サリドマイド使用にガイドライン(未承認薬では初)

 1960年代、四肢奇形・重度の先天異常などの深刻な薬害をもたらした、サリドマイドという薬をご存知でしょうか? 日本での製造承認消失後も、諸外国では薬効の研究が続けられていて、現在、ハンセン病に伴う結節性紅斑(98年米国FDA認可)の他、多発性骨髄腫に対する有効性が1999年頃より明らかにされています。このため近年日本でも、このサリドマイドを治療用として医師が個人輸入するケースが急増(2003年の輸入量は53万錠)」しているという。

 ところが、各医療機関におけるサリドマイドの使用と管理については必ずしも適正に行われているとは言えず、服用患者のみならず社会的にも新たな薬害が発生する危険性を否定できない現状にあるという指摘がされていた。このため、厚労省は、適正な使用を促すための「多発性骨髄腫に対するサリドマイドの適正使用ガイドライン」を10日公表し、現場の医師・薬剤師に周知徹底するよう求めている。薬事法の対象外となる未承認医薬品について、国がガイドラインを作って規制するのは初めてだという。

 「多発性骨髄腫に対するサリドマイドの適正使用ガイドライン」について
   (厚労省2004年12月10日)
     http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1210-2.html

 このガイドライン本文では、「サリドマイドの薬品管理は、個人輸入を行った担当医師及び責任医師の監督下でその特性を熟知した薬剤師を責任薬剤師に任命し、管理させることが必要である。医療機関の薬剤部門をサリドマイドの管理組織とし、責任薬剤師は管理基準に関する文書を作成して、遵守すべきである。」として、管理・交付・説明の場で、責任薬剤師の果たすべき役割を、具体的に明記しています。

 また、サリドマイドの歴史的経過や、現状についても記されていて、サリドマイドへの理解を深める上で、一度は、目を通しておいてもよいと考え、今回紹介します。

 参考:読売新聞12月11日


2004年12月11日 23:00 投稿

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