各国のOnline pharmacy にアクセスしてみた

 第9回の一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会(TOPICS 2013.05.16)で、リスクが高いものの取扱いをどうするかがカギとなってきたようなので、海外のOnline pharmacy にアクセスし、「コデイン類」「プソイドエフェドリン」「デキストロメトルファン」「アセトアミノフェン」などの扱いがどうなっているか調べてみました。(とりあえずわかった部分から記事をアップしました)

米国
http://www.walgreens.com/

  • Tylenol (アセトアミノフェン)は、500mg/錠 100錠入り。プライベートブランドでは500錠入りも。
    ただ外箱に、過量にとると重篤な肝障害を起こす可能性があるとの記載がある
  • コデイン/ジヒドロコデイン配合品はあるのかなあ?
  • プソイドエフェドリンが配合された、sudafed、Allegra-D や Claritin-D は店頭のみの販売だった(店頭販売でも販売記録が行われる)
  • デキストロメトルファン配合シロップは、オンライン購入できるが、購入は18歳以上のみとの記載あり

 自由な国の米国でも、乱用や不正使用、長期連用のための対策はとられている。

英国
http://www.pharmacy2u.co.uk/

  • アセトアミノフェン製品は最大16回分の包装しかない。(これを超えると処方せん薬)
  • Neurofen Plus(イブプロフェン200mg+コデインリン酸塩12.8mg)はオンラインでも購入(32錠入り)購入できるが、外箱に“For Three days use only. Can cause addiction.”との記載がある(他の製品も同様)
  • Otrivine Mucron 12 Tablets (アセトアミノフェン500mg+プソイドエフェドリン塩酸塩60mg)他、鼻炎薬でもプソイドエフェドリン配合品の購入はできるが、英国では店頭でも販売制限がある
  • デキストロメトルファンは2品目がヒットした

豪州
http://www.epharmacy.com.au/

  • アセトアミノフェン(500mg/錠)100錠入りの商品あり。但し1回に2個までの制限。
  • pharmacist only medicine の Neurofen Plus は48時間以内に直接コンタクトをとらないと、注文がキャンセルされる(30錠入り)
  • プソイドエフェドリン配合製品はフェニレフリンに代替され、代替前の製品は在庫品が店頭のみでしか買えない。
  • このサイトではデキストロメトルファン配合品の取扱いはないようだったが、他のサイトでは液体タイプのものも販売されていた。

 ニュージーランド
https://www.pharmacydirect.co.nz/

  • アセトアミノフェンは500mg/錠、100錠入りが販売されていた。
  • Pharmacist Medicine のParamax Tablets(アセトアミノフェン+メトプロパミド)やPolaramine 6 Hour Relief tablets は、購入の際、チェック方式ではなく、テキストで質問に答え、それを確認してから販売する仕組みになっていた。
  • プソイドエフェドリン製品はない様子。

 以前の記事で紹介しましたが、ドイツやデンマーク、スウェーデンでは、乱用や誤用などの予防的な措置として、鎮痛薬の包装制限が検討又は実施されています。

 またプソイドエフェドリン配合製品は、米国ではミシガン州が州法でネット販売を禁止。チェコでもinternet または mail order での販売は禁止になっています。

MHRA PUBLIC ASSESSMENT REPORT
Pseudoephedrine and ephedrine: managing the risk of misuse of medicines
(July 2010 update)
http://www.mhra.gov.uk/home/groups/pl-p/documents/websiteresources/con090763.pdf

 日経DI記事によれば、慶應義塾大学薬学部教授の福島紀子氏は17日の検討会で、「(ネット販売を認めれば)乱用の恐れがあるコデインやエフェドリンも青少年の目に触れやすくなる。薬物乱用や自殺を防ぐためにも、これらのOTC薬をネットで販売するのは禁止すべきだ」と主張したそうですが、私も、第一類よりも(指定)第二類にリスクの大きいものが含まれていると思います。

OTC薬が抱える“リスク”に対し、安全性をどう担保する
厚労省ネット販売検討会、議論白熱するも着地点はいまだ見えず
(日経DI 2013.05.17 リンクすみません)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201305/530580.html

 ネット販売で大包装品が気軽に入手でき、手元にそれらがあれば、ちょっとした症状ですぐ使ってしまい、肝障害になったり、依存になるなどの潜在的リスクがあるということを、ネット販売推進派の人たちはどれだけ考えているのでしょうか?

 生活者に情報提供を行ったり、販売数の制限をするだけでは、乱用や不正使用、連用による健康リスクが防ぎ得ないからこそ、生活者の不便があったとしても各国がさまざまな対策をとっているのに、現在の検討会では、どうすれば売れるかということだけが議論されているような気がしてなりません。

 もし、自己責任とするのであれば、くすり(特に一般用医薬品)とどう関わり、専門家をどのように利用するかという認識が、生活者の間にどれだけ広がっているかということは大いに疑問です。

 少なくとも、コデイン配合の総合感冒薬の大包装品のネット販売の制限と、コデインやプソイドエフェドリン配合品については、省令できちんとした販売制限を設けるべきだと思います。

 もちろん、店舗販売での適正販売と適正な陳列が行われることはいうまでもありません。

関連情報:TOPICS
 2013.04.18 OTC鎮痛薬の販売制限(デンマーク)
 2013.04.16 OTC薬の大量・頻回購入の対象はブロンだけではない
 2013.02.10 OTC鎮痛薬・風邪薬の包装(販売)制限は必要か
 2012.09.14 日本人はOTCの副作用や依存性はあまり気にかけない?
 2012.07.30 OTC薬の乱用・依存の実態(厚生労働科学研究)
 2012.06.30 OTC鎮痛薬は4日分までに制限すべき(ドイツ)
 2011.05.19 プソイドエフェドリン大量購入者へは購入理由の確認が必要


2013年05月17日 15:14 投稿

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