保育所におけるアレルギー対応ガイドライン作成へ

 WEB上では、今のところWAM NETによる資料しか情報源がないのですが、厚労省では現在、保育所向けのアレルギー対応ガイドラインの作成を検討しているようです。

第1回アレルギー対応ガイドライン作成検討会(2010年7月12日開催)
 厚労省資料WAMNET資料(7月15日掲載)

 今回のガイドラインは、保育所が、乳幼児にとつて健康で安全に生活できる場となるよう、アレルギー疾患について、保育所での具体的な対応方法や取り組みを職員が共通理解するとともに、保護者も含め、保育所を取り巻く関係機関が連携をしながら組織的に取り組むことができるよう作成されるもので、平成21年度児童関連サービス調査研究等事業報告書「保育所におけるアレルギー対応ガイドラインにかかわる調査研究」(→リンク・ファイル後半)を基に作成が行われます。

 現在同様のものとしては、文科省が監修し、日本学校保健会が作成した「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(TOPICS 2008.04.28、参考資料3)が知られていますが、今回のガイドラインはこの保育所版というものになるのでしょうか。

 「保育所におけるアレルギー対応ガイドラインにかかわる調査研究」(→リンク・ファイル後半)によれば、現在保育現場で問題になっているのは、ほとんどが食物アレルギーの問題で、他のアレルギー疾患に関しては、ほぼ医師の診断および指示に従って保育生活を送ることで、特に大きな問題はないようです。ですから、ここでいうアレルギーは食物アレルギーのことを指し、食物アレルギーにおける問題点の把握とその対応を十分検討する必要があるとしています。

 実際、この調査研究を読みすすめると、保育園における食物アレルギーの有病率は約4.9%(0歳児7.7%、5歳児2.5%)で、アレルギーの原因となる食品は鶏卵が最も多く、牛乳、小麦の順となっていて、アレルギー児の誤食事故例(平成20年度1年間)が29%、アナフィラキシー、ぜん息等で病院受診の経験(1年間に1人以上)があったのは11%だったそうです。

 一方職員の意識はどうかというと、ほとんどの人が「食物アレルギー」「アナフィラキシー」ということばは知っているものの、「エピペン」を知らない・あまり知らない人が4割以上に達しており、食物アレルギーによる「アナフィラキシーショック」に対処するエピペンの取り扱いが注目されます。

 保育所には小学校のような学校薬剤師という制度がないので、私たちには直接関係のない話かもしれませんが、エピペンを処方する医療機関が限られていることを考えると、対応が可能な地域薬剤師が何らかの形でサポートすることも必要あるかもしれませんね。

資料:
食物アレルギー(保育園・幼稚園・学校における食物アレルギー日常生活・緊急時対応ガイドブック)(東京都福祉保健局)

関連情報:TOPICS 2008.04.28 学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン


2010年07月16日 15:22 投稿

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