平成24年度一般用医薬品販売制度定着状況調査

 もう旬な話題ではありませんが、これまでも紹介してきたので今回も記事にしました。厚労省は7月26日、今年の1~2月に行われた、一般用医薬品が改正薬事法の規定通りに販売されているかどうかの調査結果を発表しています。

平成24年度一般用医薬品販売制度定着状況の調査結果
(厚生労働省 2013.07.26)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000037iru.html

報告書
 概要:http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=146694&name=2r98520000037itb.pdf
 全文:http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=146695&name=2r98520000037ixq.pdf

 この調査は、2009年6月1日から全面施行された改正薬事法に伴い、新たな一般用医薬品販売制度が創設された。本調査は、制度改正の趣旨を踏まえ、一般消費者の立場から、実際の販売現場における制度の定着状況などの実態を把握することを目的として実施されています。

 調査対象は、全国の薬局・薬店から立地や人口規模などを考慮して抽出した薬局2,762店舗・店舗販売業3,776店舗の合計6,538店舗(チェーン5,029、独立 1,509)を対象に行われています。(栃木県は100店舗)

 調査方法は、民間業者の調査員が一般客を装って購入する覆面調査形式で実施され、第1類医薬品の取扱いがある店舗では、「胃腸薬(H2ブロッカー)」「解熱鎮痛薬」「外用消炎鎮痛剤」を、第1類の取扱いがない店舗では、「総合感冒薬」を対象として調査を行ったそうです。(今回も具体的なシナリオはわからない。ケースによって対応が異なることも考えられるので、明らかにする必要があるのでは)

 その結果、次のようなことが明らかになったそうです。(主なところをこれまでの調査結果と比較してみました)

  H24調査 H23調査 H22調査 H21調査
第1類医薬品の取扱い状況 全体59.8%
 薬局 86.5%
 店舗販売業
 40.3%
 
全体66.4%
 薬局86.0%
 薬店48.7%
全体66.8%
 薬局88.0%
 薬店43.3%
全体67.5%
 薬局88.4%
 薬店47.6%
  独立店68.1%
チェーン店 57.3%
独立店78.7%
チェーン店60.5%
独立店68.3%
チェーン店63.5%
独立店57.1%
チェーン店78.8%
第1類医薬品を取り扱う店舗のうち、リスク分類別の陳列が規定通り陳列されていなった割合 全体10.9%
 薬局 8.5%
 店舗販売業
 14.6%
全体15.2%
 薬局13.2%
 薬店18.4%
全体10.3%
 薬局10.2%
 薬店10.6%
全体2.4%
 薬局2.4%
 薬店2.3%
  独立店8.9%
チェーン店11.6%
独立店13.6%
チェーン店16.2%
独立店14.3%
チェーン店7.0%
独立店4.3%
チェーン店0.9%
店舗の従事者全員が名札を全員つけていなかった割合  薬局5.6%
店舗販売業4.9%
薬局13.9%
薬店3.9%
薬局19.1%
薬店17.1%
薬局22.8%
薬店33.2%
リスク分類の定義・解説の掲示を確認できた割合
(※リスク分類の定義・解説の掲示は、2012年5月31日まで経過措置がとられている。)
薬局32.9%
店舗販売業36.0%
薬局55.5%
薬店54.0%
薬局40.5%
薬店38.6%
薬局31.5%
薬店28.1%
第1類医薬品の販売時の対応        
→文書を用いた情報提供  60.7% 55.2% 31.5% 46.5%
→文書を渡されたが詳細な説明がなかった  2.0% 1.3% 2.9% 7.1%
→口頭のみ  32.4% 38.6% 59.1% 22.5%
→説明なし  4.9%  4.9% 6.5% 19.8%
第1類医薬品を購入しようとした際の情報提供者        
→薬剤師 88.4% 84.5% 74.0% 70.4%
→登録販売者  5.0% 6.0% 8.1% 3.3%
→一般従事者(名前のみ)  1.6% 2.1% 3.4% 2.9%
→名札未着用もしくは見えなかった  4.9% 7.4% 14.5% 23.4%

 全般的には、第1類医薬品販売時の文書を用いた情報提供の割合が改善してますが、経過措置が過ぎたにもかかわらず、約1/3の店舗でリスク分類の定義・解説の掲示を確認できていないことは、まだ改正薬事法の周知が徹底していることがうかがえます。

 また、第1類医薬品の取扱い率が6割にしか達していない点、特に店舗販売業では4割(つまり5店舗中2店舗しかない。これじゃ生活者から苦情が出るのは当然)にしかない点が示すように、売る側の事情で第一類の取扱いが行われず、入手したくてもできない状況(即ち、薬剤師がいない店舗が増えている)がうかがわれます。(つまり、今後は第一類はネットでの販売ニーズが高まるってこと?

 今回も、郵便等販売に関する調査や配置販売に関する調査も行われています。紹介は省略しますが、これまでの調査と比較してみて下さい。

 なお、今年は登録販売者の研修実態の調査結果についても明らかになっています。

 今回の調査結果については、ネット販売が事実上解禁となったこともあり、全国紙でとりあげたのはおそらく時事通信だけで、その他の全国紙にはもう関心がないのかほとんど取り上げられませんでした。

関連情報:TOPICS
 2012.12.24 第1類の書面による情報提供を行う店舗は55%までに改善
 2012.01.20 第1類の書面による情報提供を行う店舗は3割に留まる
 2010.06.18 2割の店舗で第一類の説明を行わず(覆面調査の結果が公表)


2013年08月03日 15:16 投稿

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