子宮頸がん予防ワクチンによる有害反応の情報開示が必要

 5日の参議院の予算委員会と6日の厚生労働委員会で、子宮頸がん予防ワクチン問題が取上げられています。

参議院インターネット審議中継 http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

 ワクチンや検診の公費助成などを盛り込んだ法案の提出を予定している公明党の松あきら議員は、5日の参議院予算委員会でワクチン接種により不妊となるいった噂が流れているとして、厚労省にワクチンの安全性について質しています。

松あきら(公明党)(参議院インターネット審議中継 参議院予算委員会2010年8月5日)

 最近、私の所にも最近安全性についての問い合わせがありました。おそらく、下記のWEBサイトの情報が口コミで広がっているのだと思います。(リンクを張るのはためらいますが)

子宮頸がんワクチンの危険性(Thinker)
http://www.thinker-japan.com/hpv_vaccine.html

 確かにさまざまな意見があるとは思いますが、こういったWEB情報について私たちがどのように考え、最新のエビデンスに基づく正しい情報をどうきちんと情報提供ができるかということも問われます。

 ただアジュバントの問題については、承認の課程で専門委員からも自己免疫疾患への関与の可能性(これが、不妊につながるとのことらしい)等も指摘されている(「審査報告書」及び「審議結果報告書」p.71(PMDA))ことから、各国で行われている製造販売後の安全性調査の結果に十分留意する必要があります。

 一方、みんなの党の川田龍平議員は5日の予算委員会で、「子宮頸がんワクチンの使用促進キャンペーンが実施されているが、ワクチンの効用ばかりに重点がおかれていることにたいへん憂慮している」と述べ、検診の重要性や性教育の問題について政府の考えを質しています。 

川田龍平(みんなの党)(参議院インターネット審議中継 参議院予算委員会2010年8月5日)
(やりとりは23分58秒~31分40秒、前半は薬害肝炎などについての質問です。)

 さらに川田議員は6日の厚生労働委員会でも、「最近の子宮頸がんワクチンの使用促進キャンペーンは重要な論点を欠いているのではないかと危惧している。まずは啓蒙と教育、そして低い子宮頸がん検診率の向上といった施策と一体にしなければいけない。」と指摘したうえで、子宮頸がんワクチンによる有害反応についての報告数について質問し、販売が開始された去年12月~今年7月までに、37人に79の報告(死亡や障害が残る例はなし)があったとする答弁を引き出しています。

 そして、川田議員は「副反応被害などの情報収集は薬害を防ぐためのきもになると思うので、薬害イレッサのように承認前から大々的に夢の薬のように宣伝されて薬害を広がせてしまった例もあるのだから、副反応など有害事象の情報解析に力を入れて、迅速に情報開示をして頂くようお願いしたい。」と述べ、医薬品の安全性確保に力を入れて欲しいと注文しています。

川田龍平(みんなの党)(参議院インターネット中継 参議院厚生労働委員会2010年8月6日)
(やりとりは 6分50秒~14分30秒)

 また、川田議員は子宮頸がんワクチンは任意接種ということから、健康被害時の補償の問題についても質問しています。(予防接種法における接種ではないので、補償が低くなる可能性があるらしい)

 私も、ここまで接種が広がっている以上、川田議員指摘するように、新型インフルエンザワクチンなみにもっと積極的に迅速な情報開示が必要だと思いますね。

 ちなみにサーバリックスの集団接種が行われている英国では、英国医薬品庁が専用のページを開設して、ほぼ毎週ごとに副反応情報を更新しています。

  Human papillomavirus (HPV) vaccine(英国医薬品庁)

 米国にもCDCにHPVワクチン(米国は主力はガーダジル)の安全性に関するページがあります

  Human Papillomavirus (HPV) Vaccine(CDC Vaccine Safety)

 日本でも、PMDAのウェブサイトで症例の概要がわかります。ただ、今日の時点では2月分までしか掲載されていません(→症例件数)。(50歳代の女性で接種した人がいるんだ)

 積極的な情報の収集という観点から、英・米などのように、患者やその家族が直接副反応についての報告ができる仕組みも必要かもしれませんね。

 なお、6日には国会内でワクチンへの国費助成など、子宮頸(けい)がん予防対策の実現に向けた超党派国会議員の緊急集会が与野党から約40人が参加して開かれ、議員連盟を結成する方針が確認されたそうです。

カナロコ(神奈川新聞)8月6日
 http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1008060024/

 それにしても、参議院でも話題となっているのに、藤井もとゆき氏のブログにいっても、このことにふれていないのはなぜ?(内部事情を知っているから?)

  もとゆき日記 http://www.mfujii.gr.jp/modules/diary/

関連情報:TOPICS
 2010.07.21 子宮頸がん予防ワクチン、公費助成は必要だが
 2010.07.08 子宮頸がん予防啓発CM「しきゅうのおしらせ」
 2010.07.08 HPV、Hibなどのワクチン「ファクトシート」


2010年08月07日 01:02 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    議事録がアップされています(1ヶ月たつと、掲載場所が移動します)

    第175回国会参議院厚生労働委員会第1号(平成22年8月6日)

    川田議員の有害反応についての答弁は次のようになっています。

    子宮頸がんワクチンの副作用につきましては、昨年十二月の販売の開始から本年の七月までに、今御指摘ありました医薬品医療機器総合機構に、ショックなどのまれに発生するものも含めまして三十七人に七十九の副作用と疑われたものが報告されてございます。ただし、これら三十七名につきましては、ある意味では担当医師等が重篤と判断したものでございますけれども、筋痛とかあるいは注射部位の強い痛みなども含まれております。