日薬、「まちかどセルフチェック」事業を全国に拡大か

 以前、医療機関を受診後、薬をもらうために調剤薬局を訪れたお年寄りに、本人の同意を得て、特定高齢者を把握するための「基本チェックリスト」を薬剤師が質問し、特定高齢者の候補者となる恐れのある人を地域包括支援センターに紹介するという「まちかどセルフチェック」という青森県と青森県薬剤師会の取り組みを紹介しました(TOPICS 2007.02.10)が、いよいよこの事業を全国に拡大することが決まったようです。(WEB検索をかけると、いくつかの市でもモデル事業として、行われているようです)

 15日の読売新聞は、日薬が4月より認知症の疑いがある人を、街中の薬局窓口で見つけ出し、地域の支援センターに紹介する事業を始めると伝えています。

読売新聞2月15日
 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090215-OYT8T00266.htm

 同紙では地域の薬剤師会が協力薬局を募り、市町村との協力体制ができたところから実施すると伝えていますので、近く日薬からも正式なインフォメーションが出されることでしょう。地域を挙げての積極的な取り組みが求められます。

関連ブログ:「薬局で認知症チェック」
    (another side of ”d-inf” 2月15日)
   http://hello.ap.teacup.com/d-inf/1733.html

関連情報:TOPICS
   2007.02.10 特定高齢者の把握に薬局を活用(青森)
   2008.09.08 薬剤師は、多職種との協働を模索すべきである
   2008.07.01 介護予防のための生活機能チェック(健康長寿ネット)

2月15日 23:10 16日 23:00 リンク追加


2009年02月15日 12:43 投稿

コメントが3つあります

  1. アポネット 小嶋

    日薬会長名で、本事業を全国的に実施する予定はないとしたコメントが出たそうです。

    「薬局で認知症チェック」との新聞報道について
     (ブログ:フナ寿し2月16日)
      http://kikuya.jugem.jp/?eid=1411

    準備不足といえばそれまでですが、もう2年前から試行事業を行っており、一定の活動成果が上がっているのですから、この後ろ向きのコメントには疑問を感じざるを得ません。

    WEBをみると、一部の自治体でも取り組み事例として紹介されたり、議会でも質問されていて、この事業に対しては期待が高いと考えるべきです。

    むしろ、こういった記事が出た以上、取り組みの意義を全国の会員に訴えて、私はむしろ地域を挙げて全国的に積極的に取り組むべきではないかと思います。そうしてこそ初めて、職能団体としての「薬剤師会」の存在意義が示されるのではないでしょうか。とても残念でなりません。

    もっとも読売新聞の記事も、『認知症』という部分だけスポットを当ててしまったのがいけなかったのかもしれません。「特定高齢者=認知症予備軍」ではないはずなのに、薬局が認知症の人を見つけ出して、行政に通報するとでもとらえられる可能性がありますね。

  2. 日薬の幹部の事情がどうであるのかよくわかりませんが、開局薬剤師さんとしては実施してもいいとお考えになっているのですね。

    この訂正のコメントが後ろ向きな発言としてとらえられているということは、実施することについてやぶさかではないと考えられているということでしょうか。

    もしもそうだとしても、会員全員の総意になるかどうかが問題かと思います。

  3. アポネット 小嶋

    >satyさん

    確かに「当初から本事業を全国的に実施する予定はありません」となっており、取り組み自体を否定しているわけではありませんね。

    ただ、この取り組み自体は平成18年の介護保険法の改正にあわせて3年近く前に日薬会員に呼びかけている事項でもあり、全国的な取り組みを行うことがむしろ当然の時期ではないかと考えます。

    ○特定高齢者の把握と地域包括支援センターへの連絡
     薬局・薬剤師には、地域の高齢者の中から地域支援事業の対象者である可能性のある人、すなわち生活機能が低下した人を早期に見つけ出し、地域包括支援センターへ連絡する役割が期待されています。このようなハイリスク高齢者を「特定高齢者」といい、4月以降は特定高齢者を把握するために用いる「基本チェックリスト」が市区町村や地域包括支援センターから広く配布される予定です。多くの薬局に「基本チェックリスト」を置いて、特定の高齢者の把握に努めましょう。
    (日薬雑誌平成18年3月号p11 日薬情報より抜粋)

    また、コメント1でも記したように、この事業は「特定高齢者」の現状をなかなか把握することができない自治体にとっては、より現実的な方法として多くの自治体で紹介されていること事実もあります。おそらく新聞記者もそういった現状も踏まえて、取材した可能性もあります。

    地域包括支援センターに情報を提供しないとしても、薬局で生活機能の低下や介護が必要となるような兆候がないかの情報や、それを予防するための行政等の取り組み(筋トレ、脳が活性化されるような市民講座への参加もよいでしょう)が行われているなどの情報を提供することは重要だと思います。

    うがった見方ですが、忙しい日常業務のなかで、フィーがつくかどうかわからない余計な仕事はしたくないというのであれば、日薬雑誌に掲載された呼びかけは見直すべきです。