新年雑感

 5.その他

 1~4と重複するものもありますが、今年はこの他には次のような問題・課題にも注目しています。(詳細を書き出すときりがないので項目だけとします)

  • エパデールOTCの販売が広がるか、またガイダンス通りに販売が行われるか
    (発売元が直販メーカーということもあり、そもそもどのくらいの薬局が実際に取り扱うのかも疑問)
  • CDTM(TOPICS 2011.10.24)の認知が広がるか
    平成23年度チーム医療実証事業報告書 が示すように、病院内から確実に認知が広がっているように思われます。これが地域にも広がっていくための素地が広がっていくか、事例をしっかりチェックしたいです)
  • 都道府県が策定する新しい地域医療計画の中身
    (在宅医療における多職種連携や認知症対策などで、地域薬局や薬剤師がどう関わっていくかが明記されるか。日頃の取組などの成果がそのまま反映されることになりそうだけど)
  • 行政が地域薬局を活用する動きが広がるか
    (一部自治体で、がん検診の啓発など、健康情報の提供の場としての期待が広がっているが)
  • 電子お薬手帳普及の仕組みが確立するか
    (あまりにさまざまな独自のシステムが独り歩きしている。統一化しないと意味がない)
  • 原子力災害に備えた安定ヨウ素剤の備蓄と配布に薬剤師がどう関わるか
    (薬事法などのクリアする課題も多いが、海外では地域薬局・薬剤師が何らかの形で関わっている)
  • 「1回量記載」の処方せん記載の新ルールがいつになったら定着していくのか
    (新ルールに準拠した国家試験も行われているのに、まだ移行の気配がない)

 どうか本年もよろしくお願いします。 

関連情報:TOPICS
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2013年01月01日 00:00 投稿

コメントが4つあります

  1.  ネット販売については、ポイント付与と同様に、枝葉末節で混乱が起こっています。 海外でも米国と、英国では大違いですし、フランスや北欧諸国もまた様相が異なっています。
     処方せん医薬品ですら、ネットでの購入が進んでいる国もあり、そもそも何のために面倒な手続きを要求するのかという点を考える必要があります。
     店舗販売しかも、専門家を擁した許可に基づく店舗を原則とするならば、ネット販売を含む郵便等販売についても、同様の安全性・利便性の確保が図られるべきと思います。

  2.  スイッチについても、日本では例外的な扱いが続いています。欧州では、処方せん医薬品として導入された新薬についても、一定の期間が経過し、安全性・有効性の確認がなされれば原則として、非処方せん医薬品に移行することとされています。
     日本では、出来高払いの医療保険制度の下に、医療保険の適用にしがみつく体制がスイッチを特殊なものとし、OTC医薬品の範疇を制約してきました。
     今般の薬事法改正で生まれた「薬局医薬品」の扱いは、薬剤師専用薬の誕生を促すものととらえることができそうです。

  3.  既に指摘が出ているように、調剤医療費の伸びの主体は、高価な新薬の増勢にあります。
     一方、サービスの対価としての費用については、それに見合ったものかとの批判は起こってくるでしょうし、これに耐える立証は不可欠です。
     殊に、OTCの第一類医薬品販売(販売しない場合を含め)では、薬剤師による判断が求められており、そのための説明などが必要となりますが、そのコストは販売の利潤しか見込めない状況です。 この点も含めた、薬局の適正利益が論じられる必要がありそうです。

  4.  海外では、個人の権利と責務という考え方が日本とは異なると思えるほど強いようです。 服薬(とその管理)もまず第一義的に服薬する者の権利と責務であり、他者はそれを支援する立場に立つという考え方と思います。 その支援者に、どれほどの専門技能者を充てるかも選択の問題となります。 医師や薬剤師を雇用できるほどの資産家もいるかもしれませんが、社会資源の見地からは、適切な訓練を受けた非医療職の活用も不可欠となるでしょう。
     そのような中で、薬剤師がすべてを管理し、実務にあたるとするのか、施設の職員に(本人が取り組むこと)を支援する技術の取得を進めるのかは、おのずと自明となるのではないでしょうか。