日薬、医薬品のネット販売についての見解を発表

  日薬は21日、医薬品のインターネット販売に関する日薬の見解を発表しました。

医薬品のインターネット販売に関する日本薬剤師会の見解(2008年11月21日)
  http://www.nichiyaku.or.jp/contents/kiseikanwa/n081121.html

 日薬では、「一般用医薬品の販売は対面販売が原則であり、インターネット 販売については禁止、少なくとも第三類医薬品に限定すべきである。」として、その理由として次のような点をあげています。

  • 医薬品には必ずリスクである副作用の発生が伴っている。
  • インターネット販売は、対面販売と異なり、注文、医薬品の輸送、使用、使用後の経過の確認等が購入者との直接の会話を介さずに行われることになる。そのため、薬剤師などの専門家により、リスクを未然に回避したり、症状や副作用の悪化を防いだり、更には医薬品を販売せず受診勧奨をしたりする機会を失わせ、危険性が高まることになることは明らかである。
  • 具体的な被害事例を示すまでもなく、インターネット販売においては副作用被害を受ける可能性が対面販売より高まることは当然のことであり、国民の安全を守ることを任務とする薬剤師として看過することはできない。
  • インターネット販売においては、購入者による販売者の選択は、販売者からの一方的な情報提供のみにより行われており、提供されている情報の真偽の判断が困難であり、更に明らかに違法と思われるものまでが販売されているインターネット販売の現状を勘案すると、インターネット販売の容認は国民の安全の確保を揺るがすことになる。
  • 今回の医薬品販売制度の改正に際しては、平成16 年より公開の場で検討が行われ、平成18 年には国会での議論を経て薬事法が改正された。その後具体的な取扱いの細目について再び公開の場で検討され、今日に至っていることに留意すべきである。
  • 医薬品の販売は、利便性よりも安全性がより確保できる制度のもとで行われることが重要である。

 今回の見解は見ての通り、新たな知見や根拠を基に示されたものではありません。そのため、現時点でもネットのニュース記事で配信されることはなく、インパクトは低いものとなっています。

 今回の見解で、もし「一部の薬局・薬店で、(セルフ販売が行われるなど)対面販売が十分行われていない現状があったが・・」とか、「一部の薬局・薬店で、第三類医以外の医薬品についてネット販売を行っている現状があるが、今後は行わないよう会としても指導をしたい・・」など、現状を踏まえた今後の取り組み姿勢も示したのであれば、おそらくメディアの取り上げ方ももう少し違ってきたのではないでしょうか?

 おそらく、混乱を避けるために、こういったことについては絶対に言及しないのでしょうが、組織として医薬品のネット販売について原則反対を貫くのであるなら、会員にも理解・協力を呼びかける必要があるでしょう。そうでなければ、ネット販売を推進している人たちから理解を得るのはおそらく難しいものになるのではないかと思います。

 薬事日報では、今回日薬が「見解」を公表した背景について、「NPO法人日本オンラインドラッグ協会が見解を発表するなど、ネット販売の規制緩和に向けた動きが騒がしくなってきたことを受けたもの」と伝え、必ずしも主体的な態度表明ではないことを伺わせています。さらなる取り組み姿勢を示すことが求められていると言えましょう。

関連情報:TOPICS
    2008.11.22 日本オンラインドラッグ協会が新たなガイドラインを公表
    2008.11.13 楽天、医薬品のネット販売の継続を求めてネット署名を開始    

参考:日薬、ネット販売で見解‐「第3類に限定」を主張
     (薬事日報 HEADLINE NEWS 11月25日)
     http://www.yakuji.co.jp/entry8573.html


2008年11月25日 14:09 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

     

    日本薬剤師会、全国医薬品小売商業組合連合会、全国配置家庭薬協会、全日本薬種商協会、日本医薬品登録販売者協会、日本置き薬協会、日本チェーンドラッグストア協会、日本薬局協励会、日本薬業研修センターの薬業9団体は28日、一般用医薬品のインターネット販売に関する緊急合同記者会見を開催し、共同声明を発表しました。

    医薬品のインターネット販売に関する薬業9団体の共同声明(2008年11月28日)
     http://www.nichiyaku.or.jp/contents/kiseikanwa/pdf/kyoudou_seimei.pdf