カルバマゼピンによる重症薬疹とHLA-B*3101

 スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や、中毒性表皮壊死症(TEN)など、医薬品によるの重症薬疹については、近年発症を予測するバイオマーカーとして、Human leukocyte antigen(HLA)の遺伝子多型が注目されていますが、英医薬品庁(MHRA)は13日公表の Drug Safety Update で、HLA-B*3101 保有者においてもリスクが増加する可能性があるとして注意を呼びかけています。

Carbamazepine, oxcarbazepine and eslicarbazepine: potential risk of serious skin reactions associated with the HLA-A* 3101 allele.
(Drug Safety Update, December 2012)
http://www.mhra.gov.uk/Safetyinformation/DrugSafetyUpdate/CON214944

日本語訳概要
(医薬品安全性情報 Vol.11 No.02(2013/01/17))
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly11/02130117.pdf#page=11

 MHRAでは、2008年4月のUpdateでHLA-B*1502 での保有者への注意喚起をおこなっていますが、、HLA-B*3101 についてもこれまでの論文をレビュー、HLA-B*3101 保有者は欧州人で2~5%、日本人では10%いるとして、HLA-B*3101 保有者へのカルバマセピン、oxcarbazepine、eslicarbazepine の投与についてはリスクベネフィットを考慮の上慎重に投与すべきとしています。

Carbamazepine: genetic testing recommended in some Asian populations
(Drug Safety Update, April 2008)
http://www.mhra.gov.uk/Safetyinformation/DrugSafetyUpdate/CON084888

 ちなみに日本では、 2011年11月の医薬品・医療機器等安全性情報 No.285で注意喚起が行われ、添付文書での注意喚起も行われていることはすでにご存じかと思います。

カルバマゼピンによる重症薬疹と遺伝子多型について
(医薬品・医療機器等安全性情報 No.285)
http://www1.mhlw.go.jp/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/285-2.pdf

 さらにググったところ、カルバマゼピンによる重症薬疹とHLA-B*3101 との関連性については、現在日本人を対象とした前向き研究が進行中とのことです。

カルバマゼピンのオーダーメイド投薬(個人の遺伝子型に基づく投薬の決定)
(文部科学省 次世代がん研究戦略推進プロジェクト がん薬物療法の個別適正化プログラム)
http://biobankjp.org/pgx/outline/cbz.html
http://biobankjp.org/pgx/outline/data/CBZ_plan.pdf

 カルバマゼピンを服用する患者さんは、重篤薬疹のリスクを未然に防ぐため、可能であれば遺伝子検査をした方がよいということなのでしょうか?

関連情報:TOPICS
  2012.11.20 スティーブンス・ジョンソン症候群(19日 クロ現)
  2012.04.26 重篤な皮膚障害の報告が多い医薬品

参考:
Warning over carbamazepine use in Japanese and European populations
(PJ Online 2012.12.14)
http://www.pjonline.com/news/
warning_over_carbamazepine_use_in_japanese_and_european_populations

1月18日リンク追加


2012年12月15日 11:06 投稿

Comments are closed.