保健所と薬局が連携した禁煙教育事業(盛岡市)

 今年2月22日に開催された、平成21年度「たばこ・アルコール対策担当者講習会」のスライドをみていたら、盛岡市で行われている保健所と薬局が連携した禁煙教育事業が目に留まりました。

平成21年度「たばこ・アルコール対策担当者講習会」
(2010年2月22日)
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/100222.html

 この事業は2005年度から3年間にわたり、岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座が実施した研究「薬局と保健センターの連携によるニコチンガムを用いた禁煙教育」を踏まえ、2008・2009年度の「盛岡市禁煙教育事業」として盛岡薬剤師会と連携して実施されたものです。

薬局と連携した禁煙教育事業~禁煙チャレンジ教室を実施して~(PDF:8.8MB)
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/dl/100222d.pdf

 2008年度は禁煙補助剤としてニコチンガムを活用、市内24薬局の協力を得ながら禁煙希望者50人(指導定員50人)を指導、禁煙達成率は32.0%だったそうです。

 一方、2009年度は禁煙補助剤にニコチンパッチを加え、21薬局の協力を得て禁煙希望者78人(指導定員100人)に指導を行ったそうです。

禁煙チャレンジャー募集(ウェブもりおか 2009.6.15号)
http://www.city.morioka.iwate.jp/02kikaku/koho/kohomorioka/090615/12.html

 禁煙希望者にはまず薬局に足を運んでもらい、喫煙に関するプロフィール票、ニコチン依存のスクリーニングテスト、禁煙補助剤(ガム・パッチ)に関する情報提供を受けてもらい、次に保健所で一酸化濃度ガスの測定や保健師による指導を受けた後、ガムなら24個、パッチなら7枚を無償で提供(これ以上は薬局で自費購入)を受けます。そして、保健師から継続支援を受けながら禁煙に取り組むというもので、禁煙達成率は46.1%にアップしたそうです。

 禁煙外来を行っている医療機関にとってはあまりいい思いではないかもしれませんが、薬局で簡単にスクリーニングを行い、保健所で程度を確認して指導を行うという、地域住民の健康作りを薬局・保健所で協力しながらすすめるというのは、保健活動に貢献するまさしく次世代の地域薬剤師の役割ではないかと感じました。(もっとも海外では、一酸化濃度の測定は薬局でも行われているようですが)

 一定数のみパッチやガムの代金を公費で補助してくれるというのなら、きっと他の自治体でも参加する住民が少なくないと思います。地元でもこういったことができないかな?

関連情報:TOPICS 2009.02.23 地元薬剤師会と連携した禁煙相談の取り組み(東京都港区)

参考:盛岡市禁煙教育事業~ 薬局と連携した禁煙支援体制の構築~
    (岩手県のHPにあったファイルで、2010.2.25に行われた発表抄録のようです)


2010年03月24日 01:21 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    東京都の練馬区が、同様の事業を地元薬剤師会と共同で6月から始めます。

    東京都練馬区 平成22年度予算案 主な事業の紹介
    http://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/zaisei/yosan/h22/22tosho/syuyo.html

    HPによれば、薬剤師会と協力して区が指定した禁煙支援薬局で、薬剤師による禁煙相談や禁煙外来のある医療機関の紹介などを行い、一定の条件で、禁煙支援薬局で提供するニコチンパッチなどの禁煙補助剤についても費用の一部を区が負担するそうです。

    予算は105万円も計上されています。

    練馬区くらいの規模がないとできないこれだけの予算は割けませんよね。