重篤な皮膚障害を起こす可能性のある薬は

 重篤な皮膚障害の副作用として、スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群:Stevens-Johnson syndrome(SJS))及び中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis(TEN))が知られていますが、29日公表された「医薬品・医療機器等安全性情報261号」で、2005年10月1日から2009年7月31日までに報告されたこのSJS・TENの副作用報告の状況等について紹介しています。

医薬品・医療機器等安全性情報261号(厚労省2009年9月29日掲載)
 http://www1.mhlw.go.jp/kinkyu/iyaku_j/iyaku_j/anzenseijyouhou/261.pdf

 上記情報によれば、この期間に副作用報告されたにSJS又はTENの件数は2,370件(この期間に報告された全副作用報告件数110,023件の2.2%)で、このうち一般用医薬品が被疑薬として報告されたものも146件(この期間に報告されたSJS又はTENの副作用報告件数の6.2%)だったそうです。

 また、SJS・TENの被疑薬として報告があった医薬品は400成分で、報告件数の多い推定原因医薬品・薬効分類は、下記の通りだそうです。

医薬品名 報告件数
アロプリノール 161
カルバマゼピン 131
ロキソプロフェンナトリウム水和物  93
アセトアミノフェン  68
ジクロフェナクナトリウム  54
ゾニサミド  49
サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩(PL顆粒他)  45
クラリスロマイシン  42
フェノバルビタール  39
レボフロキサシン水和物  39
薬効分類名 報告件数
(うち一般用医薬品)
抗生物質製剤 397
解熱鎮痛消炎剤 364(47)
抗てんかん剤 267
痛風治療剤 166
総合感冒剤 139(84)
消化性潰瘍用剤 132
合成抗菌剤 96
その他の滋養強壮薬 ?(4)
耳鼻科用剤 ?(2)
漢方製剤 ?(2)

 厚労省では、SJS、TENはその発生はまれではあるものの、いったん発症すると多臓器障害の合併症等により致命的な転帰をたどることがあるとして、医薬品投与後に高熱を伴う発疹等が生じてSJS、TENの発症を疑った場合には,被疑薬の投与を中止するとともに、速やかに皮膚科の専門医へ紹介することが重要だとしています。

 また、医薬関係者に対しては、患者に報告件数の多い抗生物質製剤、解熱鎮痛消炎剤、抗てんかん剤、痛風治療剤、総合感冒剤、消化性潰瘍用剤、合成抗菌剤等の医薬品を投与又は販売する際には、患者へその初期症状について説明を行い,初期症状を認めたときには速やかに受診するよう適切に注意喚起することが望まれるとしています。

関連資料:重篤副作用疾患別対応マニュアル(厚労省ウェブサイト)
 スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)[PDF:1036KB]
 中毒性表皮壊死症 (中毒性表皮壊死融解症)
   (ライエル症候群、ライエル症候群型薬疹)[PDF:667KB]

関連情報:
  2009.05.13 最近の国内外の副作用等の報告状況
  2008.12.03 最近の国内外の副作用等の報告状況
  2008.08.01 最近の国内外の副作用等の報告状況
  2007.07.18 最近の国内外の副作用等の報告状況


2009年09月29日 23:12 投稿

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