得ることが必要であること。
  • 「経口補水液」のうち、OS-1などについては、適切な陳列や販売、情報提供ができる体制が必要

ということのようです。

いわゆる経口補水液にはさまざまなものがありますが、消費者庁のなかでは、その使用実態にについてはこれまでも懸念が示されていて、2023年1月20日に開催された、特別用途食品の許可等に関する委員会において、下記の理由で、許可基準型病者用食品(経口補水液)の新設されることになりました。

特別用途食品の許可等に関する委員会
(消費者庁 2023.01.20開催)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_002/031542.html

資料2 特別用途食品における許可基準型病者用食品の新設https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20230116_03.pdf

20230120_1

そして、この日の議事録を見ると、委員からは次のような意見が示されました。

メーカーの一般・販売サイドへのプロモーション、現場の販売姿勢に問題は確かにあったと思います。

議事録https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/assets/food_labeling_cms206_20230222.pdf

  • 本当に最近、経口補水液が周知されてきたので、まちを歩いていても若者が全然脱水でもなさそうな人が経口補水と書いてあるものを、ソフトドリンクみたいにしてごくごく飲んでいる人を見かけるのです。なので、国民の栄養摂取基準をせっかく示しているのに、それをはるかに超えた塩分の摂取にならないような指導が必要かなと思いました
  • 資料の懸念事項のところで、脱水でない状態で大量に摂取した場合、ナトリウムの過剰摂取につながる可能性があるというコメントがあって、資料の必要的表示事項というところでは、特にナトリウムの過剰摂取に関しては大きく取り上げていないというか、医師、管理栄養士に相談することと
  • 先ほど委員長からお話があったように、ドラッグストアに管理栄養士は在籍しているのですけれども、もうちょっと必要的表示事項に踏み込んだ上で、ナトリウムの過剰摂取に関して表記していただけると、現場としては、私たちから指導が入らないときにその人たちが
  • ○○先生もおっしゃっていましたけれども、実際に脱水でといって、腎機能のeGFRが10点台ぐらいの方々が、汗をかくからといって1日3本ぐらい飲んでいる人の経験が私も何回かありまして、これはまずいなと思って、脱水と腎機能の状況を説明しながら、コマーシャルが先行している部分もあって、飲んでいい、脱水だったらこれだとインプットされてしまう、患者さんもそう思ってしまうと思うのですね
  • 例えば先ほどナトリウムのお話が出ていましたけれども、糖分とかもあると思いますので、糖分、ナトリウム、カリウムなどに摂取制限のある方は主治医に御相談くださいとか、病名を入れるわけにはいかないと思うので、そういった形の文言とかを、もし可能なのであれば入れていただくのはいかがかなと思いました

委員会の決定を踏まえ、2024年に販売規制案が示され、パブリックコメントが実施されました。(これについてはXで以前投稿しました)

パブコメの結果下記のような意見に対して、消費者庁の考え方も出されました

パブコメ結果
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/1040?CLASSNAME=PCM1040&id=235080077&Mode=1
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000283678

意見:
実店舗で販売する場合、「医療関係者が確認できる体制を整えていること。」とあるが、「初めて服用する方は資格者にご相談ください」を POP 等で表示することにより、商品の表示を確認し、医療関係者からすべてのお客様に対して声かけするのは現実的ではないため、摂取して問題ないのか医療関係者へ相談すべきかを消費者自身に判断してもらうようにしてはどうか。

意見に対する考え方:
経口補水液については、清涼飲料水よりも電解質量が多く含まれているため、脱水時でない場合又は脱水の原因となる疾患等に罹患していない場合に漫然と使用することにより短期的に健康上の問題を引き起こす可能性があると考えられます。

経口補水液の特性を理解していない消費者も多くいることが判明していることから、許可を受けた者に対して、消費者が購入時に経口補水液について相談できる体制を整えた場所で販売をしてほしいという趣旨であるため、相談体制の構築をお願いいたします。

そして、2024年12月10日に「特別用途食品の表示許可等について」(消費者庁次長通知)の一部改正の通知が発出され、具体的な販売方法等が示されました

【消費者庁】
特別用途食品の表示許可等の申請を検討している事業者の方へ
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/notice/

「特別用途食品の表示許可等について」(消費者庁次長通知)の一部改正 (令和6年12月10日消食表第1028号消費者庁次長通知・別添3)・特別用途食品の取扱い及び指導要領
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/notice/assets/food_labeling_cms206_241210_10.pdf

概要https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/notice/assets/food_labeling_cms206_241224_02.pdf

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いろいろなところで、今回の改正について情報が発信されています

その飲み方NGです! 正しく知ろう経口補水液
(政府広報オンライン 2025.02.03)
https://www.gov-online.go.jp/article/202502/radio-2729.html

「スポーツドリンクは日常の水分補給に」、「経口補水液は脱水症の時の水分や電解質の補給に」、と覚えておいてください

経口補水液
(化学製品 PL 相談センター・アクティビティノート第337号 2025.3.10)
https://www2.nikkakyo.org/system/files/column337.pdf

令和7年6月1日から、経口補水液に関する規定が施行されます。経口補水液について、正しく理解していただくために整理してみました

経口補水液ってなに?​(消費者庁)

一方で、購入者に確認でチェックとかの認知できる仕組みがあればネット販売や自販機による販売はOKという方針も打ち出されました。

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何か、濫用等のおそれのある医薬品の扱いと一緒ではという思いです。

「売れ筋商品」だからこういう対応なのかもしれませんが、こんなちぐはぐな対応で果たして不適切使用を防げるのでしょうか?

(以下追記)
さらに調べたところ、「経口補水液」として表示が可能なものには

  • 病者用食品(許可基準型)
  • 病者用食品(個別評価型)

の2つがあります。

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特別用途食品 許可品目一覧
(消費者庁2025.03.07更新)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about/commemorative/assets/food_labeling_cms206_250307_02.pdf

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よく見ると、個別評価型以外のものは、「感染性胃腸炎による下痢・嘔吐を原因とした脱水状態時に用いることが適しています」の表示になっています。つまり、熱中症には使うことは想定されていないということです。

これは現場では混乱がありあそうです

まとめると、今後OS-1のような消費者庁が表示を認めた経口補水液については、適切な陳列や販売、情報提供ができる体制が必要ということです。

また、議論になっている「医師に指示されているかを医療関係者が確認できる」というのはどこまで必要なのかは現時点でははっきりしていません。

一方で、商品としては、OS-1以外の同じような類のものについても、「経口補水液」と名乗ることができなくても、「経口補水液」として生活者に広く認知されています。

また、熱中症予防対策でドリンクをつくる場合も「経口補水液」なんですよね。

行政も含めて、「熱中症対策に経口補水液を準備しておきましょう」という啓発があちこちでされていますが、購入者に「医師から指示されているかの確認」が果たしてできるのでしょうか?

店頭、現場は6月からどう対応するか悩ましいですよね。

2025年05月11日 11:38更新


2025年05月11日 00:39 投稿

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