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2008年11月3日(月)

妊婦と嗜好品

投稿者: アポネット 小嶋

 どちらかといえば、保健師さんの領域の話題かもしれませんが、英国では妊婦と嗜好品についての2つの話題が大きく報じられています。

 一つは、カフェインの摂取についての話題で、英国食品基準庁(FSA:Food Standards Agency)が3日、カフェインの妊婦の1日推奨摂取量300mgを200mgに引き下げるというもので、英国各紙はFSAの発表前から大きく取り上げています。

 Food Standards Agency publishes new caffeine advice for pregnant women
   (FSA 2008.11.3)
  http://www.foodstandards.gov.uk/news/pressreleases/2008/nov/caffeineadvice

 コーヒーなど、妊婦のカフェイン摂取については現在、「多く摂りすぎてはいけない」というのが一般的な認識ですが、では具体的にどのくらいまで大丈夫かについては、はっきりとしたエビデンスがないことから、日本を含め多くの国ではその推奨摂取量については定めていません。

 しかし英国では、FSAが2001年10月に、妊婦がカフェインを摂りすぎると流産や低体重児のリスクの可能性があるとして、1日あたり300mg(コーヒーならカップ4杯、紅茶ならカップ6杯まで)の推奨摂取量を既に定めていました。

Agency issues caffeine advice to pregnant women(FSA 2001.10.10)
   http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2001/oct/caffeinepregnancy

 今回、FSAが推奨摂取量の引き下げを決めたのは、最近の研究でこれらのリスクがはっきりしてきたことがその背景にあるようです。

Maternal caffeine intake during pregnancy and risk of fetal growth restriction: a large prospective observational study
 (BMJ 2008;337:a2332)
  http://www.bmj.com/cgi/content/full/337/nov03_2/a2332

上記論文の解説
 Caffeine and pregnancy (NHS Choice 2008.11.4)
 http://www.nhs.uk/news/2008/11November/Pages/Newcaffeineadviceinpregnancy.aspx

Maternal caffeine consumption during pregnancy and the risk of miscarriage: a prospective cohort study.(Am J Obstet Gynecol. 2008 Mar;198(3):279.e1-8. )
  http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18221932

上記論文の解説
 Caffeine link to miscarriage (NHS Choice 2008.1.22)
 http://www.nhs.uk/news/2007/January08/Pages/Caffeineandmiscarriagerisk.aspx

 これにより、妊婦のカフェイン推奨摂取量は、インスタントコーヒーならマグカップで1日2杯、フィルターコーヒーならマグカップで1日1杯、紅茶ならマグカップで1日2杯程度までにする必要があります。また、テオブロミンが含まれるココアやチョコレート、カフェインが含まれるコーラなどの清涼飲料水やドリンク剤(欧米では、“Energy Drink”というカフェインが多く含まれるドリンク剤が存在します。日本でも同じようなものがありますね)の摂取にも十分注意することが必要となります。

 英国では、上記で述べたように既に1日300mgまでということが推奨されていることから、FSAでは300mgに制限していた妊婦は心配する必要はないとしていますが、Mail Onlineなどの読書の意見を見ると、「私は、妊娠中たばこも吸ったし、コーヒーも毎日飲んだ。でも子供は大丈夫だった」として、あまり制限をするとかえってストレスになるのではないかとの意見も寄せられています。 

Pregnant women advised to limit caffeine consumption
  (FSA 2008.11.3)
 http://www.foodstandards.gov.uk/news/newsarchive/2008/nov/caffeinenov08

資料:妊娠中、授乳中のカフェイン摂取について(百珈苑)
    http://www.imaginet.ne.jp/~tambe/coffee/maternalCaffeine.html

関連情報:コーヒーで流産?(がんばれこそだて 2008年2月8日)
    http://www.kosodate.co.jp/keyword/08_0208.html

 2つめは、妊婦のアルコール摂取についてで、たくさん摂取することは生まれてくる子どもに悪影響を及ぼすものの、少量摂取については問題がないとする研究論文です。

Light drinking in pregnancy, a risk for behavioural problems and cognitive deficits at 3 years of age?
 (International Journal of Epidemiology, doi:10.1093/ije/dyn230)
  http://ije.oxfordjournals.org/cgi/content/full/dyn230v1

上記論文の解説
 Drinking and child behaviour(NHS Chice 2008.10.30)
 http://www.nhs.uk/news/2008/10October/Pages/Pregnantwomenanddrinking.aspx

 結果によれば、妊娠中の週1〜2回程度の少量のアルコール摂取は問題なく、むしろ好影響?(intelligent and better behaved)を与えるとしており、医療関係者らからは、「かえって混乱するので、いままで通り摂取しないとの指導がよい」といったコメントが多く寄せられています。

 いずれにせよ、妊娠12週まではカフェインの摂取を避けるべきとした産婦人科の専門家の見解には耳を傾ける必要があるかもしれません。

関連情報:妊産婦のための食生活指針 ―「健やか親子21」推進検討会報告書―
       (厚労省2006年2月)
     http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0201-3a.html

参考:
 Cut caffeine, pregnant women told (BBC NEWS 2008.11.2)
    http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/7705319.stm
 Light drinking ‘no risk to baby’ (BBC NEWS 2008.10.31)
    http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/7699579.stm
 Caffeine link to low weight babies (AP 2008.11.2)
http://ukpress.google.com/article/ALeqM5iFDXIwJQf3onw0pkzSkOAFY8qhHQ
 Two cups of coffee a day can lead to underweight babies, experts claim
  (Mail Online 2008.11.3)
http://www.dailymail.co.uk/health/article-1082449/
Two-cups-coffee-day-lead-underweight-babies-experts-claim.html

11月3日 23:40更新  5日 リンク追加

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