薬学生が薬学教育や実務実習に望むもの

  薬事日報の日本薬学会主催の全国学生ワークショップ(WS)が開催されたという記事が目に留まりました。

【薬学会】学生自身が将来を展望‐67大学が参加しWS
(薬事日報 HEADLINE NEWS 2012.08.13)
http://www.yakuji.co.jp/entry27752.html

日本薬学会第2回全国学生ワークショップ
「6年制薬学教育に望むこと、卒業後に取り組んでいきたいこと」
(日本薬学会 ウェブサイト)
http://www.pharm.or.jp/kyoiku/pdf/advWS_002students.pdf

 記事を見ると、去年も開催されたということなので、ググったところ第1回の報告書がアップされていました。

日本薬学会 第1回全国学生ワークショップ
「6年制一期生として薬学教育に望むこと」報告書
(日本薬学会 2011年9月)
http://www.pharm.or.jp/kyoiku/pdf/gakusei_230925.pdf

 このワークショップは、昨年度発足した日本薬学会の薬学教育委員会が、教育を受ける側の意見を聞き、六年制薬学教育全体を全国の学生に評価してもらうという試みとして行われているものだそうで、開催のきっかけは、昨年2月に薬学教育協議会の主催で、「実務実習の成果と課題」についてグループ討議が行われたフォーラムで、実務実習だけではなく、6年制薬学教育全体に議論の対象が広がり、学生ワークショップの有用性と必要性が明らかとなったためだそうです。(こちらも報告書がアップされていました)

文部科学省委託事業薬学教育協議会フォーラム2011
全国学生合同ワークショップ 報告書
-実務実習を通して印象に残っていること-
(2011.02.12開催)
http://www.yaku-kyou.org/About_council/issue/pdf/2011STWS.pdf

 それぞれの報告書には、なかなか表に出ない、薬学生の生の声が示されており、実務実習を行う現場の私たちも一度は目を通す必要があると思います。(いずれの報告書も一部の指導薬剤師には配布されたとされている)

「実務実習について、学生、大学教員、指導薬剤師等に伝えたいこと」
(実務実習に関するワークショップ報告書から引用)

  • 学生の立場だからこそ「今しかできないことをしたい」、多くのことを経験させてほしい。
  • 現場でしか得られない体験がしたい。患者さんと接する機会をもっと多くして欲しい。
  • 実習内容の統一化:服薬指導は最低件数を設定することで、学生間の統一を図ることができると考える。
  • 実習生に対し、大学・施設側はできるだけ放置するな!!
  • 実習施設を自分達で選択したい:実習先により学べることが違うので、自分の学びたい施設を選択できるようにして欲しい。
  • 実習施設によりできないSBOsもあるため、必須項目と選択項目を作っても良いのではないか。
  • 医療機関によって扱う薬剤や業務の内容も異なるため、複数の施設で実習を行いたい。
  • 学生の希望に応じてオプションを追加して欲しい。

【実習施設・指導薬剤師へ】

  • 学ぶ≠仕事:私たち学生は新人ではなく、実務実習は新人研修ではない。“できること”を前提としないことを、薬剤師の先生方にもきちんと理解していただきたい。
  • 実習時間の明確化:実習の開始時刻と終了時刻を明確にしていただきたい。
  • 学生にアドバイス(フィードバック)を行って欲しい。
  • 話しかけやすい環境を増やしてほしい。
  •  評価するタイミングの改善:実習中期まで評価してもらえない学生もおり、客観的な達成度が不明確で、実習に対するモチベーションが上がらないこともあった。
  • 同じ病院内でも指導薬剤師によって指導内容が異なるので最低限の統一はして欲しい。
  • 指導方法をきちんとし、薬局内での連携をとって欲しい。
  • できない内容は他施設と連携を!
  • ドラッグストア実習の検討:11週のうち何週か体験してみたい。
  • 私達6年制の薬学部実習生を快く受け入れてくれるような環境を作って欲しいと願う。
  • 私達は「学ぶ」という志を持って実習を行っているのだから、それにかなう実習環境を整えて欲しい。

 「今後の6年制薬学教育に望むこと、生涯学習に望むこと」
(第1回WS報告より引用)

【教育に関して】

  • 6年制になった意味をもっと明確化すべき
  • 4年制と6年制の相違点を明確にしてほしい。
  • 社会のニーズを知りたい(今後の薬剤師に何が求められているのか)。
  • 薬学生全体のレベルアップ→薬学生全体のモチベーションのアップにつなげる。
  • 臨床に結びつく教育の強化
  • 病態についてもっと知識を高めたい。
  • 早期体験学習を充実化してほしい(参加型実習、臨床現場の生の声を聞ける機会)。
  • 専門知識以外に英語や経営学を学びたい。
  • 医療経済、薬剤経済を学びたい。
  • 海外研修の機会を増やす。
  • 多職種との合同実習(体験学習)の実施
  • 参加型の授業やディスカッションする機会を増やす。
  • 国家試験勉強以外の教育制度の充実
  • 一期生として感じたこと、考えたことを伝える機会がほしい。
  • 大学間での情報交換

【実習に関して】

  • 我々が将来何になりたいかを踏まえた上で支援して欲しい。
  • 個人の進路を考慮した実習先の選択を可能に
  • 実習受け入れ先の決め方の改善
  • 病院や薬局を選びたい。
  • 数ヶ所回りたい。
  • 実習内容の均一化
  • 施設機関でできる実習内容の提示
  • 実習期間の見直し
  • 到達レベルに応じたアドバンストの実習
  • CBT、OSCEの問題レベルの向上→仮ライセンスの取得
  • 実習の中で、他職種や他学部との関わりを持ちたい。
  • 実習中、実習後のフォロー
  • 指導薬剤師へ:指導に専念してほしい、実習生の部屋を作ってほしい、邪魔扱いしないでほしい、柔軟に対応してほしい、臨床現場でしか見られないものを見学したい(手術、検査、透析など)。
  • 実習内容に対する教員の把握と理解
  • 実習の日報や週報のフォーマットを大学間で統一してほしい。
  • 大学教員と指導薬剤師も情報交換や学ぶ機会を→教育者の質と意識の向上を
  • 実習費を統一してほしい。

【制度に関して】

  • 薬-薬-薬連携の推進により生涯学習しやすい環境の形成
  • 処方箋に病名を記載する(制度化する)。
  • 病院における診療報酬の点数の付け方を改善してほしい。
  • 各関連団体や学会による専門薬剤師に関する認定制度が多数存在し、わかりにくい。可能な限り統一化してほしい。
  • 認定薬剤師のメリットを増やしてほしい。
  • 薬局薬剤師に認定制度を導入してほしい。

 今年もおそらく報告書ができると思うので、また学生の生の声に耳を傾けたいと思います。


2012年08月13日 13:46 投稿

コメントが1つあります

  1. シッフズジャパン鈴木

    【教育に関して】で特に若い薬学生に期待したいのは、
    •社会のニーズを知りたい(今後の薬剤師に何が求められているのか)。
    •病態についてもっと知識を高めたい。
    •医療経済、薬剤経済を学びたい。
    •海外研修の機会を増やす。
    •参加型の授業やディスカッションする機会を増やす。