登録販売者の資質の向上に関する外部研修ガイドライン(案)

 多くの登録販売者が誕生した今般ですが、その一方で登録販売者を従事させる薬局開設者などには登録販売者に対する研修の実施が求められています。そこで、厚労省では研修の一定水準を確保し、登録販売者の質の向上を図るため、このほど研修に関するガイドライン(案)を作成し、来年4月1日からの適用を目指して、14日からパブリックコメントを開始しています。

「登録販売者の資質の向上に関する外部研修ガイドライン(薬局開設者並びに店舗販売業者及び配置販売業者が委託して行う外部研修について)」の制定に関する意見の募集について
(案の公示日 2011年12月14日 意見・情報受付締切日 2012年01月12日)

 タイトルの通り、このガイドラインは自前で研修が行えない店舗が、外部に委託して研修を登録販売者に行わさせる場合に、委託先の研修内容が質を向上させるものとなっているかどうか、そして業者としてどのように従事者の質を確保するかの指針とみればよいと思うのですが、チェーン店などが自前で研修を行う場合でも、今後必要とされる指針にもなるように思われます。(自前で研修を行う場合の指針というのはあったんだっけ?)

登録販売者の資質の向上に関する外部研修ガイドライン(案)
(薬局開設者並びに店舗販売業者及び配置販売業者が委託して行う外部研修について)

1. 目的・概要
登録販売者に対する一定水準の研修を確保し、登録販売者の質の向上を図るため、薬局開設者並びに店舗販売業者及び配置販売業者(以下「一般用医薬品販売業者等」)が実施しなければならない従事者に対する研修のうち、登録販売者に対して外部研修実施機関に委託して行う研修(以下「外部研修」)に関する事項についてガイドラインとして定めるもの。

2. 研修の受講対象者、時間数等について
一般用医薬品販売業者等は、以下の事項に基づき、当該業者で従事する登録販売者に外部研修を受講させること。

(1)外部研修の受講対象者
・一般用医薬品販売業者等は、当該業者の下で一般用医薬品の販売に従事するすべての登録販売者を外部研修の受講対象者とすること。

(2)外部研修の時間数
・研修は、受講対象者に対し、毎年、少なくとも12時間以上、定期的かつ継続的に受講させること。

(3)外部研修の実施内容等
・販売業者等は、外部研修の実施内容等が、3.を満たすものであることをあらかじめ確認すること。

(4)外部研修の修了認定の確認等
・一般用医薬品販売業者等は、受講対象者が外部研修を受けたことを修了証等で確認し、適切にその旨を記録・保存すること。

3. 外部研修の実施内容等について
外部研修の実施機関、実施内容等については、以下の事項を満たしていること。

(1)研修の実施機関
・研修の実施機関は、登録販売者の質の向上のための研修の専門性・客観性・公正性を確保することができるものであり、かつ、登録販売者の職能に応じた、相当の研修実績を有すること。

(2)研修の実施体制
・研修の実施機関は、教育、学術等の関係者及び消費者等の参画を求め、研修の実施体制の客観性を確保すること。
・研修の実施機関は、研修等の企画・運営、形式、内容、時間数、修了証交付等に関する実施規則を定めること。
・研修の講師は、実施する研修に関する専門的な技術・知識を有するものであること。
・研修の実施機関は、研修の実施方法及び実績等の情報を原則すべて公表すること等により研修の透明性を十分確保すること。
・研修の実施機関は、実施する研修の概要を自治体に届け出ること。また、自治体の求めに応じて、研修の実施方法、実績等の情報を開示すること。

(3)研修の形式
・研修は、講義(集合研修)を基本とすること。
・遠隔講座・通信講座による研修を行う場合は、講義(集合研修)と組み合わせて行うこと。また、遠隔講座・通信講座による研修を行う場合には、その時間数が講義(集合研修)の時間数を超えないこと。

(4)研修の内容
・研修の実施機関は、次の①から⑦に係る事項について研修内容に含めること。また、研修のために必要な教材を用意すること。
① 医薬品に共通する特性と基本的な知識
② 人体の働きと医薬品
③ 主な一般用医薬品とその作用
④ 薬事に関する法規と制度
⑤ 一般用医薬品の適正使用と安全対策
⑥ リスク区分等の変更があった医薬品
⑦ その他登録販売者として求められる理念、倫理、関連法規等

(5)研修の実施頻度
・研修は、毎年、定期的かつ継続的に行われていること。

(6)研修の修了認定及び修了証交付
・研修の実施機関は、研修参加者に対し、研修の修了に当たり、研修内容の習得を確認する試験その他の方法により研修修了の認定を適切に行い、修了証の交付を行うこと。また、研修参加者の氏名、研修内容等を適切に記録・保存すること。

 つまり来年からは薬局の開設者等は従事させる登録販売者に対して、決められた範囲の内容を含む、毎年、少なくとも12時間以上、定期的かつ継続的に受講させ、その記録を残すことを義務づけると読み取れるのですが、となると、薬局における勤務薬剤師の研修状況の把握ってのはどうなるのでしょうか?(施設基準をとっているところは義務付けられてはいますが、施設基準をとっていないところではどうだったけ? 薬剤師としての自覚の問題ですかね)

 なお、今回のガイドライン策定の背景には、下記のような配置販売業で従事する登録販売者の研修の実情が明らかになった点もあるかと思います。

既存配置販売業者の配置員の資質の向上に係る講習等の実施状況に関する調査結果報告書の送付について(依頼・情報提供)
(2011年6月30日 各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬食品局総務課通知)
http://www.japal.org/contents/dom/notice/003327.html
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=5572


2011年12月15日 10:54 投稿

コメントが1つあります

  1. 一気にここまで飽和化した登録販売者。制度自体が形骸化している。資格はあるが特段説明しているわけでもなく、現場では事実上、雑貨やディスカウント業務が仕事が中心である。資格取った方(特に旧・新薬種商)には誠に申し訳ないが、制度白紙に戻し一般用医薬品は届出制に移行し、代わりに定期研修にしてはどうだろうか?