薬局間の医薬品分譲に大きな影響も(偽造品流通防止対策・中間とりまとめ)

 ハーボニーの偽造品が流通したことを発端に設置された検討会がこのほど、中間とりまとめ(案)をまとめ、6月8日開催の検討会で大筋了承されたそうです。

医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-iyaku.html?tid=430039

医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会中間とりまとめ(案)
(第4回 医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会 2017.06.08開催)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/iryouyouiyakuhinnnogizouhinnryuutuubousikentoukai4-2.pdf

 今後このとりまとめを元に、省令が改正されるとのことですが、現場にとっては、在庫品がないときに、薬局間で行われている、医薬品の分譲(小分け)に大きな支障が出る可能性があります。

以下、とりまとめ(案)の関連部分を抜粋します。

 薬局は、薬剤師が患者に対し、販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所であり、薬局の管理者は、「実地」の管理を求められている。また、薬局では例外的に、他の薬局などの業者との間で、医薬品の譲り受けや譲り渡しが行われることがある。

 こうした実態に加え、先述のとおり、薬剤師・薬局関係3団体においてガイドライン(→リンク)の作成等の自主的な取組が進められていることも踏まえながら、薬局開設者や管理薬剤師のそれぞれの責務に応じた遵守すべき事項を明確にするとともに、薬局に関する対策として、以下の事項を実施する必要がある。

(1)譲受・譲渡時の対応

  •  医薬品の譲受・譲渡にあたっては、許可証や身分証等による相手方(譲渡人、譲受人)の身元の確認(許可番号、氏名等)をすること
  • その際、確認した内容と併せてその確認手段も記録すること
  • こうした確認は、取引ごとに行うことが望ましいが、契約に基づき継続的な取引が行われる場合は、物の引き渡しと代金の支払いとが、別々のプロセスとして行われることが一般的であること等から、契約時の初回に確認することで足りることとするなど、効率性の観点から一定の配慮を行うべきであること
  • 医薬品の譲受・譲渡の際の記録事項として、現状の氏名等に加え、相手方の住所、医薬品のロット番号、使用期限等を書面に記載し、保存すること
  • 医薬品の譲渡にあたっては、全ての供給品において、上記の記録事項等を記載した文書(例えば、納品書)を同封すること
  • 医薬品の譲受にあたっては、到着した医薬品が正しいこと、目視できるような損傷を受けていないことなどを確認すること
  • なお、同一法人内の薬局間における医薬品の譲受・譲渡に係る取引については、記録義務に疑義があったことを踏まえ、同一法人内の薬局等であっても、開設許可ごとに別個の者とみなし、取引に係る記録及びその保存を薬局ごとに行うことを明確化すること

(2)薬局の管理

  • 薬局開設者の遵守事項として、職員研修や、業務手順書等に偽造品対策のための各種対応( 取引時の相手方の適格性の確認、品質に疑念のある医薬品を発見した際の対応、医薬品を返品する際の取扱い、自己点検の実施等)を位置付けること
  • 特に、品質に疑念のある医薬品を発見した際の対応については、その具体的な手順として、仕入れの経緯の確認、販売・輸送の中断、隔離、行政への報告等を業務手順書に明記する必要があること
  • また、偽造品の混入や開封済みの医薬品の返品を防ぐため、返品の際の取扱いについても業務手順書に明記する必要があること
  • 管理薬剤師の責務として、偽造品対策のための各種対応(仕入先及び販売先の確認、返品された医薬品の最終処分の判断等)を位置付けること
  • 製造販売業者により医薬品に施された封を開封して販売・授与する場合(調剤の場合を除く)には、開封した者(薬局)を明確にするため、その名称・住所等の表示を新たに求めるとともに、開封に係る取扱い等を業務手順書に位置付けること
  • 患者等に対して販売包装単位で調剤を行う場合、販売・授与された薬剤が再度流通することがないよう、患者等に対して外見から調剤済みと分かるような措置を検討し、それを徹底すること
  • 医薬品は明確に識別された状態で隔離された区域に保管し、医薬品の保管区域への立入りは、権限を与えられた職員のみに限定すること
  • 医薬品の廃棄に係る記録について、薬局の管理に関する帳簿に記載すべき事項として位置付けること

 確かに、過去にも医療用医薬品の偽造の問題がなかったわけではありませんが、譲渡・譲受の記録とこれらを行う際の伝票等の様式の作成、業務手順書の作成など、一薬局の安易な行動のために、なぜこんなにまた現場の業務負担が増やされるのかという思いです。

 近く、これらをもとに省令案(罰則規定が当然もうけられる)が作成され、案についてのパブリックコメントが行われると思いますので、現場としての疑問点や意見については、積極的に提出しましょう。

関連情報;薬局間における医療用医薬品の譲受・譲渡に関するガイドラインの公表
       (日本薬剤師会 2017.03.31)


2017年06月10日 23:25 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    8月10日を期限にパブリックコメントが開始されています。

    下記ページに概要をアップしました(意見提出先リンクあり)

    薬局業務に影響があるパブコメ始まっています
    http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/170702.html

    詳細は検討会での議論を踏まえて一方的に決められる可能性があります。疑問点や意見は積極的に提出しましょう。