リスク区分変更に関するパブコメが開始

 22日、一般用医薬品のリスク区分(変更)についてのパブリックコメントが開始されています。

「薬事法第三十六条の三第一項第一号及び第二号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する第一類医薬品及び第二類医薬品」及び「薬事法施行規則第二百十条第五号の規定に基づき特別の注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する第二類医薬品」の一部改正に係る意見の募集について
(案の公示日 2010年10月22日 意見・情報受付締切日 2010年11月20日)

 今回のパブリックコメントは一般用漢方製剤23処方について、区分を第二類医薬品とすることと、下記成分のリスク区分の変更です。

投与経路 成分名 商品名 区分変更案 製造販売後
調査報告書
(メーカー)
内服 アゼラスチン ハイガード 1類→2類 PDF:832KB
内服 アデノシン三リン酸 パニオンコーワ 1類→2類 PDF:828KB
内服 ケトチフェン ザジテン
パブロン鼻炎カプセルZ
1類→2類 PDF:4,070KB
外用
(貼付剤)
ケトプロフェン オムニードケトプロフェンパップ 1類→指定2類 PDF:357KB

厚労省調査報告書
PDF:775KB
メーカー安全対策案
PDF:886KB

外用
(貼付剤を除く)
ケトプロフェン イーパスゲル
エパテックA
2類→指定2類
外用
(口腔内貼付剤)
トリアムシノロンアセトニド アフタッチA 1類→指定2類 PDF:89KB
外用 ラノコナゾール ウィンダム 1類→指定2類 PDF:273KB

 パブコメの資料だけでは不十分なので、下記ページの資料にリンクをはっておきました。

資料:平成22年度第6回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会
    (2010年10月8日 開催)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000tv0u.html

 焦点はやはり、ケトプロフェン外用剤を指定第二類にリスク区分を変更することの是非でしょう。(でもパブコメで意見を示しても変更案がひっくり返るということは99.9%ありませんが)

 メーカーは消費者への注意喚起を促すため、ピクトグラムによる表示やリーフレットの作成と配布で安全対策が図れるとしていますが、処方で受けたものの使い回しが散見されるほか、医師が肌露出部であっても処方を指示することもあり、消費者(処方の場合も含む)には、「貼り薬は安全」というイメージがあるように実感します。(喘息発作のリスクもありますが)

 OTC医薬品で販売される場合には、スポーツ後などの筋肉疲労時や打撲など、肌を露出する部位への使用も少なくないことを考えると、欧州医薬品庁のように、ベネフィットがあるとしながらもリスクも考慮して処方せんによる使用を考えることも一つの方法かと思います。

 今となっては、処方せん医薬品に戻すことは不可能ですので、やはり第一類にリスク区分とするか、指定第二類とするのなら、情報提供や販売方法について改めて見直す必要があるのではないでしょうか。(パブコメ出そうかな)

関連情報:TOPICS
  2010.10.13 ケトプロフェン外用剤の添付文書が改訂(Update)
  2010.07.26 ケトプロフェン外用剤は処方薬とすべき(欧州医薬品庁)


2010年10月23日 12:26 投稿

コメントが7つあります

  1. アポネット 小嶋

    11月1日配信の日薬ニュースによれば、日薬は29日に意見を提出したそうです。

    記事によれば、

    ・ケトチフェン内服薬は第二類医薬品に引き下げることには反対
    ・ケトプロフェン貼付剤を指定第二類医薬品に変更するすることはやむを得ない
    ・ケトプロフェン外用剤(貼付剤を除く)を指定第二類医薬品に引き上げることについては適当

    という内容だそうです。

    詳しくは、直近の定例記者会見で示されると思いますが、ケトチフェンのリスク分類引き下げは反対で、ケトプロフェン貼付剤は引き下げ容認となったのはどこに違いがあるのでしょうか?

  2. アポネット 小嶋

    11月12日の定例記者会見で、提出意見の内容を公表しています。

    「一般用医薬品のリスク分類に関する意見」について
    (日本薬剤師会 2010年10月29日、最後のページです)
    http://www.nichiyaku.or.jp/contents/kaiken/pdf/101112_4.pdf

    「現在、第一類医薬品に指定されているケトプロフェン貼付剤については、製造販売後調査では重篤な副作用は報告されていないが、欧州では「光線過敏症」の重篤な副作用が多数報告されている。」

    と指摘しておきながら、なぜ

    「本来は第一類に留まることがのぞましいと考えられるが、やむを得ず第二類に移項するのであれば、第二類医薬品の中でも販売者の注意を要する指定第二類医薬品に変更することは妥当である」

    ということになってしまったのでしょうか?

  3. アポネット 小嶋

    13日、下記の内容で意見を出しました。(アポネットR研究会としての見解ではありません)

    [意見内容]
    ケトプロフェン外用薬は第一類にすべきである

    [理由]
    地域薬局の薬剤師ですが、現場からみると、「患者、生活者など多くの人が外用剤によって光線過敏症が起こりうるという認識をほとんど持っていない」という現状があり、安全性確保の観点から、現時点では第一類とするのが妥当と考えます。

    光線過敏症の可能性については、以前より再三にわたり注意喚起が行われていますが、最近でも医師により手首や腕、下肢など露光しやすい部分へ、ケトプロフェン外用剤が処方されることがしばしばあります。もちろん紫外線にあたらないよう注意を促しますが、結果的にそれが守ることができないことが少なくなく、光線過敏症に至ったケースを私自身も体験しています。

    一方、久光製薬の安全性情報No.19(2010年春)によれば、光接触皮膚炎の発現部位は手首・手部(35.6%)、大腿・下腿・膝(20.4%)と続いていますが、OTC医薬品で使用される場合には、スポーツ後などの筋肉疲労や打撲、ねんざなど、こういった肌が露出される部位への使用が少なくないことが考えられ、よほど徹底した注意喚起を行わないと、第二類へのリスク分類変更による使用者拡大により、光線過敏症の発症が増えるような気がしてなりません。

    また、久光製薬の安全性情報No.13(2007年春)で使い回しの禁止についての注意喚起がされていますが、依然として、家族などへの使い回しが散見されています。こういった点も光線過敏症が起こりうるという認識が低いことの現れではないかと考えています。日光過敏症の副作用に遭遇しないかいつも心配しています。

    医療用医薬品のモーラスの添付文書にも次のように記載されていますね。
    「本剤の使用により重篤な接触皮膚炎・光線過敏症が発現することがあり、中には重度の全身性発疹に進展する例が報告されているので、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること」

    OTC医薬品でもフェルビナクなどの代替品があり、現時点では第二類へのリスク区分変更の必要性はないと考えます。(むしろ、欧州のように処方せん医薬品にする検討も必要)

    それでも、リスク区分の変更にベネフィットがあるとするのならば、手首や手部、下肢など紫外線に露出される可能性のある部位への使用禁止を添付文書で明記するなどの対応が必要だと考えます。

    パブコメは、私たちの声を伝える唯一の手段です。
    関心がある方は、意見を出しましょう。

  4. アポネット 小嶋

    パブリックコメントの締め切りはいよいよ明日20日までですが、民間の医薬品監視機関の薬害オンブズパースン会議も19日、意見を提出しています。

    「一般用医薬品のリスク分類に関する意見書-ケトチフェン及びケトプロフェンについて-」提出
    (薬害オンブズパースン会議は2010年11月19日)
     http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=768

  5. アポネット 小嶋

    29日、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会が開催され、一般用医薬品のリスク区分の変更について審議が行われ、やっぱり原案通りで決まったそうです。

    医療介護CBニュース11月29日
     https://www.cabrain.net/news/article/newsId/31126.html

    パブコメでの意見の内容は近く何らかの形で公表されますので、掲載され次第コメントか記事にします。

    久光がモーラス/モーラステープのOTCを発売するか注目ですね。

    ただ、上記コメントにも書きましたが、医療用医薬品のモーラス/モーラステープの添付文書に

    「本剤の使用により重篤な接触皮膚炎・光線過敏症が発現することがあり、中には重度の全身性発疹に進展する例が報告されているので、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること」

    と記されています。本当にスイッチすることが有用なのでしょうかね。

    なお、ハイガード(アゼラスチン)は、2類になるときには「スカイナーAL錠」に名称を変えて販売されます。(1月11日発売。唯一皮膚科領域の効能がある抗アレルギー剤。今となっては貴重です)

  6.  部会での資料には、パブコメに提出された意見のまとめが収められています。
     久光製薬がモーラスの流れでスイッチすることは無いものと見込まれます。既に、帝国製薬が第一類として発売していたものが、今回市販後調査を終えて、指定第二類に区分変えとなります。他方、従前第二類であった複数のケトプロフェン外用剤が、指定第二類に変更となります。
     

  7. アポネット 小嶋

    WAMNETに29日の医薬品等安全対策部会の資料が掲載されました。

    平成22年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会資料(2010年11月29日開催)
        WAMNET資料(12月3日掲載)

    上記意見がそのまま部会に資料として上がっています。(皆さんも意見を出してみるといいですよ)

    資料1-9:リスク区分変更に係るパブリックコメントに寄せられたご意見

    日薬と大阪府薬が、ケトプロフェンのリスク分類の変更はやむを得ないと述べている時点で、変更は決まったようなものですね。

    パブコメの正式な結果は、リスク分類の変更を記した官報の告示日に出ると思います。(これで全部なのかなあ?)