2011.2.24 一般用医薬品部会議事録

 24日、2月24日開催の一般用医薬品部会(TOPICS 2011.02.25)の議事録が公表されました。前回の部会(TOPICS 2010.11.25、議事録:2011.04.27)に続き、エパデールのスイッチをめぐり、興味ある議論が繰り広げられています。(後半の部分)

薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会議事録
(2011年2月24日開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001g51o.html

 鈴木委員(日医常任理事)や村島委員(国立成育医療センター内科医長)などが強固に反対し、議論がすすまない(かみあわない)ことをうかがわせます。

  • こちら(エパデールSのスイッチ品)に関しては、薬剤の投与そのものが問題であるということです。そのため、軽症の□□□□を多少超えたからといって、いきなり薬を投与するということ自体が、専門とは関係なく臨床医として全く理解できません。そのことから、私は明らかに反対です。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ということがあったとしても、同意できるものではありません。どうしてもお売りになりたいのであれば、健康食品やサプリメント等の形で販売すれば良いと思います。(日医の委員がこの発言にはちょっと・・・・)
  • 内科医の立場でこれに同意するとなると、今まで自分が勉強して経験してきたことが一体何だったのか、かなり、根幹を覆されるようなものだと思います。賛成はできません。

これに対し、日薬の岩月委員は

  • エパデールの一般用医薬品としての販売の位置付けについて、今御意見が出ていたかと思います。私は、スイッチOTCを上市するに当たり、薬学会がリストアップして、それを医学会に投げ、関連する医学会を含めて、その枠組みの中で市販することについての議論があり、専門部会を経て、こちらに出てきていると理解しております。枠組みの意味が全く無く、根底から覆されるとおっしゃられると、私どもはここで何を話したら良いのかということにもなってしまいます。
     したがって、そのような枠組みの中で、何が問題なのか、そして枠組みの中にもう一度返して、何の議論が足りなかったのかという形にしなければ、この枠組みをすべて否定してしまうことにもなるという気がします。

これに対し、医師の委員は

  • 今回は資料が無いので、論理的な意見が言えないのですが、その枠組み自体が本当に議論されたものなのか、説明はありましたか。エパデールを真剣に考えている学会は、どのような意見を出したのでしょうか。事務局の方は、覚えていらっしゃいますか。
  • 学会が何百種類あるのかは分かりませんが、意見が無い時は同意とみなすと聞いております。それでは意見を聞いたことには、ならないと思います。そのようなやり方自体が問題であり、私が日本医師会からここに来ているということは、最後の歯止めとして、そういったものを判断する役割があると思っています。特に、その枠組みを否定するものにはならないと思います。

これに対し、日薬の生出委員は、

  • 岩月委員からもお話がありましたが、平成14年に、一般用医薬品の承認審査合理化の検討会があり、その中でスキームが決まり、平成19年からスイッチOTC化の促進のスキームが確定しました。そのことから、QOLを上げるための薬や膣カンジタの薬、さらに再診を必要とする薬等、次から次へと進んできた一環としてエパデールがあります。すると、岩月委員がおっしゃったように、元に戻してきちんとスキームを再度組み直さなければ、全く進まないことになるのでしょうか。

一方、中立的な立場の宗林委員は

  • 元々、エパデールS600がOTCとして良いのかということは別として、もし販売するのならば、健康食品にするという考え方は、一般消費者として私は容認できません。きちんとした管理も無く、自己責任でEPAを使うことは良いけれど、OTCでは使えないということでは、社会のセルフメディケーションを考えた時の仕組みとしておかしいと思います。
  • 市場には健康食品という形で、医薬品の服用量を超えない範囲でという厚生労働省の通知の下に、その範囲で1日摂取目安量を超えないように調整して、サプリメント、錠剤カプセルを摂取することになっております。薬局の健康食品の中に、EPAは溢れています。高脂血症の方以外も多く利用していて、自己責任でEPAを自由に使うことができてしまう市場は結構大きなものだと思います。もし、それほど注意をして飲まなければいけないものであれば、食品の方も考えていただきたいと思います。
     こちらのOTCに、そんなにリスクがあるのならば、ある所では自由に使えるものが沢山あり、それが医薬品となったら全く使えないということが、本当にEPAのリスクに関わることでの評価であれば、全体像としての審議を是非どこかでしていただきたいと思います。以上が、私の意見になります。

これらに対し、医師の委員は、

  • まず一つは、エパデールの特殊性だと思います。例えば、カンジタ膣錠等のような、すぐに対処が必要な急性のものとバックグラウンドが全然違うと思います。エパデール自身は、恐らく開業医の先生も含めて、広い範囲で処方されていると思います。学会に投げるだけではなく、この分野の高脂血症の権威の方にきちんとお話を伺って、どうあるべきかということをもう少し深く議論していただいた方が良いと思います。
  • エパデールは、高脂血症の薬として売りたいのです。高脂血症は、生活習慣病です。これは、我々一般の国民の常識としては、1に食事、2に運動、最後に薬という形が常識なので、最初に薬ということはあり得ません。そのため、それが根本的におかしいということで、何を言っても医師の良心から、認めるわけにはいかないというレベルの話です。何をしようと無理です。
     報道によりますと、3月末には発売する予定であった業界に衝撃が走ったということですが、この部会で機械的に通ることを想定していたような動きがあったということです。それ自体が、この枠組みを否定するもので、おかしな話ですが、もしそのようなことがあったら、今度はこの部会の審議自体が形骸化されていて、意味をなしていないことになります。今回、この部会の存在が意味をなしたということが、初めて言えたと思います。
  • 循環器の専門の立場として、エパデールという薬はEBMがある日本の素晴らしい薬だと思っています。さらに、メタボリック症候群から、いつcardiovascular eventが起きるのかという中、エパデールは必要だと思います。これに関しては、基本的にしっかりとした医師の判断の下に市販されるべきだと思っています。私は、これに関してはOTCとして、反対する立場です。
  • 健康食品とOTCでは、一般の人たちが受けるイメージは全く違います。EPAとしては普通に手に入るけれど、OTCにはなぜできないのかということについては、また少し議論が違うと思います。
     循環器の先生から御意見が出たので、もうよろしいのですが、高脂血症の薬としてOTCで飲んでいるという思い込みから、健康管理がしっかりいかなくなるということも十分に考えられます。やはり、OTCを飲んでいるということと、健康食品を飲んでいるということでは、意識が違ってくると思います。薬として売り出してしまえば、薬を飲んでいるので安心というところにも結び付きますので、やはり少し違う形で捉えるべきだと思います。

 どうも医師の委員は、サプリメントとして勝手に飲むのはかまわないけれども、くすり(OTC)として飲まれることは問題とのお考えのようです。(なんか変)

関連情報:TOPICS 2011.02.25 第一類医薬品2製品の承認を了承(一般用医薬品部会)


2011年06月24日 18:19 投稿

Comments are closed.