健康食品の表示や広告の適正化の取組強化が必要(消費者委)

 内閣府の消費者委員会(http://www.cao.go.jp/consumer/)は29日、健康食品について、行きすぎた表示や広告が広がっており、健康食品の広告適正化や安全性確保に向けた取り組みの強化が必要だとして、森雅子消費者担当相と田村憲久厚労相に対し、建議を行っています。

第111回消費者委員会
(2003.01.29開催)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/111/shiryou/index.html

動画配信(94分あたりから)
http://wwwc.cao.go.jp/lib_001/iinkai/130129-111.html
(議事録も後で出ます)

 消費者委員会ではこれまでの議論や全国の3万人に行ったアンケート(半数が「健康食品の行きすぎた宣伝や広告が目立つ」と答える)(TOPICS 2012.05.29)を踏まえた調査報告をまとめています。

 「健康食品」の表示等の在り方に関する調査報告
(消費者委員会 2013.1)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/111/doc/111_130129_shiryou3-2.pdf

関連資料;
消費者の「健康食品」の利用に関する実態調査(アンケート調査)
(消費者委員会 2012.05)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2012/088/doc/088_120518_shiryou1-2.pdf

健康食品の表示等の在り方」に関する考え方~健康食品の利用者アンケートの分析結果を踏まえて~
(消費者委員会 2012.06.05)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2012/0605_kangaekata.html

(上記調査と分析には注文も)
消費者委員会「健康食品の表示等の在り方に関する考え方」について再考を求めます
(主婦連 2012.06.22)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2012/102/doc/102_121016_shiryou2-2.pdf

 そのうえで、消費者委員会では次の4点について、森雅子消費者担当相と田村憲久厚労相に対し建議を行い、7月までにその実施状況を報告するよう求めたそうです。

  1. 健康食品の表示・広告の適正化に向けた取組の強化
  2. 健康食品の安全性に関する取組の推進
  3. 健康食品の機能性の表示に関する検討
  4. 健康食品の特性等に関する消費者理解の促進

(資料3-1) 「健康食品」の表示等の在り方に関する建議(案)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/111/doc/111_130129_shiryou3-1.pdf

 私たちと関連する項目も少なくないのですが、目に留まったところとしては、2の健康食品の安全性に関する取り組みの推進で次のような記載があります。

(1)厚生労働省及び消費者庁は、健康食品による健康被害情報を収集、解析し、必要な対応がとれる体制の強化を図るため、次の措置を講ずること。

① 厚生労働省は、行政上の制度への反映を念頭に、健康食品の摂取と健康被害の発生との因果関係が速やかに特定できるよう、類似の被害情報を統一的な基準で効率的に収集する仕組み及び当該被害情報を解析する手法について研究を行うこと。

② 厚生労働省及び消費者庁は、上記①の研究の成果等を踏まえ、健康被害防止のための対応の必要性が明らかとなった場合には、当該製品・成分の流通規制、表示規制を含め所要の措置を講ずること。

(2)厚生労働省は、消費者による健康食品の安全な利用に資するよう、次の措置を講ずること。

① 医療機関における診療や薬局における医薬品の調剤及び販売の機会に、医師、薬剤師等が、患者より健康食品の摂取状況を聴取し、過剰摂取や医薬品との相互作用等について、患者に対し適切な注意喚起を行うなどの取組を進めるよう、関係機関への協力要請を行うこと。

② 医師、薬剤師等が診療、調剤等を行うに当たり、健康食品に関する問題に適切に対処できるよう、医師、薬剤師等に対し、健康食品に関する情報提供を行うこと。

  委員からは建議の内容が不十分だとした意見や、化粧品の表示・広告のGLに比べて、規制がはっきりしていないなどとしたの意見が示されています。

 一方、関連して特定保健用食品についても、「許可された特保の宣伝・広告の中には、あたかも特保さえ摂っていれば、食事のバランス等とは無関係に効果がある旨を示唆し、あるいは暗示するようなイメージ広告など、審査に当たった者として違和感を覚えるものが見受けられる。特保を製造・販売される事業者の方々は、消費者が「特保さえ摂っていれば、あるいは、特保を多量に摂れば、健康を維持できる」といった誤解を持つことがないよう、その宣伝・広告に当たって十分な配慮が求められる。」などとした声明も発表しています。

特定保健用食品について~消費者委員会からの声明~
(消費者委員会委員長・新開発食品調査部会部会長 2013.01.29)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/111/doc/111_130129_shiryou4.pdf

 この声明に対して、表現については委員から注文が示された一方、最近節度を超えたWEB広告も見られているとして、広告規制や罰則強化の建議も必要ではないかとの意見も示されました。(これには大いに同意、こっちの方も重要だと思う) 

関連情報:TOPICS
 2012.05.29 消費者の「健康食品」の利用に関する実態調査(消費者委)
 2012.04.29 食品の機能性評価モデル事業(消費者庁)
 2011.06.03 健康食品の正しい利用法(パンフレット)
 2010.06.25 健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて(パンフ)

参考:
健康食品で対策強化求める=2人の担当相に建議-消費者委
(時事通信2013.01.29)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013012901017

健康食品表示 国の指針の大幅改善を
(NHK ニュース 2013.01.30)
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130130/k10015154921000.html

健康食品に厳しい目~消費者委員会
(NET IB NEWS 2013.01.30)
http://ib-kenko.jp/2013/01/post_834_0130_dm1217_1.html

2013年01月30日 13:23 投稿

コメントが4つあります

  1. シッフズジャパン 鈴木

    スマホの普及により若者にソーシャル・ネットワーキング・サービス(social networking service、SNS)の節度を超えた健康食品広告が浸透しつつあるので、推奨される食習慣を啓蒙する必要があります。

  2. アポネット 小嶋

    若者の間にですか?

    スマホは使わないので、どんな広告なんでしょうね?

  3. シッフズジャパン 鈴木

    私もスマホを使っていないので、具体的な広告は知りません。
    最近のニコニコ動画アプリ開発記事に、「スマートフォンは現在10代のユーザーも増えている。こうした状況の中で、上の年代を狙っていくというよりは、10代、20代に普通に使ってもらえるものにしたい。」とあったので、推察しました。
    http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130124/451628/

  4. アポネット 小嶋

    関連で厚労省は28日、医薬食品局総務課長名で、各都道府県と関係団体に通知を発出しています。

    医薬品と健康食品の相互作用に対する注意喚起等について(依頼)
    (厚生労働省医薬食品局総務課長 2013.02.28)
    http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T130305I0010.pdf

    平成25年1月29日付けで内閣府消費者委員会において「「健康食品」の表示等の在り方に関する建議」(→リンク)が取りまとめられました。当該建議において、薬局における医薬品の調剤及び販売の機会に薬剤師等が患者より健康食品の摂取状況を聴取し、過剰摂取や医薬品との相互作用等について、患者に対し適切な注意喚起を行うことの重要性が指摘されています。

    貴職におかれましては、当該建議の内容を踏まえ、貴管下の薬局・薬店等に対して下記の事項を周知徹底していただきますようよろしくお願いいたします。

    1.薬局における調剤及び薬局・薬店等における医薬品の販売又は授与の際に、患者等からの聞き取りやお薬手帳の活用等により、当該患者等の健康食品摂取状況を確認し、医薬品との相互作用のおそれや健康食品の過剰摂取の疑いがある場合は、患者等に対して必要な注意喚起を行うこと。

    2.独立行政法人国立健康・栄養研究所の「「健康食品」の安全性・有効性情報」及び厚生労働省医薬食品局食品安全部より発出される健康食品に関する通知等の内容を踏まて、薬局・薬店等において患者等へ情報提供と注意喚起を行うこと。

    一応下記のサイトを参考に(ほとんど既に紹介済みだけど)といっているけど、やっぱり情報をきちんとどこかがきちんとまとめて欲しいですね。

    「健康食品」の安全性・有効性情報(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
    https://hfnet.nih.go.jp/

    「健康食品の正しい利用法」(平成23年3月作成)
    一般の方を対象とした健康食品に関する情報提供用パンフレット
    http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/kenkou_shokuhin00.pdf

    「健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向けて」(平成22年3月作成)
    医師を対象とした健康食品に関する情報提供用パンフレット
    http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dl/pamph_healthfood_a.pdf

    「健康食品」の表示等の在り方に関する調査報告
    http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/111/doc/111_130129_shiryou3-2.pdf

    あれこれで紹介しましたが、Br J Clin Pharmacol 誌にハーブや生薬と医薬品との相互作用についてのシスティマティック・レビューが掲載されています。(今のところオープンアクセス)

    Herb–drug interactions: an overview of systematic reviews
    (Br J Clin Pharmacol 2013 Mar;75(3):603-18.)
    http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-2125.2012.04350.x/full