風邪薬・咳止めによる事故の多くは大人の不注意が原因(米国)

 米CDC(疾病管理予防センター)の研究者らのグループは、咳止め・風邪薬による有害事象と救急治療部門(ED、Emaegency Department)に訪れると子どもの関連性を調べたデータをPediatrics 誌のオンライン版で発表しています。

Adverse Events Attributable to Cough and Cold Medications in Children
  (Pediatrics Published online January 28, 2008)
 http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/abstract/peds.2007-3638v1
 http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/full/peds.2007-3638v1

 これは、2004年・2005年に米国内の63ヶ所のEDを訪れた人のデータを分析したもので、毎年、推計で約11万6000人の12歳未満の子どもがEDを訪れ、うち約7900人(5.7%)が風邪薬・咳止め薬関連のものだったとしています。

 また風邪薬・咳止め関連の301の事例を詳しく調べたところ、大人の監督下で用法用量を守って服用させた場合で起きた事例は全体の25.9%だけで、65.9%(うち2歳〜5歳では78%)が大人の監督下以外でおきた使用(子どもが勝手に自分で飲んでしまう?)によるもの、8.2%が服用させる量を間違えるなどの誤用によるもので、親や保護者が注意すれば防ぎえた事例が少なくないとしてます。

 今回の調査対象となった風邪薬・咳止め薬は、OTC薬・処方せん薬の区別や成分ごとの分析はされていないため、最近議論になっているOTC風邪薬・咳止め薬が安全かどうかはこの調査結果だけではわかりません。しかし他の薬剤によるED訪問事例の分析では、用法・用量を守って起きた事例が51.4%、監督下以外で起きた事例が47.4%で、風邪薬・咳止め薬が子どもにとって他の薬剤に比べて特に安全性に問題があるという結果は示されませんでした。

内訳 風邪薬・
咳止め薬
その他の
治療薬
大人の監督下以外で服用した事例
(Unsupervised ingestion)
65.9% 47.4%
大人の監督下で用法用量を守って服用させた事例
(Supervised administration without documented medication error)
25.9% 51.4%
服用させる量を間違えるなどの誤用による事例
(Supervised administration with documented error)
8.2% 1.1%

 今回の調査結果を受けて、研究者らは誤用しないよう1回服用量ごとの包装、飲み物やキャンディなどの食べ物と間違えないよう色をつけないなどの製剤上の工夫や、子どもが自分で開けられないような容器の工夫、手の届かないところで保管する、薬をキャンディだといって飲ませない、子どもの目の前で大人たちは自分の薬を飲んで見せないなどの注意が必要であるとしています。

関連情報:
CDC Study Estimates 7,000 Pediatric Emergency Departments Visits Linked to Cough and Cold Medication – Unsupervised Ingestion Accounts for 66 Percent of Incidents
(CDC Press Rlease 2008.1.28)
  http://www.cdc.gov/media/pressrel/2008/r080128.htm
Children’s OTC Cold Medicines:The Public, and Parents Weigh In.
(NPR/Kaiser Family Foundation/Harvard School of Public Health.)
  http://www.kff.org/kaiserpolls/upload/7726.pdf


2008年01月30日 13:30 投稿

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