ケトチフェン点鼻薬のリスク分類引き下げは仕方ないのか?

 すでにご存じと思いますが、6日開催された薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会で、フマル酸ケトチフェン点鼻薬のリスク区分を、「第1類」から「第2類」に引き下げることが了承されています。

 【薬食審医薬品等安全対策部会】ケトチフェン点鼻を2類に‐リスク区分を変更
 (薬事日報 HEADLINE NEWS 11月10日)
  http://www.yakuji.co.jp/entry17217.html

 酸化マグネシウムのリスク分類変更問題(TOPICS 20090.08.08)から、今回からはパブリックコメントを行ってからの対応となりましたが、安全対策部会で示された資料をみると結構、傾眠などの副作用発現が少なくないことがわかります。また一般調査では、一般の人からも報告があります。

資料1-2-2 一般用医薬品の製造販売後調査報告書
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/dl/s1106-11h.pdf

 パブリックコメントでも、何人もの方が意見を出していますね。

資料1-2-3 ケトチフェン点鼻剤のリスク区分変更に係るパブリックコメントに寄せられたご意見
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/dl/s1106-11i.pdf

 しかし、結局「ケトチフェンの抗ヒスタミン作用(脳内のH1受容体へのブロック)によるものであり、予想できる範囲である」とする安全調査会による意見に押されて、リスク分類の変更が決まったようです。

 「積極的な情報提供を行って,安全使用を図ること」を条件としたようですが、ともすると点鼻だから大丈夫だろうと売る側も使う側も油断するかもしれません。(私も十分理解していませんでした)

 消費者が手にとってレジに直行という光景を考えると、パッケージに運転禁止のピクトグラムを入れるなど、商品を手にとってすぐわかるような注意喚起の方法の導入も必要だと思います。

 ルール上、よほどの問題がない限り、第2類へのリスク分類への変更は仕方ありません。リスク分類の変更に意義を唱えるのであれば、現場の薬剤師が日頃から積極的にデータを集め、日薬や大学を巻き込んで独自の市販後調査をまとめるなどの検証を厚労省に示すしかないでしょう。

関連ブログ:ケトチフェン点鼻剤が第2類医薬品へ 日薬は反対の姿勢
        (薬局のオモテとウラ 2009年9月24日)
      http://blog.kumagaip.jp/article/32382695.html

資料:
平成21年度第2回薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会(2009年11月6日開催)
 厚労省資料(11月13日掲載) WAMNET資料 (11月10日掲載)
 議事録

関連情報:TOPICS 2009.06.10 薬品が車の運転に与える影響

2010年3月19日 リンク追加


2009年11月15日 23:55 投稿

コメントが3つあります

  1. ケトチフェンの点鼻薬で高速道路のトンネルの入り口に激突しそうになる。
    眠さは第一類医薬品として残しておかないと医療事故が必ず死亡事故で起こる。

  2. この国は 眠気を未だに 精神力でカバーするべきと考えているようです。
    抗ヒスタミン剤の集中力や反射力低下が生活に及ぼす危険性に疎い。
    止めなくても良い生理的な鼻水までも 止めるために躍起になっています。
    素人である一般市民に それらのリスクを知らしめる努力を 国指導で行なった例が無い。
    国民全体の動きに合わせて 情報提供が十分に為されて そして、監視力が機能して 初めて規制緩和は有効になると思います。
    この国は 規制緩和して 無知なゆえの犠牲者を出して 犠牲者が苦しい体に鞭打って頑張って訴えて 初めて 情報提供と監視力の不備を逃れるわずかな補助を行なって、それで反省したと。いつまでも そんな論理が通用すると思っているのでしょうか?
    薬剤師さんたち、頑張って!!

  3. アポネット 小嶋

    見落としていましたが、議事録が既に掲載されています。(元記事でリンク)

    委員から反対の声も挙がったようですが、許容範囲ということで合意されてしまったようです。

    委員からは次のような意見が出されています。

    パッケージに、
    例えば運転してはいけないと確かに文字としては書いているのですが、運転をしてはいけ
    ないというようなロゴをきちんと作って、そういうものを共通で入れておくとか。要する
    にパッケージからも注意ができるような、文字を読まなくても分かるようなやり方という
    のも、注意喚起の方法としては一つあると思います(土屋委員)

    点鼻薬や吸入薬の場合は内服の錠剤とかなり違って、量を余りコントロールしないでガン
    ガン使ってしまう症例が多く出得ると思うのです。ですからそちらの喚起も必要かと思い
    ます。(猪熊委員)