アクトス問題、国内でも膀胱がんリスクの対応へ(Update)

 23日、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会が開催され、アクトス問題の国内での当面の対応が決まったそうです。

ピオグリタゾン塩酸塩含有製剤に係る安全対策について
(PMDA 2011.06.23 掲載)
http://www.info.pmda.go.jp/happyou/file/PMDSI_110623_1.pdf

  1. フランス、米国での疫学研究のデータからみて、わずかであるが、アクトス使用者において、投与期間に依存して膀胱癌の発生リスクが上昇する可能性があるため、当面の対応として、以下の内容の使用上の注意の改訂を指示する。ただし、疫学研究における限界も踏まえて慎重にリスク評価をすべきである。
    ・ 膀胱癌治療中の患者等には使用を控える。
    ・ 膀胱癌のリスクについて患者への説明を行う。
    ・ 血尿等の兆候について定期的に検査する。 等
  2. 使用上の注意の改訂に伴い、リスクに関する説明用資材を製造販売業者から提供する等の対応を行う。
  3. 引き続き、米国で継続実施中の前向き疫学調査の結果や欧米当局の評価を含め情報収集を行い、必要に応じ、追加の対策を検討する。

添付文書改定案
http://www.info.pmda.go.jp/happyou/file/PMDSI_110623_2.pdf

「重要な基本的注意」に追記

  • 海外で実施した糖尿病患者を対象とした疫学研究において、本剤を投与された患者で膀胱癌の発生リスクが増加するおそれがあり、また、投与期間が長くなるとリスクが増える傾向が認められているので、以下の点に注意すること(「その他の注意」の項参照)。
  • 膀胱癌治療中の患者には投与を避けること。また、特に、膀胱癌の既往を有する患者には本剤の有効性及び危険性を十分に勘案した上で、投与の可否を慎重に判断すること。
  • 投与開始に先立ち、患者又はその家族に膀胱癌発症のリスクを十分に説明してから投与すること。また、投与中に血尿、頻尿、排尿痛等の症状を認めた場合は、直ちに受診するよう患者に指導すること。
  • 本剤投与中は、定期的に尿検査等を実施し、異常が認められた場合は、適切な処置を行うこと。また、投与終了後も継続して、十分な観察を行うこと。

 EMAでの審議結果は数日以内に公表されるでしょうから、これを踏まえた、さらなる注意喚起が追記される可能性もあります。

 膀胱がんのリスクに関する説明用資材の作成も行われるようですが、問題は処方医がこれを用いて患者に説明するということが果たして行われるかどうかです。(患者向医薬品ガイドの活用はしないのかな?)

関連情報:TOPICS 
  2011.06.11 ピオグリタゾン(アクトス)更新情報(米FDA)
  2011.06.11 仏ピオグリタゾン製剤の使用制限についての国内コメント
  2011.06.10 仏当局、ピオグリタゾン製剤の一時使用停止を発表
  2011.04.30  ピオグリタゾンの膀胱がんリスクへの懸念(フランス)
  2010.09.18 ピオグリタゾンと膀胱がんの発症リスク(米FDA)

参考:
医療介護CBニュース 6月23日
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/34803.html
朝日新聞6月23日
http://www.asahi.com/health/news/TKY201106230688.html

6月24日 0:30 1:00更新


2011年06月23日 23:29 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の資料が日刊薬業WEBの行政情報資料に掲載されています。(p14-59)

    第2回平成23年度薬食審 医薬品等安全対策部会安全対策調査会 資料-2
    (日刊薬業WEB 行政情報資料 6月23日)
    http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226506694699

    フランス保健製品衛生安全庁(Afssaps)が行った疫学調査の和訳(メーカー作成)も資料として提出されています。

    きれいな資料は近く厚労省HPに掲載されます。(本当は即日アップですよね)

    それにしても、現時点では一般紙は今回の対応について朝日新聞を除いて報道していませんね。