特定高齢者施策で地域薬局が果たす役割

 読売新聞が15日に報じ、16日日薬が全国実施はまだ未定とのコメントを出した、「薬局で認知症のチェック」(TOPICS 2009.2.15)の話題ですが、ブログでも結構取り上げられています。しかし、「余計なお世話」「プライバシーが守られるのか」といった書き込みがみられるなど、この取り組みには否定的な意見も少なくないようです。

 しかし、先の記事でも指摘しましたが、この取り組みは単に認知症予備軍を見つけるためのものではありません。閉じこもりやうつ状態、ライフスタイルや生活環境の変化、疾病、事故、親しい者との別れ、災害など、何らかの引き金によって徐々に生活機能が低下し、「要支援」「要介護状態」になるリスク可能性が高い高齢者(=特定高齢者)を早期に把握し、そういった方を行政サービスにつなげることにあります。

 おそらく、青森県などで行われていたことも、「あなたは認知症の可能性があるかもしれないので地域包括地域地域包括支援センターに紹介しますよ」というものだけではなく、チェックリストを活用しながら、「生活のしずらさはありませんか? 市(町村)ではあなたの生活をサポートをするいろいろなことをやっていますよ」といった情報提供や、介護予防サービスへの橋渡し役を担うための取り組みでないかと私は考えます。

 高齢者の中には、医療機関にかかるほどではないが、からだの不調や衰えを感じたとき、まず地域薬局で相談するという人もおそらく少なくないと思います。こういった背景もあり、自治体関係者は、青森県の「まちかどセルフチェック」の取り組みをかなり注目していたものと思われます。

 にもかかわらず日薬は、読売新聞の記事対して、「本事業を全奥で実施することの可否等については、まだ担当役員レベルで検討している段階であり、平成21年度当初から本事業を全国的に実施する予定はありません」とした通知を各県薬に出してしまいました。これは、自治体の特定高齢者施策における、地域薬局への期待を裏切るものに他なりません。せめて、「自治体からの要請に備えて各県薬は支部ごとに準備されたし」くらいのメッセージを発してもらいたかったと思います。

関連情報:TOPICS
   2009.02.15 日薬、「まちかどセルフチェック」事業を全国に拡大か
   2007.02.10 特定高齢者の把握に薬局を活用(青森)
   2008.09.08 薬剤師は、多職種との協働を模索すべきである
   2008.07.01 介護予防のための生活機能チェック(健康長寿ネット)

参考:
介護予防事業の実施について〜関係者向け説明資料〜
(第63回市町村職員を対象とするセミナー〜介護予防に係る取組について 2007.7.27)
 http://www.tyojyu.or.jp/ct/other000001000/01_shiryou1-1_dai63seminar.pdf
 WAMNET 資料
特定高齢者施策・新予防給付(兵庫県、資料元は不明)
 http://web.pref.hyogo.jp/contents/000079292.pdf
第5回かながわ高齢者保健福祉計画評価・推進等委員会(2007.11.27)
 http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/kourei/pkaitei/hyouka/kiroku/kiroku071127.html


2009年02月17日 22:00 投稿

コメントが3つあります

  1. フィードバック

    認知症チェックに対する日薬のコメントですが、やらないということではなく、平成21年度当初から全国で一斉にスタートするほどの準備はできていないという意味ではないのでしょうか。私は、事前に何の情報もないまま新聞記事を見た各県薬の混乱を避けるためのコメントととらえております。しばらく様子を見たほうが良いと思います。

  2. アポネット 小嶋

    そうですね。もう少し様子を見ましょう。

  3. アポネット 小嶋

    栃木県でも23日、診療報酬改定の説明会がありました。

    日薬の山本信夫副会長が講演を行い、講演後質疑応答の時間があったので、この件について日薬の取り組み状況を伺いました。

    山本氏は、認知症様症状は薬剤起因によっても起こる場合があり、地域薬剤師が今後取り組むべき課題となりうるとしながらも、関係者(医師会?)との調整が必要だとして、現時点でもまだ具体的な検討までには至っていないようです。