医薬品産業ビジョン2013

 厚労省ではこのほど、「医薬品産業ビジョン2013」を策定し、26日WEBで公表しています。

「医薬品産業ビジョン2013」、「医療機器産業ビジョン2013」について
(厚労省 2013.06.26)
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shinkou/vision_2013.html
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shinkou/dl/vision_2013a.pdf

 「医薬品産業ビジョン」の策定は、2002年に次ぎ策定された2007年のもの(TOPICS 2007.08.31)以来6年ぶりですが、一般用医薬品に関する政策については、そのときに示されたアクションプランや課題・将来像として掲げたものが実現していないことがわかります。

新医薬品産業ビジョン
~イノベーションを担う国際競争力のある産業を目指して~
(2007.08.30)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/08/dl/h0830-1b.pdf

「生命の世紀」を支える医薬品産業の国際競争力強化に向けて
~医薬品産業ビジョン~
(2002.08.30)
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/08/dl/s0830-1c.pdf

 このうち、一般用医薬品と医薬品小売業の部分について抜粋します。

医薬品産業ビジョン
2013年
医薬品産業ビジョン
2007年
医薬品将来ビジョン
2002年
  • 一般用医薬品の国内市場の直近動向をみると、メーカー側の一定の努力は見られつつも、市場規模は、前回ビジョン策定以降、6,200~6,500 億円の間で推移していることが示すように、景気の低迷や消費者の低価格志向等を背景に全体的に停滞している。
  • 一方で、急速な高齢化の進展や生活習慣病の増加などの疾病構造の変化、QOLの向上への要請等に伴って、自分自身の健康に対する関心が高い生活者も増加している。そのような中で、医師や薬剤師等の専門家による適
    切なアドバイスにより、自らの健康を管理し、その増進を図る「セルフメディケーション」の考え方に立ち、そのための1つの手段として、一般用医薬品の有用性を指摘する声も出てきた。
  • このような背景のもと、厚生科学審議会での「医薬品販売制度改正検討部会報告書」(2005 年12 月15 日)の提言、そして「薬事法の一部を改正する法律」(2009 年6 月1 日全面施行。以下、「改正薬事法」という。)など、一般用医薬品に関しても様々な検討と、消費者による一般用医薬品の適切な選択・使用に資するための環境整備(一般用医薬品の販売制度の見直し)等が進められてきた。
  • また、国民の健康ニーズの多様化を踏まえ、新規効能を持つ一般用医薬品の開発促進や、医療用医薬品の一般用医薬品への転用、いわゆる「スイッチOTC」化も進んできている。このスイッチOTC医薬品については、前回ビジョン以降、2008 年8 月には7成分、2009 年9月には8成分、2010年3月には2成分、11 月には4成分のスイッチOTC医薬品候補成分を公表してきたところである。今後、より適切なスイッチOTC化を進めるために、新たなスキームの検討を行うこととしている。
  • 家庭薬や伝統薬等の一般用医薬品は、国民生活の中で長く使われてきた実績がある。今後、セルフメディケーションへの理解が進めば、その一翼を担う一般用医薬品には、消費者のQOLニーズに応えていくことが期待される。
  • 他方、セルフメディケーションの推進については、医師・薬剤師等の医療関係者と地域住民が認識を共有し、いかにして患者中心に医療機関等と薬剤師が関わるかという観点が重要である。このため、その考え方や一般用医薬品の在り方等に関して、引き続き多くの関係者(医師、薬剤師、メーカー、薬局・医薬品小売業者、医薬品卸売業者、利用者である国民、そして行政など)によって広く議論が行われる必要がある。こうした議論等も踏まえて、国としても、そのための政策を検討することが必要である。
  • セルフメディケーションの考え方を、さらに進める観点から、一般用医薬品の有効活用を進めていくことが重要であるが、近年、一般用医薬品市場は減少傾向にある。一方で特定保健用食品市場は伸びており、国民の関心は病気予防や健康増進に向けられ、健康食品・サプリメント等の購入につながっているものと考えられる。
  • 他方、高齢者の全人口に占める割合がさらに増加し、国民の健康ニーズも多様化している中で、今後、一般用医薬品の有効活用を進めていくためには、国民の新たなニーズに対応し得る一般用医薬品及び医薬部外品の育成やスイッチOTC医薬品の開発の促進が必要である。
  • 特に、医療用医薬品からの転換による「スイッチOTC医薬品」や新規効能を持つOTC医薬品の開発の促進が進むことにより、従来一般用医薬品に求められていた効能・効果を超え、国民が求める健康等新たな志向(例えばメタボリックシンドロームの予防、スキンケア効果など)に応えることができると考えられる。一方で、スイッチOTC医薬品は、医療用医薬品のオリジナル開発企業にとっては、スイッチ化により消費者が自由にその医薬品を購入できることとなり、市場が広がるとともに製造販売承認取得後、通常3年間の安全性調査が課せられるため、結果としてその期間は市場を独占できることとなり、新薬のライフサイクルを考えた場合、一つの魅力的な市場分野であると考えられ、一層のスイッチOTC医薬品の促進が期待されている。
  • しかしながら、スイッチOTC医薬品については、開発のリスクが大きいことなどから、最近5年間に新たにスイッチOTC医薬品として承認された品目は限られているなど、医療用医薬品の有効成分の一般用医薬品への転用が円滑には進んでいないのが現状である。
  • このため、本年3月に厚生労働省の一般用医薬品部会において審議・了承された医療用医薬品の有効成分の一般用医薬品への転用に係るスキームに従って、定期的に医療用医薬品の有効成分のうち一般用医薬品として転用することが適当と考えられるものについて、医薬品関係学会にその概要案のとりまとめを依頼し、医療関係学会の意見を聴いた上で、薬事・食品衛生審議会において討議・公表することにより、その転用を、透明性を図りつつ、積極的に推進することとする。(2007 年度~)
  • また、スイッチOTC医薬品の承認申請に当たり障害となっている事項や、速やかな上市に向け、迅速かつ透明性に優れた審査体制の整備について検討する必要がある。
  • さらに、セルフメディケーションの普及やOTC医薬品の選択肢拡大の推進に当たって、国民の支持の下に進めることが重要であり、それに向けた産官学の協力体制整備についても検討する必要がある。
  • 今後の本格的な高齢化時代において、セルフメディケーションを進める観点から、大衆薬の有効活用を進めていくことが重要であるが、一般用医薬品と新医薬部外品(いわゆるドリンク剤等)を合わせた大衆薬市場の市場規模(=出荷金額-輸出金額)は、医薬品市場全体の14%で近年わずかながらも減少傾向にあり、欧米におけるシェアと比べても低くなっている。
  • この原因の1つとしては、国民のニーズに合致したスイッチOTC(over-the-counter)薬が少ないことがあげられることから、国民から期待される一般用医薬品の役割、機能を発揮させるため、特に生活改善薬、生活習慣病及びセルフチェック等の、セルフメディケーションが期待される分野について、薬局や薬店の薬剤師などの専門家による適切なアドバイスのもとで国民が自分自身で正しく使用できるスイッチOTC薬の推進を図るなど、国際的整合性を図りつつ大衆薬市場の活性化に努める。こうした観点から、現在、「一般用医薬品承認審査合理化等検討会」において、一般用医薬品の承認審査に関しての見直し方策を検討中である。(2002年度~)
  • 2011 年度末現在で、薬局数は約5万5千軒、店舗販売業と薬種商販売業を合計した薬店数は約2万4千軒となっている。改正薬事法に基づく一般用医薬品の新販売制度がスタートした直後の2009 年度末現在の数に比べても、それぞれ増加しているが、配置販売業は減少傾向にある。同じく改正薬事法により創設された資格である登録販売者は、2012 年度末現在で約12万人に達した。
  • 薬局・薬店については、チェーン薬局やチェーンドラッグストアと呼ばれる経営資本の大きな業者が、大規模病院の門前などを中心に積極的に出店していることから、依然として増加傾向にある。同時に、ドラッグストア・チェーン薬局を展開する大手企業との提携等による異業種の医薬品小売業への参入、生活雑貨店の一部門としての全国津々浦々への展開により、調剤・一般用医薬品販売とも競争環境は一層激化している。今後も、新規出店、M&Aや資本提携による寡占化・グループ化などにより大手企業の業容拡大・維持が予想されるが、そのことは、中小零細、個人経営の薬局・
    薬店の経営環境が一層厳しさを増すことを意味する。

 

(薬局・医薬品小売業者の課題と将来像)

  • 医療制度改革により、2007 年4月より薬局は医療提供施設として明確に位置付けられた。また、健康日本21(第2次)においては、「薬局薬剤師は、住民に顔の見える薬剤師、すなわち、本来の『かかりつけ薬局・薬剤師』としての職務や薬局の機能・役割を積極的に担う必要がある。そのような薬局を増やし、育成することを目的とする。」と示されており、街の身近な健康ステーションとしての役割が期待されている。これまでのような、病気にかかっても処方箋が無ければ入りづらい薬局から、専門性を活かして医薬品に関連する相談が気軽にできる身近な薬局への変革が求められる。
  • 薬局については、医薬分業や後発医薬品使用の一層の進展などに的確に対応するとともに、地域における医薬連携や在宅医療への、より積極的な参画・貢献が求められる。つまり、処方箋を持ってくる患者に対する調剤を的確に行った上で、薬局は医療提供施設、薬剤師は医療提供者として、社会に認知されるかの真価がこれまで以上に問われていると言える。
  • また、地域に根ざした薬局・薬店の薬剤師・登録販売者が、地域の生活者のニーズに的確に応え、一般用医薬品等の販売を通じた服薬指導や相談応需、受診勧奨、アドバイスを確実に実践していくことが求められる。このことは、セルフメディケーションの考え方にも合致するものである。
  • 全国に約5万5千軒ある薬局は、上記のように、調剤を始め、在宅医療からセルフメディケーションの支援まで様々な業務があり、地域のインフラとしての役割を積極的に果たす必要がある。また、調剤を実施する薬局は、医療提供施設としての役割を果たす必要があり、加えて、保険薬局として、公的医療保険の安定的な運営に対する責務も有している。大規模かつ広域に業務を展開している大手企業については、立地性に依存し、一部の業務に特化した業務展開を進めているとの指摘もあり、こうした役割・責務を着実に果たすことが求められる。
  • さらに、医療情報の電子化については、薬剤師と患者のコミュニケーションの円滑化、在宅医療での利便性の向上、さらに患者にとってもより多くの医療情報が管理できるなど、メリットも多い。例えば、お薬手帳の情報をスマートフォン等に記録させる「電子版お薬手帳」など、患者の服薬履歴の電子化の推進・拡大に向けた取組への積極的な関与も必要である。
  •  薬事関係業態数調(2005 年3 月末。厚生労働省)によると、薬局は約51,000、一般販売業は約11,000、薬種商販売業は約13,000、配置販売業は約10,000 であり、総数約
    86,000 と、2000 年度に比べ約2,000 減少した。
  •  医薬分業の進展(2005 年度処方せん受取率54.1%(日本薬剤師会調べ))により薬局は増加している。一般販売業もドラッグストア業態の伸長に合わせて増加してきたが、2001 年度以降は減少を続けている。薬種商販売業や配置販売業、特例販売業も減少の一途をたどっている。
  • 平成18 年の薬事法改正において、一般用医薬品の販売制度を見直し、リスクの程度に応じた情報提供及び相談体制の整備を行った。これにより、安全上特に注意を要する成分を含む特にリスクの高い医薬品については従来通り薬剤師のみが販売可能だが、それ以外の比較的リスクの低い一般用医薬品等については、都道府県が行う試験により、医薬品の販売等に従事するために必要な資質を有するこ
    とが確認された登録販売者でも販売可能となった。

 

(医薬品小売業の課題と将来像)

  • 近年、医薬分業の進展等を受けて、チェーン薬局やチェーン・ドラッグストアと呼ばれる経営資本の大きな医薬品小売業者が増加し、従来からの薬局等も含めた激しい販売競争が起きている。医薬品小売業の経営主体が多様化し競争が生じることにより一般用医薬品等の価格の低下やサービスの向上へとつながることは望ましい。
  • 1999 年3 月に実施された医薬品の販売規制緩和(15 製品群の医薬部外品への移行)は、中小の薬局・薬店の経営に大きな影響を与えた。コンビニ業界をはじめ一般小売店のさらなる医薬品の販売規制緩和への求めにより、2004 年7 月には371 品目の一般用医薬品を医薬部外品へと移行した。規制緩和は我が国経済の活性化や消費者の利便性の向上を目的に実施されているが、医薬品の販売規制緩和については、医薬品の適正使用や安全性確保という観点を十分踏まえて、引き続き慎重に対応していくことが必要である。
  •  いずれにしても薬局等は、業界の中での競争や規制緩和による異業態との競争が進む中で、今後もより一層、他の薬局等や他の業態との差異を明確に打ち出し、地域の生活者のニーズに的確に対応し、信頼確保を図ることが求められる。
  • 具体的には、薬剤師等の専門家が適切なアドバイスを行うことにより、地域に密着したヘルス・ステーションとしての役割を確立し、地域の生活者のセルフ・メディケーションの推進に貢献していくことである。すなわち地域の生活者に身近な薬局等が、セルフ・メディケーションの手段となるスイッチOTC医薬品をはじめとする一般用医薬品等の販売を通じて、日常的な軽度の疾病に対する症状の改善や疾病の予防など地域の生活者の健康づくりを積極的にサポートしていくことが重要である。
  • また、ITの急速な進展を踏まえ、これを活用した販売戦略を検討していく必要がある。医薬品の販売において、患者に対し、使用方法や副作用等の情報の提供は極めて重要であるが、薬局等がITを活用して、地域のヘルス・ステーションとしてこうした情報の提供や収集に努めていくことが期待される。また、仕入れや在庫管理等の流通面におけるITの活用も薬局等の経営を考えていく上で必要である。
  • 特に、医薬分業の進展及び医療制度改革により、地域における医薬品等の供給拠点として重要な役割を担う薬局については、かかりつけ薬局としての役割の発揮や質の高い医薬分業の実施、地域における保健衛生の向上など、地域医療政策という観点から適切に対応していくことが必要である。
  • かかりつけ薬局という観点からは、医療用医薬品の適正使用の推進だけでなく、スイッチOTC医薬品などの一般用医薬品の使用促進により軽度医療の中での保健業務に積極的に参加すべきである。また、在宅医療患者に適切に医薬品を供給し、服薬指導を行う等の役割も期待される。
  • なお、後発医薬品の使用促進においては薬局が果たす役割も大きい。後発医薬品への変更を可とする処方せんを提出した患者に対して、価格差等の後発医薬品に係る適切な情報提供を行い、その患者が希望した場合には後発医薬品を調剤すること等により、医療保険財政の健全化や患者負担の軽減、さらには患者の医療の選択への参加を可能とすることなどに貢献することが求められている。
  • 2001年3月末の薬事業態数調べ(厚生労働省)によると、薬局は約47,000、一般販売業は約14,000、薬種商販売業は約16,000、配置薬販売業は約12,000となっている。全体では約88,000と、前年に比べ750ほど増加している。
  • 薬局は、医薬分業の進展(平成12年度で分業率は39.5%)により調剤薬局が著しく増加している。一般販売業はドラッグストア業態の伸長に合わせて数を増やしてきたが、1998年度以降調剤薬局への業態変更等により減少に転じている。また、明治以前から我が国に存在する薬種商販売業や配置薬販売業も減少の一途をたどっている。

 

(医薬品小売業の課題と将来像)

  • 近年、医薬分業の進展等を受けて、チェーン調剤薬局やチェーン・ドラッグストアと呼ばれる経営資本の大きな医薬品小売業者が増加し、従来からの薬局等も含めた激しい販売競争が起きている。競争そのものは医薬品等の価格の低下やサービスの向上につながり望ましいことではあるが、都市部における薬局等の乱立など行き過ぎた競争は結果的に消費者の期待を裏切ることになりかねない。
  • 1999年3月に実施された医薬品の販売規制緩和(15製品群の医薬部外品への移行)は、中小の薬局・薬店の経営に大きな影響を与えた。コンビニ業界をはじめ一般小売店はさらなる医薬品の販売規制の緩和を求めている。規制緩和は我が国経済の活性化や消費者の利便性の向上を目的に実施されているが、医薬品の販売規制緩和に当たっては、医薬品という生命関連商品の特性、すなわち医薬品の適正使用や安全性の確保という観点を十分踏まえて、慎重に対応していくことが必要である。
  • いずれにしても薬局等は、業界の中での競争や規制緩和による異業態との競争が進む中で、今後、他の薬局等や他の業態との差異を明確に打ち出し、地域の生活者のニーズに的確に対応し、信頼を確保していくことが求められる。具体的には、薬剤師等の専門家が適切なアドバイスを行うことにより、地域に密着したヘルス・ステーションとしての役割を確立し、地域の生活者のセルフ・メディケーションの推進に貢献していくことである。すなわち地域の生活者の身近なところにいる薬局等が、セルフ・メディケーションの手段となる大衆薬等の販売を通じて、日常的な軽度の疾病に対する症状の改善や疾病の予防など地域の生活者の健康づくりを積極的にサポートしていくことが重要である。
  • また、ITの急速な進展を踏まえ、これをいかに活用していくかも重要な課題である。医薬品の販売において、患者に対する使用方法や副作用等の情報の提供は極めて重要であるが、薬局等がITを活用して、地域のヘルス・ステーションとしてこうした情報の提供や収集に努めていくことが期待される。また、仕入れや在庫管理等の流通面におけるITの活用も、薬局等の経営を考えていく上で必要である。
  • 特に、医薬分業の進展により医薬品小売業において大きな位置を占めるに至った調剤薬局については、かかりつけ薬局としての役割の発揮や質の高い医薬分業の実施など、医療政策という観点から検討を行い、適切に対応していくことが必要である。

 一般用医薬品市場の縮小もこれを物語っています。

  市場規模(日本)の推移
    →2000-2011 →1990-2000

  医薬品市場規模 うち一般用医薬品 構成比
1990(H02) 6兆0127億円 8758億円 14.6%
2000(H12) 6兆6850億円 8164億円 12.2%
2010(H22) 9兆3105億円 6300億円 6.8%

 もともと、市販薬が高すぎたという見方もありますが、セルフメディケーションの推進を掲げながらどうして、ここまで市場が縮小してしまったのでしょうか?(この間に、藤沢+山之内+三共+第一が、ブランド名を残して、第一三共ヘルスケアになったのが象徴)

 やはり、将来展望を持って、医療用医薬品のスイッチを厚労省がすすめなかったためではないかと思います。

 5年後くらいに、新たな「医薬品産業ビジョン」が出てくると思いますが、今年のネット販売の容認で市場規模がどうなっているか楽しみですね。(スイッチが推進されなければ、おそらくほとんど変わらないか、むしろ縮小すると思う)

 また、ビジョン2013に

  • 他方、セルフメディケーションの推進については、医師・薬剤師等の医療関係者と地域住民が認識を共有し、いかにして患者中心に医療機関等と薬剤師が関わるかという観点が重要である。このため、その考え方や一般用医薬品の在り方等に関して、引き続き多くの関係者(医師、薬剤師、メーカー、薬局・医薬品小売業者、医薬品卸売業者、利用者である国民、そして行政など)によって広く議論が行われる必要がある。こうした議論等も踏まえて、国としても、そのための政策を検討することが必要である。

と記されてはいますが、これについては厚労省が「セルフメデフィケーションをどう推進するか」「地域薬局や地域薬剤師をどう活用する」といったことを、きちんとした意思をもってすすめないと、おそらくうまくいかないと思います。

 次の「ビジョン」で、また同じような文言が並ばないことを祈ります。

資料:医薬品・医療機器産業の振興について
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shinkou/

関連情報:TOPICS
2012.12.28 スイッチOTCについてオープンな議論を求める要望書
2012.03.01 OTCを活用した薬剤師の新しい役割を検討へ(米FDA)
2011.08.15 スイッチ候補10成分についての関係学会の意見
2011.04.08 厚労省、スイッチ候補10成分を公表
2011.04.11 スイッチ成分として不適切だとするその理由は?
2010.06.08 厚労省、スイッチ候補19成分を公表
2009.11.05 こんな進め方ではスイッチOTCが増えることはない
2009.08.28 日本は本気でセルフメディケーションを推進する気があるのか?
2009.04.28 厚労省、スイッチ候補18成分を公表
2008.12.05 英国におけるスイッチOTC25年の歩み
2007.08.31 新医薬品産業ビジョン


2013年06月27日 02:10 投稿

コメントが1つあります

  1.  どうのこうの言っても、制度医療にしがみついている人々があまりにも多数にのぼり、身動きができないまま転落しているのが実情と思います。
     OTC市場もさることながら、新薬についても市場での回収の見込みがないことから、海外企業は日本市場の優先度を引き下げているとおもいます。 
     今回のものも、様々なしがらみの中で、改訂が行われたものと理解しています。実現に向けた関係者の取り組みが問われています。