ニュージーランド当局のMEDSAFEは5月1日、今年2月26日に開催された医薬品分類委員会(Medicines Classification Committee)の記事録を公開し、アロプリノールの要薬剤師薬への再分類が同意されたことを明らかにしました。
【MEDSFAFE 2025.05.01】
Minutes for the 73rd meeting of the Medicines Classification Committee held at 133 Molesworth Street, Wellington on 26 February 2025
https://www.medsafe.govt.nz/profs/class/Minutes/2021-2025/73mccMin26Feb2025.htm
ニュージーランドでは、これまでもアロプリノールのスイッチへについては、この会議において検討されてきました。
2021年5月に開催された会議では、
- 痛風に関連する併存疾患を見逃すリスクおよび/または治療不足のリスクがある
- 医師によるフォローアップの前に薬剤師が患者をフォローアップする期間をどうするか
- 地域薬局と診療所間の管理を可能にする電子ケアプランの不在
- 薬剤師の研修や教育に関わるプロセスが不十分
といった指摘が行われ、「医療へのアクセス問題の解決と遠隔地におけるケアの継続性の向上に役立つ可能性がある」ことや、満たされていない臨床的ニーズがあることには同意されたものの、分類の変更だけでは健康アウトカムと公平性の改善への影響は限定的であるとして、保留となっていました。
Minutes of the 66th meeting of the Medicines Classification Committee held in Wellington on 11 May 2021
https://www.medsafe.govt.nz/profs/class/Minutes/2021-2025/mccMin11May2021.htm
そして、2025年2月26日に開催される医薬品分類委員会で、アロプリノールの分類変更を提案すると発表
Agenda for the 73rd meeting of the Medicines Classification Committee to be held on 26 February 2025.
https://medsafe.govt.nz/profs/class/Agendas/Agen73/agen73.htm
(MEDSAFE 2024.11.18)
会議に先だち、下記のような販売のためのプログラムが提案され、これを基に再分類するかどうかの議論が行われました。
Submission for medicine reclassification for consideration by the Medicines Classification Committee
https://www.medsafe.govt.nz/profs/class/Agendas/Agen73/Allopurinol.pdf
治療の空白を避け、痛風の発作を避けるためには、継続的な供給が重要です。
アロプリノールの投与の空白を避けることで、抗炎症薬やその他の急性痛風治療の必要性も減り、救急外来受診での受信を減らし、本人にとって仕事やその他の活動を休む時間も減らす可能性があります。
本申請は、特別な訓練を受けた薬剤師がHealthPathwaysに従ってアロプリノールを漸増投与することを支援し、痛風患者が自分に合った適切な用量になるよう継続供給を行うことで、アクセスの障壁を減らし、治療の空白期間や漸増投与再開の必要性を減らすことを目指すものです。
これにより、痛風発作の減少、欠勤や出勤の減少、賃金の損失の減少、家族、社会、スポーツ、教会生活を欠席する時間の減少、痛風患者の世話をするために家族が休暇を取る必要性の減少などのメリットが得られます。
承認された研修プログラムの臨床基準および適格基準を満たす人に痛風の予防のために提供される場合、薬剤師会の要件を満たす薬剤師によって提供されることを提案します
一部の地域では、薬剤師による用量調整と継続供給を可能にする薬局痛風プログラムが実施されている
そして、
- 患者の用量漸増と治療継続が容易になる。
- より多くの患者が最適用量を達成することができ、治療の空白期間が少なくなることで、患者にとって非常に明確な利益となる。具体的には、痛みの軽減(痛風は非常に激しい痛みを伴い、非常に衰弱させるものであることに注意)、休職や収入減の軽減、家族の負担軽減(仕事や学校を休まなければならない場合もある)、孤立感の軽減、家族・教会・社会・スポーツ生活への参加の増加など、メリットは、痛⾵患者本人だけにとどまらない。
- 痛風を管理することで、GPは他の健康ニーズや予防治療に集中することができる。
- 各地域で作成され、Health NZによるレビューされ、署名され、地域のGPまたはその地域の担当者によって署名され、監査される必要のある常備薬の負担を軽減します。
- 薬剤師は、他の多くの治療分野で行っているように、全国的なシステムを利用し、その中で責任をもって働くことができる。論理的な管理改善により、救急外来への痛風患者の受診、GPへの緊急予約の必要性、入院の必要性が減少する。これは、ライマリーケアとセカンダリーケアの負担が大きい中、重要な利点である。
- 痛⾵をうまくコントロールすることで、関節障害、腎障害を含む長期的な後遺症を軽減する。
といったスイッチの利点としてや、リスクなどについてが示されました。
また、議題に対しては、17件のコメント寄せられ、再分類を支持するものでした。
議題に関するコメント
https://www.medsafe.govt.nz/profs/class/Agendas/Agen73/MCC_73_Allopurinol_Comments_Binder_FINAL.pdf
議論の結果、本申請がニュージーランドにおける痛風治療の質と公平性の両方を向上させるという点で、大きな潜在的利益を有することが同意されました。
一方で、年1回のeGFR検査を求めることについても同意されました。
委員会は、アロプリノールの分類を以下のように変更すべきであるとした勧告をまとめました。
処方箋医薬品だが、承認された研修プログラムの臨床基準および適格基準を満たした人に痛風の予防のために提供される場合についてはこの限りではない。(=要薬剤師薬)
日本もこういった合理的な考えのもと、生活改善薬のスイッチをすすめるべきではないでしょうか?
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2025年05月01日 16:12 投稿