Benzodiazepines learning module(英MHRA)

 以前、英国医薬品庁(MHRA)が、医薬品による害を最小限に抑えるために、Reducing medicine risk というページを開設して、learning module というWEB学習ツールの提供を開始したことを紹介(TOPICS 2011.11.25)しましたが、13日、新たにベンゾジアゼピン系薬剤の学習ツールの提供を開始しています。

Learning package on benzodiazepines launched
(MHRA 2013.03.12)
http://www.mhra.gov.uk/NewsCentre/CON249628

Reducing medicine risk(MHRA)
http://www.mhra.gov.uk/ConferencesLearningCentre/LearningCentre/
Medicineslearningmodules/Reducingmedicinerisk/

Benzodiazepines learning module
原文 →Google翻訳(次のページもそのまま翻訳を続けます。十分参考になります)

1. Introduction
    (はじめに)
 1.1 Class members
    (どのようなものがあるか)

2. Prescribing points
    (処方時の留意点)

3. Principal risks and risk-reduction measures
    (主なリスクとリスク軽減策)
 3.1 Sedation and other adverse CNS effects
    (鎮静作用・その他中枢神経系位副作用)
 3.2 Respiratory adverse effects
    (呼吸器系副作用)
 3.3 Cadiovascular adverse effects
    (心臓血管系副作用)
 3.4 Memory impairment
    (記憶障害)
 3.5 ‘Paradoxical effects’
    (奇異反応)
 3.6 Dependence and withdrawal
    (依存性と禁断症状)
 3.7 Overdose
    (過量投与)
 3.8 Important drug interactions
    (重要な薬物相互作用)

4. Precautions and risks associated with special uses of benzodiazepines
    (特別なケースにおける注意すべき点とリスク)

 4.1 Pregnancy and breastfeeding
    (妊娠・授乳時)
 4.2 Elderly
    (高齢者)
 4.3 Benzodiazepines for the management of alcohol withdrawal
    (アルコール離脱のためのベンゾジアゼピンマネジメント)

5. Key points
    (キーポイント)

6. Further information
    (さらに詳しい情報)

 6.1 Information from MHRA
    MHRAが過去に発出した注意喚起情報などへのリンク

7. Appendix: Benzodiazepine prescribing trends
   (ベンゾジアゼピン系薬剤の使用動向)

8. Self-assessment questions
    (事例検討・学習理解テスト)

 8.1 Feedback on self-assessment questions

9. Glossary

10. Module evaluation

 バラバラになっている、ベンゾジアゼピン系薬剤に関する情報を整理するだけではなく、現場の医療専門職がどのような点に留意したらよいかを整理してあり、Google翻訳版で見るだけでも有用な情報です。 

 日本だったら、民間が提供しそうなサイトですが、英国ではこれを医薬品公的機関が提供することで、適正な処方と副作用発現への意識を高めるということになるのでしょう。

 とくに、セクション2の処方のポイント(→原文 →Google翻訳)は、日本でも処方医への意識づけが必要かと思いました。

 その一部を抜粋すると、次のような記載があります。

  • 不安と不眠の治療のためにベンゾジアゼピン系薬剤を使用する場合は、約2週間まで、最大でも4週間にとどめるべきである。
  • ベンゾジアゼピン系薬剤は、物質乱用の既往がある人やパーソナリティ障害がある人には避けるべきである。
  • ベンゾジアゼピン系薬剤を使用中にアルコールや他の鎮静物質が使用した場合、重大な副作用が起こりうることを警告すべきである。

 ベンゾジアゼピン系の薬剤というと、日本ではその使用動向(不適切な処方)について、ブログなどでさまざまな指摘があり、依存への懸念も広がっています。

ベンゾジアゼピン処方の国際比較
(精神科医の犯罪を問う 2011.07.05)
http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55/52343233.html

上記で紹介しているレポート

Report of theInternational Narcotics Control Board on the Availability of
Internationally Controlled Drugs:
Ensuring Adequate Access for Medical and Scientific Purposes
(INTERNATIONAL NARCOTICS CONTROL BOARD 2010)
http://www.incb.org/documents/Publications/AnnualReports/AR2010/Supplement-AR10_availability_English.pdf

ベンゾジアゼピンと認知症発症との関連性について
(六号通り診療所所長のブログ 2012.10.09)
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2012-10-09

各国の処方規制ガイドライン
(マリナのブログ 2012.04.03)
http://ameblo.jp/marina-x/entry-11212144881.html

 以前の記事で紹介しましたが、海外ではベンゾジアゼピン系の薬剤の長期処方はやめる方向になっており、欧州では国をあげて処方と消費の面から長期使用を控える Anti-BZD campaigns も展開されています。

Contribution of prolonged-release melatonin and anti-benzodiazepine campaigns to the reduction of benzodiazepine and z-drugs consumption in nine European countries.
Eur J Clin Pharmacol. Published Online 2012 Nov 1. )
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00228-012-1424-1

  今や抗不安薬や眠剤への依存はシンナー等の依存を上回る(TOPICS 2013.02.22)と言われており、日本でも厚労省がこういったWEB学習モジュールをつくり、適正な使用をすすめることも必要ではないかと思いました。(これで学べば、おそらく処方も慎重になると思う)

 なお、MHRAが提供する学習モジュールは、以前紹介したSSRI(selective serotonin reuptake inhibitors)の他、 オピオイド(opioids)、抗精神病薬(antipsychotics)があります。

関連情報:TOPICS
 2011.11.25 SSRI learning module(英MHRA)
 2013.02.22 今や抗不安薬や眠剤への依存はシンナー等の依存を上回る
 2009.01.26 OTC鎮痛剤で依存が起こるか?(英国)
          (ベンゾジアゼピン系の薬剤についての英国のレポート)


2013年03月14日 15:24 投稿

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