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2006.12.29 後期高齢者医療、外来にも定額制導入か

2006.12.28 規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申

2006.12.28 PPIが、大腿骨頸部骨折のリスクを高めるかもしれない(英国研究)

2006.12.28 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.26

2006.12.28 平成17年度家庭用品に係る健康被害病院モニター報告

2006.12.28 後期高齢者医療制度にかかりつけ医制度の導入を提言(国保中央会)

2006.12.22 医薬品・医療用具等安全性情報231号

2006.12.22 パーキンソン病と潰瘍性大腸炎の公費負担見直しは見送りに(2007.1.19更新)

2006.12.20 OTC鎮痛剤の外箱に副作用警告の表示を求める(米国)

2006.12.18 テリスロマイシンのリスクとベネフィット(米国)

2006.12.16 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.25

2006.12.16 パブリックコメントを活用しよう

2006.12.15 抗うつ剤と若者の自殺リスク(米国)

2006.12.15 TIPウェブサイト

2006.12.14 アセトアミノフェンの適応拡大の申請を求める(2007.1.15更新)

2006.12.12 パーキンソン病と潰瘍性大腸炎の公費負担見直し案が示される

2006.12.06 最近の国内外の副作用等の報告状況

2006.12.06 ED啓発広告は子供に悪影響を及ぼす(米国小児科学会)

2006.12.06 急増するデキストロメトルファンの濫用(米国)(12/7更新)

2006.12.05 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.24

2006.12.05 一般用医薬品のリスク分類案が示される

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2006.12.29 後期高齢者医療、外来にも定額制導入か

2008年度からは、75歳以上の高齢者を対象とした後期高齢者医療制度が導入され、その診療報酬体系については、現在さまざまな案が検討されていることはすでに紹介済みですが、29日の朝日新聞によれば、高齢者に対して、必要度の高くない医療が過剰に行われているとされる現状を改善するため、厚労省は外来にも「定額制」を導入する方針を固めたと伝えています。

具体的には、患者は、高血圧や心臓病、関節障害などの特定の慢性疾患についての医療機関をあらかじめ選び、そこで一定回数以上受診すると、それ以上は何回受診して投薬や検査を受けても健保組合などから受け取る報酬は定額とする方法などが検討されるとのことです。

後期高齢者医療制度における医療費抑制は最大の課題であり、ある面はやむを得ないと思いますが、報道の通りに実現されるとなると、薬の使われ方には大きな影響を及ぼすことは間違いでしょう。私たちも成り行きを注目すべきでしょう。

関連情報:TOPICS
    2006.12.28 後期高齢者医療制度にかかりつけ医制度の導入を提言(国保中央会)

参考:朝日新聞12月29日
   http://www.asahi.com/health/news/TKY200612280381.html

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2006.12.28 規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申

内閣府の規制改革・民間開放推進会議(http://www.kisei-kaikaku.go.jp/)は25日、規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申をまとめ、公表しています。

規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申
  (2006年12月25日規制改革・民間開放推進会議)
   概要〔PDF:35KB〕 本文〔PDF:466KB〕 参考資料〔PDF:20KB〕

この会議は、かつては大衆薬のコンビニ等での販売、最近では混合診療、株式会社による医療機関経営、医療機関情報の公開義務化、レセプトのオンライン請求化等、多岐に渡る改革事項を答申し、現在その多くが具体的に検討され、実現に至っているものも少なくありません。

今回の答申では、株式会社による医業経営の解禁や参照価格の導入についての取り扱いに注目が集まっていましたが、最終的には医師会などからの反対があり、引き続き議論をするとして、具体的な提案は見送られました。

規制改革・民間開放推進会議の最終答申にむけて(日本医師会12月20日)
  http://www.med.or.jp/nichikara/kisei/index.html

 第2回 医療WG 配布資料(2006年11月15日開催)
  http://www.kisei-kaikaku.go.jp/minutes/wg/2006/1115/agenda.html

なお、薬・薬剤師関連では、下記のような施策が提案されています。

1.医師等医療資格者の一定以上の資質の確保

  • 資質の定期的なチェックの他、医療事故の発生予防・再発防止のため、ヒヤリ・ハット事例の収集・分析を引き続き行うとともに、事故発生の原因等の重大な情報を提供する等、国民に対し安心・安全で質の高い医療を提供するための施策を総合的な観点から検討【逐次実施】

2.医療従事者の労働派遣

  • 医療従事者の労働派遣ニーズや常勤職員への負担の影響等を踏まえつつ、医療従事者の派遣労働を可能とすべく検討【平成19年度中に検討・結論】

3.ジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用促進策の更なる推進等

  • ジェネリック医薬品の使用に必要な情報提供の充実【平成19年度中に措置】
  • 診療報酬改定、薬価制度の体系の見直し等を含む更なるジェネリック医薬品の使用促進策を検討【平成19年度中に検討、結論】

4.国際共同治験の促進

  • 医薬品の開発・承認を促進するため、現在推進している国際共同治験をより活用することとし、その治験データの受入基準等を明確する等、治験が早期かつ効率的に行われるシステムを構築すべき【平成19 年度中に措置】

5.欧米諸国で承認された医薬品の本邦における承認の促進

  • 欧米諸国で承認されているが本邦では未承認の医薬品については、それらの医薬品が迅速に国民に提供されるよう、今後とも、専門家の意見を聞き、医療上の必要が高いと評価されたものを対象に、必要な治験を早期に実施するよう指導するとともに、優先的な承認審査等を行うことにより、本邦における迅速な承認を促進していくべき【逐次実施】

6.医師とコ・メディカルの間の実施可能業務の見直し

  • 医師、コ・メディカル間の具体的な業務分担、責任分担などの役割分担の在り方を検討・整理、これにより医療従事者間の業務を相互に補完、または不足する医療職種の役割を代替することで適切な医療の提供が可能となり、医療人材不足の緩和を図ることができる【平成19年度中に検討開始、逐次措置】

このうち項目6に注目したいと思います。現在、英国やカナダでは、薬剤師の役割を拡大させる動きが具体化していますが、薬剤師過剰が懸念される近い将来、日本でも薬剤師の役割を見直すということは果たしてあるのでしょうか?

関連情報:TOPICS 2006.06.02 カナダ・アルバータ州政府が薬剤師に処方権を与える
          2005.11.14 薬剤師による独立処方が大幅に拡大(英国)

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2006.12.28 PPIが、大腿骨頸部骨折のリスクを高めるかもしれない(英国研究)

米国ペンシルベニア大の研究グループは、プロトンポンプ阻害剤(PPI)を1年以上服用すると、大腿骨頸部の骨折(hip fracture)のリスクが44%高まり、また高容量を使用すると、使用しない人に比べリスクは2.6倍になるとする調査結果をまとめ、論文がJAMAの最新号に掲載されています。

Long-term Proton Pump Inhibitor Therapy and Risk of Hip Fracture
 (JAMA. 2006;296:2947-2953)
 http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/296/24/2947

この研究は英国の50歳以上約15万人(平均年齢77歳、女性が79%)を対象とした、コホート内症例対照研究(nested case-control study)で、骨折の発症率とPPIの服用歴について分析しています。

その結果、骨折の発症率はPPIを服用しない人に比べ服用している人が高く、PPIの服用年数が1年で22%、4年になると59%高まるなど、服用期間が長い人ほど高いということがわかったそうです。

研究者らは今回の研究結果について、「PPIによってカルシウムの吸収が阻害される可能性がある」として、「医師は、PPIの処方にあたってはこれらのリスクを考慮し、投与量は必要最小限に抑えるべき」「PPIによる長期の治療が必要な高齢者は食事を通じてカルシウムを摂取することが望ましい」としています。

参考:PPIs associated with increased risk of hip fractures
    (pharmacist.com.news 2006.12.27)
     http://www.pharmacist.com/articles/h_ts_1353.cfm
    Acid Reflux Drugs May Up Fractures(WebMD 2006.12.26)
     http://www.webmd.com/content/article/131/117904.htm

    読売新聞12月27日
     http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20061227it02.htm

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2006.12.28 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.26

国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、12月26日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.26を公表しました。

長時間作用型β2刺激吸入剤、ヘパリン、アプロチニン、ゲフィチニブ(イレッサ)などの情報が掲載されています。

全文はこちら(PDF)です。

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2006.12.28 平成17年度家庭用品に係る健康被害病院モニター報告

厚労省は26日、平成17年度家庭用品に係る健康被害病院モニター報告を発表しています。

全体の傾向は例年とおりですが、「家庭用品等に係る皮膚障害に関する報告」で、洗剤に関する報告が増えて32%に達していること、また「小児の家庭用品等の誤飲事故に関する報告」では、タバコの誤飲が減少傾向にあるものの、まだ30%以上を占めていることが明らかになっています。

概要:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/12/h1226-1.html
 本文:http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/12/dl/h1226-1a.pdf

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2006.12.28 後期高齢者医療制度にかかりつけ医制度の導入を提言(国保中央会)

2008年度からは、75歳以上の高齢者を対象とした後期高齢者医療制度が導入されますが、その診療報酬体系については、定額制の導入など、現在さまざまな案が検討されています。

25日、独自案の検討を続けていた国民健康保険中央会(http://www.kokuho.or.jp/)は、高齢者を対象とするかかりつけ医の拡充策を盛り込んだ提言をもりこんだ「高齢社会における医療報酬体系のあり方に関する研究会報告書」を発表しています。

具体的には、75歳になった時点で原則として診療所の中からかかりつけ医に選んで登録してもらい、病気になった場合には、最初にかかりつけ医を受診するという仕組みにし、かかりつけ医の報酬は、登録された後期高齢者の人数に応じた定額払いを導入して、出来高払いと併用するというものです。

国保中央会ではこれにより、「医療機関に対するフリーアクセス(「いつでも、誰でも、どこへでも」)の中の「どこへでも」をある程度制限することにより病診機能が明確になり、効率的な医療が提供される。その結果、真に医療を必要とする人に必要な医療が提供されるようになる」「後期高齢者におけるQOLの向上が推進される」「診察から入退院、リハビリテーション、介護サービスとの連携まで含めて、継続的な医療が推進される」などの効果があるとしています。

今回の提言は、最初にかかりつけ医が診療し、症状などに応じて専門医や病院などに紹介するシステムを明確化したもので、はしご受診や重複検査などの無駄を排除することで、高齢者の医療費を抑制したいという狙いもあるようです。

今回の報告書の作成にあたっては、医療報酬においてかかりつけ医報酬が導入されている、イギリス・デンマーク・オランダ・フランスでのヒアリングを行い、日本でも同様の制度を導入すれば一定の効果があるだろうとの考えのようです。

日本医師会は27日行われた定例記者会見で、高齢者医療制度で初期診療をかかりつけ医に限定するとした今回の提言に対し、「医療の質の低下を招く」として、反対する考えを明らかにし、患者がどの医療機関へいつでも自由にかかれる「フリーアクセス」を維持できるよう、あらためて訴えました。

概要[PDF:22KB] 本文[PDF:261KB] 
 付属資料(ヨーロッパ4カ国のヒアリング結果)[PDF:73KB]

関連情報:TOPICS 2006.11.22 高齢者医療における薬剤師の役割(12/28更新)
          2006.09.11 厚労省、新高齢者医療制度に包括払い導入を検討

参考:共同通信12月26日、28日
    毎日新聞12月26日
 http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/archive/news/2006/12/20061226ddm005010081000c.html

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2006.12.22 医薬品・医療用具等安全性情報231号

厚労省は12月21日、医薬品・医療用具等安全性情報231号を公表しました。

タクロリムス水和物(プログラフ)による間質性肺炎の悪化、糖尿病・高血糖、ゲフィチニブ(イレッサ)による肝炎・黄疸などの情報が掲載されています。

全文はこちらです。

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2006.12.22 パーキンソン病と潰瘍性大腸炎の公費負担見直しは見送りに

厚生労働省は20日、特定疾患対策懇談会が11日示した、パーキンソン病と潰瘍性大腸炎の軽症者の医療費補助事業の対象から除外する案について、実施を当面見送ることを決めた。

自民・公明の与党は15日、現在事業の対象となっている患者の医療の継続を図る措置などを同省に申し入れていたが、厚労省では懇談会の結論を先送りし、当面は従来通りの支援を継続する方針を決めた。

厚労省では関係議員に対し、「来年度は(適用範囲の)見直しをおこなわない。再来年度以降、見直す場合も、既に制度の適用を受けている患者の補助は打ち切らず、継続する方向で検討している。」と述べたと伝えられているが、一方で「対象患者見直しの時期は当初から設定しておらず、見直しの方針自体を撤回したわけではない。他の重篤疾患も視野に入れ、公平性を確保する必要がある」との発言もあり、来年度以降も対象疾患範囲についての検討が行われる見通し。

関連情報:TOPICS
      2006.12.12 パーキンソン病と潰瘍性大腸炎の公費負担見直し案が示される

参考:共同通信12月18日
    読売新聞12月21日
     http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20061221ik07.htm
    しんぶん赤旗12月19日
     http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-12-19/2006121901_01_0.html
     潰瘍性大腸炎・パーキンソン病の医療費‐現行通り助成
     (薬事日報 HEADLINE NEWS 2007年1月19日)
     http://www.yakuji.co.jp/entry2031.html

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2006.12.20 OTC鎮痛剤の外箱に副作用警告の表示を求める(米国)

FDAは19日、アセトアミノフェン、イブプロフェンなど広く市販されているOTC鎮痛剤について、直接の被包(immediate container)や外箱(outer carton)に副作用の警告表示等の義務付けを検討していることを明らかにした。

FDA Proposes Labeling Changes to Over-the-Counter Pain Relievers
   (FDA NEWS 2006.12.19)
   http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2006/NEW01533.html

日本語訳概要が、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.5 No.1に掲載されています。
  http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly5/01070112.pdf

FDAでは「消費者は鎮痛剤を過量服用したり、アルコールといっしょに服用することの危険性をあまり感じていない。また、気付かないうちに同じ成分を含む複数の薬を飲んで、偶然に多量に飲み過ぎる可能性がある。」と懸念していて、今回の検討案は、アセトアミノフェンが原因の肝不全をはじめとする肝障害や、NSIADSによる胃腸出血の症例報告が近年増加していることが影響していると思われる。

ロイター通信によれば、2002年FDA諮問委員会の勧告を受けて、既に多くのメーカーでは自主的な表示の変更を行っているという。今回の勧告は、国として表現を統一して制度化する狙いもある。

具体的には、アセトミノフェンが含まれるものについては、"liver warning"の文字を明示するとともに、「用法を守らず多く服用したり、毎日3杯以上のお酒を飲む人が服用した場合は、肝臓障害のリスクが最も大きくなる」といった文言が、また、イブプロフェンなどのNSAIDSが含まれるものについても、「60歳以上の人、blood thinnerを飲んでいる人、潰瘍や胃出血を起こしたことがある人が服用するとリスクが高まる」といった文言が盛り込まれる見通しだ。

今回の提案は、近くパブリックコメントにかけられ、外箱や陳列棚に含有されている成分名を大きく表示することの義務付けや、英国と同様の一製品あたりの包装数の制限の必要性についてもあわせて意見募集が行われるという。

FDAのパブリックコメントの詳細
  Internal Analgesic, Antipyretic, and Antirheumatic Drug Products for Over-the-Counter Human Use; Proposed Amendment of the Tentative Final Monograph; Required Warnings and Other Labeling
  http://www.fda.gov/OHRMS/DOCKETS/98fr/E6-21855.htm

日本では、現在大衆薬の3分類案がパブリックコメントにかけられているが、アセトアミノフェンはどちらかといえば規制の緩い第2類(*マークなし)に分類されている。米国の今回の動きをみると、*マーク付きの2類に分類してもよいのではないかと感じる。

関連情報:TOPICS 2006.12.16 パブリックコメントを活用しよう
          2005.12.04 アセトアミノフェンと肝不全(米国研究)

参考:Common Pain Drugs to Get New Warnings(WebMED 2006.12.19)
     http://www.webmd.com/content/article/130/117864.htm
    FDA Calls for Tougher Warnings on OTC Painkillers
    (Forbes.com 2006.12.19)
 http://www.forbes.com/forbeslife/health/feeds/hscout/2006/12/19/hscout600318.html
    ロイター通信 2006.12.19 
    共同通信 12月20日    

12月20日17時20分掲載 22時50分更新

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2006.12.18 テリスロマイシンのリスクとベネフィット

14〜15日、FDAの感染症薬諮問委員会と薬剤安全・リスクマネージメント諮問委員会による合同会議(Joint meeting of the Anti-Infective Drugs Advisory Committee and the Drug Safety and Risk Management Advisory Committee)が開催され、テリスロマイシンについてのヒアリングが行われています。

委員会で配布された資料が掲載されているページ
  http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/06/briefing/2006-4266b1-00-index.htm

Briefing Document, Division of Drug Risk Evaluation Office of Surveillance and Epidemiology
  http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/06/briefing/2006-4266b1-02-02-FDA-DrugSafety.pdf

日本では運転中の意識消失で注目を集めたテリスロマイシンですが、米国では2004年の承認以降、560万回以上の処方が行われていて、今回肝不全などの有害事象の問題が浮上したことから、2日間にわたりその安全性についての討議が行われました。

その結果、市中肺炎におけるテリスロマイシンの使用については、16対3でリスクよりもベネフィットが上回ると票決されましたが、黒枠警告を加えることも13対5で票決されました。

一方、現在承認されている気管支炎・副鼻腔炎への使用については、17対2でベネフィットがリスクを下回るとの票決が行われました。

各紙によれば、今回の票決がそのまま、気管支炎・副鼻腔炎の承認取り消しにはつながらないだろうと伝えていますが、「軽度感染症に対する使用は控えるべき」との厳しい勧告が出されたとみることができます。

参考:RISFAX Headline 12月18日
    Ketek May Well Lose Sinusitis And Bronchitis Approval, FDA
    (News Mediacl Today 2006.12.16)
     http://www.medicalnewstoday.com/healthnews.php?newsid=59222
    Advisers Suggest Restricting Antibiotic
    (Frobes com. 2006.12.15 AP通信配信)
     http://www.forbes.com/home/feeds/ap/2006/12/15/ap3260262.html

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2006.12.16 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.25

国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、12月14日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.25を公表しました。

パッチ型避妊薬、オセルタミビル(タミフル)、薬剤性膵炎、レフルノミド、生物学的製剤(レミケイド、エンブレル)、テルビナフィン(ラミシール)、SSRIなどの情報が掲載されています。

全文はこちら(PDF)です。

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2006.12.16 パブリックコメントを活用しよう

11月30日開催の薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会で示された、改正薬事法による一般用医薬品のリスク分類案は、まだ決定ではありません。また、国会で議論されるというわけでもありません。今行われている、パブリックコメント(意見公募手続)に寄せられた意見を考慮して最終決定がなされます。

パブリックコメントとは、行政機関が作成した政策案やその関連資料を公表して広く意見を募集し、寄せられた意見を考慮して最終的な意思決定をする仕組みで、厚労省関連のものだけでも、随時多くの意見募集が行われいて、またその結果についても総務省のウェブサイトを通じて公表されています。

今回の分類案も、このパブリックコメントにかけられています。

薬事法第36条の3第1項第1号及び第2号の規定により厚生労働大臣が指定する第一類医薬品及び第二類医薬品を定める件(仮称)の制定に関する御意見等の募集について
   (2006年12月11日公示 意見・情報受付締切日 2007年1月12日)

パブリックコメントに寄せられた意見は意外にも重視されていて、過去においても厚労省の方針の変更がされた事例もあります。

2003年から2004年にかけて、薬局・薬店での薬剤師の不在問題が表面化した際に、厚労省が「夜間のTV電話での対応」を容認する一方で、通常の時間帯での薬剤師等の常時配置を、薬事法施行規則に明記することを検討し、パブリックコメントを行っています。(2004年2月「薬事法施行規則」及び「薬局及び一般販売業の薬剤師の員数を定める省令」の改正等に係る意見募集について

しかし、このときは

  • OTCで重篤な副作用が起こる可能性は殆ど無い。
  • 薬剤師不足や薬剤師の偏在がある。
  • 一般用医薬品は使用者の判断・自己責任で使用されるものである

など、反対意見が続出(規制緩和を求める、ドラッグストア関係者が集中的に参加したとの説あり)し、厚労省の方針が撤回を余儀なくされたということがありました。

ですので、今回の分類案に疑問や意見がある場合には、積極的に活用するのも一つの方法です。国民から何も声がなければ、案がそのまま通ってしまいますし、結果次第では国の方針が覆るかもしれません。

関連情報:TOPICS 2006.12.5 一般用医薬品のリスク分類案が示される

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2006.12.15 抗うつ剤と若者の自殺リスク(米国)

12日、FDAの精神薬諮問委員会(Psychopharmacologic Drugs Advisory Committee)が開催され、抗うつ剤すべてについて、服用すると自殺のリスクが高まるとの添付文書の黒枠警告の対象を、現行の「小児と思春期の患者」から24歳以下に拡大するよう求める提案が行われた。

委員会に提出された報告書によれば、パロキセチン、セルトラリン、フルボキサミンなど11種の抗うつ剤に関する372件のランダム化試験の約10万人分のデータを調べたところ、18〜24歳の患者ではプラセボを服用した場合に比べ、自殺や自殺未遂、自殺願望を持った事例が有意に高かったという。

一方、25歳以上になると逆に加齢とともに抗うつ剤服用者の方がリスクが低くなり、65歳以上では極めて抑制されていた。また、人種、性別、地域、薬の違いで目立った相違はなく、報告書は「抗うつ剤は全体としては自殺防止に効果がある」と指摘した。

提出された報告書はFDAの下記ページに掲載されている。[1.96MB]
  http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/06/briefing/2006-4272b1-01-FDA.pdf

諮問委員会では、6対2で対象の拡大は妥当と判断したが、委員会では遺族からの感情的な発言が寄せられる一方、メンタルヘルスの団体や専門医からは「2004年10月の小児への使用への警告で、思春期の子供の抗うつ剤の使用が約25%減少したが、かえって自殺率が高まっているという事実がある。黒枠警告の範囲をさらに広げることで、抗うつ剤治療への不安を高め、服用する機会が失われて、自殺を増やすのではないか」など、議論は紛糾し、今後諮問委員会の提案通りに黒枠警告の変更が行われるかどうかは、現時点では不透明とする報道がなされている。

関連情報:TOPICS 2005.07.02 抗うつ剤が成人の自殺衝動も強める可能性、FDAが勧告
          2004.10.15 FDAが全ての抗うつ剤に警告表示指示

参考:毎日新聞12月14日
  http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20061214k0000e040033000c.html
    産経新聞12月7日
  http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/061207/usa061207006.htm
    Experts to FDA: Don't Upgrade Risk Labeling of Antidepressants
     (ABC NEWS 2006.12.13)
      http://abcnews.go.com/Health/OnCall/story?id=2723521
    FDA May Expand Antidepressant Warning(WebMD 2006.12.13)
      http://www.webmd.com/content/article/130/117802.htm
    FDA Panels Urges Changes to Antidepressant Labeling
       (Forbes 2006.12.13)
      http://www.forbes.com/forbeslife/health/
          feeds/hscout/2006/12/13/hscout600117.html

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2006.12.15 TIPウェブサイト

「妊娠中の投薬とそのリスク」などを編著している「医薬品・治療研究会」がウェブサイト「正しい治療と薬の情報」を開設しています。

正しい治療と薬の情報
   http://www.tip.gr.jp/

「正しい治療と薬の情報」(TIP:The Informed Prescriber)は医薬品問題に関心を持つ医師たちによってはじめられた医薬品・治療研究会が刊行する非営利的な医薬品情報誌で、臨床現場の医師・薬剤師の目でとらえた信頼できる最新の偏りのない医薬品情報、重要な副作用情報を医療関係者に届けることを目的に、1986年1月に創刊されている月刊誌です。

TIP誌は、欧米の同様の雑誌と提携を結ぶなどして、海外の文献等の最新の情報が紹介されています。また編集・刊行の費用が読者の購読料のみでまかなわれていることから、薬のよし悪しがストレートに表現されているのが特徴で、異色の雑誌として知られています。

本サイトでは、発行後1年を経過したバックナンバーについては、PDFでみることができますので、テーマによっては参考となる記事が出ているかもしれません。

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2006.12.14 アセトアミノフェンの適応拡大の申請を求める

第3回小児薬物療法検討会議が12日開かれ、日本外来小児科学会が提出した「アセトアミノフェン」の小児療法に関する報告書を了承した。

報告書では、乳児、幼児、小児に対するアセトアミノフェンの投与量について、海外添付文書の記載、代表的教科書の記載、国内外の論文の記載等から総合的に判断、「体重1kgあたり1回10mg〜15mgを使用する。使用間隔は、4〜6時間以上とし、1日総量として60mg/kgを限度」を妥当とした。

検討会ではエビデンスが十分として、アセトアミノフェンの製造販売承認を持つ企業に対し小児への適応拡大申請をするよう呼びかけていくことを決めた。

資料4-3:小児薬物療法検討会議 報告書:アセトアミノフェン (PDF:471KB)

また、日本小児循環器病学会から提出された「酢酸フレカイニド」の小児療法についての報告書の検討も行われ、国内外の文献による臨床データだけでは不十分ということから、今後国内の医療現場でどのように使用されているのかを調べる処方実態調査を行うことを決めた。

資料4-2:小児薬物療法検討会議 報告書:酢酸フレカイニド (PDF:428KB)

第3回小児薬物療法検討会議(2006年12月12日開催)
   資料(厚労省12月19日掲載) 資料(WAM NET 12月13日掲載)
   速記録(厚労省2月9日掲載)

参考:【小児薬物療法検討会議】一変申請の第1号にアセトアミノフェン
      (薬事日報 HEAD LINE NEWS 12月15日)
      http://www.yakuji.co.jp/entry1839.html
    RISFAX HEADLINE 12月13日
    日刊薬業 HEADLINE NEWS 12月14日

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2006.12.12 パーキンソン病と潰瘍性大腸炎の公費負担見直し案が示される

11日、厚労省の第3回特定疾患対策懇談会が開かれ、パーキンソン病と潰瘍性大腸炎について、症状が軽度の患者を特定疾患治療研究事業の対象者の範囲(即ち、医療費の公費対象者)から除外する案が示された。

第3回特定疾患対策懇談会(2006年12月11日開催)
   資料(PDF1.7MB WAM NET 12月12日掲載) 

具体的には、潰瘍性大腸炎では臨床的重症度が中等症以上に(現行は重症者に限定せずに全ての患者を対象)、パーキンソン病では、Hoehn&Yahr重症度が3度から4度以上に引き上げる(生活機能障害度については、現行通り2〜3度)こととし、厚労省の推計によれば、懇談会案通りに実施されると、潰瘍性大腸炎で66%、パーキンソン病で51%の患者が補助対象から外れるという。

潰瘍性大腸炎の重症度分類

重症 中等症 軽症
1)排便回数 6回以上 重症と軽症
との中間
4回以下
2) 顕血便 (+++) (+)〜(−)
3)発熱 37.5℃以上 (−)
4)頻脈 90/分以上 (−)
5)貧血 Hb 10g/dl以下 (−)
6)赤沈 30mm/時以上 正常

Hoehn&Yahr重症度

0度 パーキンソンニズムなし。
1度 一側性パーキンソニズム。機能障害は軽徴、あるいはない。
2度 両側性パーキンソンニズム。または身体正中部の障害。姿勢反射障害(バランス障害は)ない。
3度 軽〜中等度パーキンソンニズム。姿勢反射障害あり。日常生活に介助不要。身体的には自立生活可能。機能障害としては軽度または中等度。
4度 完全な進行状態で機能障害が高度。歩行及び起立は介助なしにどうにか可能だが、身体障害は高度。
5度 介助なしにはベッド又は車椅子生活

生活機能障害度

1度 日常生活、通院にほとんど介助を要しない
2度 日常生活、通院に部分的介助を要する
3度 日常生活に全面的な介助を要し、独立では歩行起立不能

懇談会は一方で、厚労省に対し、軽症者の症状が悪化した際は迅速に支援すること、認定基準が適正に運用されているかを評価することや難病治療の研究費を確保することも求めた。  

第3回懇談会に先立って行われた第2回懇談会では、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の患者会の連絡組織のIBDネットワークの藤原勝世話人らと全国パーキンソン病友の会の斎藤博会長らからのヒアリングが行われている。

藤原氏は、「第1回懇談会の資料『潰瘍性大腸炎重症度分類による患者数の変化』によれば、約66%が軽症とされているが、免疫抑制剤や副腎皮質ホルモン剤など、副作用の強い薬の使用でどうにか緩解を維持している人も多く含まれていると考えられ、そういった方たちを軽症扱いにしていいものなのか」と疑問を呈し、また齋藤氏も、「ヤール(の分類)に関係なく薬代が高い(月に2万円〜12万円)。もし治療研究事業から外されると3割負担となり、生活が成り立たない。ジェネリック医薬品の有効活用と薬価を西ヨーロッパ並みに下げれば公費負担は相当圧縮できるはずだ」と訴えていて、今回の見直し案に対しては猛反発していると伝えられている。

読売新聞は、今回の厚労省の方針を受け、自民党厚生労働部会は12日、経過措置を設けるよう政府に求めることを決めたと伝えている。 これを受け厚労省は低所得者については、現行の補助を維持する方向で検討を始めるものと思われる。合意が得られれば、早ければ来年の10月にも実施される。

今回の見直し案だと、薬局に自分で行けるような患者さんは、多くの人が対象からはずされるように思われる。しかし、患者団体の発言を読むと、見た目は軽症であっても薬で症状が抑えられている患者も少なくない。薬局でも今後は患者負担軽減のためにジェネリック医薬品を使用についての検討を行うべきであろう。

資料:平成18年度第2回特定疾患対策懇談会(2006年9月11日開催)
      資料 記事録
    平成18年度第1回特定疾患対策懇談会(2006年8月9日開催)
      資料 議事録

関連情報:TOPICS 2006.08.10 パーキンソン病などの特定疾患軽度患者の医療費助成縮小へ

参考:朝日新聞12月11日
     http://www.asahi.com/health/news/TKY200612110285.html
    読売新聞12月11日
     http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20061212ik02.htm
     http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20061212ik08.htm
    堀美智子監修:処方せんからみた病気と薬の実践問題集, じほう, 152 (2005)

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2006.12.06 最近の国内外の副作用等の報告状況

30日、薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会が開催され、今年4月から8月までに厚労省に報告のあった医薬品の副作用報告についての集計結果が公表されています。

このデータは、医薬品との因果関係が不明なものを含め製造販売業者等から報告されたものをもとに作成されていますが、同一症例に複数の被疑薬が存在し、該当する症例が複数の企業からそれぞれ報告された場合は重複してカウントされているために、ここに示した報告件数がそのまま症例数にはならないそうです。また厚労省では、個別に医薬品との関連性を評価したものではないとしています

平成18年度第2回薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 資料
  (2006年11月30日開催、厚労省 12月6日掲載) 

資料3-2によれば、この間に10件以上の報告のあった医療用医薬品成分は下記のとおりです。(薬効分類コード421-429、632以降は除く)

分類
医薬品名 副作用名(数字は件数)
113 カルバマゼピン 薬物過敏症28 スティーブンス・ジョンソン症候群11 薬疹10
114 ロキソプロフェンナトリウム 肝障害12
117 リスペリドン 向精神薬悪性症候群11
117 塩酸パロキセチン水和物 抗利尿ホルモン不適合分泌15 自殺既遂13 自殺企図10
131 ベルテポルフィン 視力低下14
212 塩酸アミオダロン 間質性肺疾患17
214 カルベジロール 心不全18
218 アトルバスタチンカルシウム 横紋筋融解19
219 アルプロスタジルアルファデクス 乳児無呼吸発作12
225 テオフィリン 痙攣14
243 チアマゾール 無顆粒球症22
245 プレドニゾロン 骨壊死11
249 インスリン グラルギン(遺伝子組換え) 低血糖10
322 コンドロイチン硫酸・鉄コロイド 発疹14 薬疹12
333 ヘパリンナトリウム ヘパリン起因性血小板減少症25
333 ダナパロイドナトリウム 播種性血管内凝固14 肝機能異常10
339 塩酸チクロピジン 肝機能異常24 肝障害19 無顆粒球症11
395 アルテプラーゼ(遺伝子組換え) 出血性脳梗塞49 脳出血15
396 グリメピリド 低血糖症12
399 メトトレキサート 間質性肺疾患48 汎血球減少症16 肺炎10
399 塩酸ラロキシフェン 深部静脈血栓症13
399 メシル酸ナファモスタット ショック23 高カリウム血症17 アナフィラキシーショック16
399 エタネルセプト(遺伝子組換え) 肺炎22 間質性肺疾患11
442 ブシラミン 間質性肺疾患12
613 セフトリアキソンナトリウム アナフィラキシーショック12
613 スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム アナフィラキシーショック11
624 リネゾリド 血小板数減少24
625 塩酸バラシクロビル 神経系障害14 意識レベルの低下12 悪心10
629 塩酸テルビナフィン 肝障害12 肝機能異常11

資料3-2:国内副作用報告の状況(医療用医薬品)[PDF:510KB]
 資料3-3:国内副作用報告の状況(一般用医薬品)[PDF:117KB]

また、海外における添付文書の変更や当局の発表をまとめたものをあわせて発表しています。今後はこれらの知見を踏まえ、添付文書の改訂が行われるものと思います。やはり代表的な重篤な副作用は、患者さんに伝えることが必要だと改めて感じさせられます。

資料3-5:外国における新たな措置の報告状況[PDF:353KB]

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2006.12.06 ED啓発広告は子供に悪影響を及ぼす(米国小児科学会)

米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)は4日、"Children, Adolescents, and Advertising" と題するステートメントを発表し、子供をターゲットにして行われている広告が、健康に悪影響を与えているとして、TVコマーシャルなどの規制を求めています。

AAP SOUNDS ALARM ON ADVERTISING'S EFFECTS ON CHILDREN(AAP news release 2006.12.4)
  http://www.aap.org/advocacy/releases/dec06advertising.htm

 Children, Adolescents, and Advertising(AAP POLICY STATEMENT)
  http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/full/118/6/2563

米国では、近年の子供の肥満の増加から、いわゆるジャンクフードの広告についての規制が叫ばれていましたが、今回のステートメントでは、ジャンクフードだけではなく、たばこ、アルコールやED啓発広告も問題視し、改善するよう求めています。

このうち薬についてですが、米国では、医療用医薬品であっても一般向けの広告が可能です。そのため、バイアグラなどの広告が日中やゴールデンタイムのスポーツ番組の中でも平気で放映されているようです。(米国在住の知人の話だと、2人の男女が登場する意味深な内容だそうです)

このため米国小児科学会では、まだ性教育を受けていない子供たちに、性行動についてのまちがったメッセージを与えかねないとして、これらのTVコマーシャルは午後10時前の放映を行わないよう求めています。

関連情報:TOPICS 2006.06.15 米国医師会が、消費者直接広告の一定期間の禁止を求める

参考:Group Says Ads to Kids Sell Poor Healt(abc news 2006.12.4)
   http://abcnews.go.com/Health/story?id=2697498&page=1

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2006.12.06 急増するデキストロメトルファンの濫用(米国)

カリフォルニア大学の研究グループは、99年から04年までのデキストロメトルファンによる中毒報告をまとめ、Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine誌に論文を発表しています。

Dextromethorphan Abuse in Adolescence-An Increasing Trend: 1999-2004
  (Arch Pediatr Adolesc Med. 2006;160:1217-1222)
 http://archpedi.ama-assn.org/cgi/content/abstract/160/12/1217

この研究はカリフォルニア中毒センターに99年から04年まで寄せられた、動悸や不整脈、血圧上昇や精神症状などデキストロメトルファンが原因の中毒情報1382例(今回の研究では死亡例はなかったが、全国中毒センターでは7例あり)を分析したもので、この間に数は10倍、ティーンエイジャー(9歳から17歳)の使用に至っては15倍に達したという。またティーンエイジャーで75.4%を占め、多くは15、16歳だったという。

デキストロメトルファンの濫用は数年前より問題化していて、ウォルグリーンなどの大手の薬局では、既に販売数の自主規制や年齢制限を行うと共に、万引きされないように直接手にとれない場所に陳列場所を移動させているそうです。

研究者らは、高用量の抗ヒスタミン剤や、プソイドエフェドリンでも、動悸や血圧の上昇を招くとして、こういった薬剤はオーバー・ザ・カウンターでの陳列が必要ではないかとしています。

今回の発表を受け、大衆薬の業界団体のCHPA(Consumer Healthcare Products Association)は、濫用防止のためのサイト"Stopping Cough Medicine Abuse"を開設し、親への情報提供を通じて、家庭での薬物濫用の危険性について話をするよう求めています。

Statement from the Consumer Healthcare Products Association Regarding California Study of Cough Medicine Abuse (CPHA NEWS RELEASE 2006.12.4)
  http://www.chpa-info.org/ChpaPortal/PressRoom/NewsReleases/
    2006/12_04_06_CaliforniaStudyofCoughMedicineAbuse.htm


 Stopping Cough Medicine Abuse(CPHA 2006.12)
  http://www.chpa-info.org/ChpaPortal/ForConsumers/Cough_Med_Abuse/ 

さらに研究では、インターネット上には濫用に興味をもたせるサイトが少なくないとして、子供のインターネットへのアクセスにも監視するよう呼びかけているそうです。

デキストロメトルファン類は、日本で現在すすめられている改正薬事法でのリスク分類では、オーバー・ザ・カウンターでの販売が義務付けられない第2類に分類されようとしています。日本でも状況は同じであり、*マーク付の2類に分類すべきではないでしょうか?

関連情報:TOPICS 2005.06.15 デキストロメトルファンの濫用(米国)

参考;:Robotripping Grows in 9-17 Age Group(abc NEWS 2006.12.5)
      http://abcnews.go.com/Health/story?id=2702166
     Cough medicine drug a hallucinogen for teens
      (MSNBC 2006.12.4 ロイター通信配信)
      http://www.msnbc.msn.com/id/16042146           
     'Robotripping' is on the rise(Los Angeles Times 2006.12.4)
      http://www.latimes.com/features/health/
   la-sci-robotripping5dec05,0,3408267.story?coll=la-home-headlines
     Media-Newswire.com 2006.12.5
      http://media-newswire.com/release_1039935.html

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2006.12.05 海外規制機関 医薬品安全性情報(国立医薬品食品衛生研究所)Vol.4 No.24

国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部は、11月30日、医薬品安全性情報(海外規制機関 医薬品安全性情報)Vol.4 No.25を公表しました。

エリスロポエチン製剤による高ヘモグロビン値での心血管系合併症のリスク、オセルタミビル(タミフル)による自傷や譫妄のリスク、リツキシマブ(リツキサン)による腸管閉塞および消化管穿孔、スタチン系薬剤、生物学的製剤(エタネルセプト、インフリマキシブ)などの情報が掲載されています。

全文はこちら(PDF)です。

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2006.12.05 一般用医薬品のリスク分類案が示される

30日、薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会が開催され、厚労省から改正薬事法による一般用医薬品のリスク分類案が示され、審議了承されました。

平成18年度第2回薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 資料
  (2006年11月30日開催、厚労省 12月6日掲載) 

いわゆる3分類については、昨年医薬品販売制度改正検討部会がまとめた最終報告で485成分について示されていますが、今回厚労省では、検討会の評価を踏まえた延べ2578成分についての分類案をまとめています。

諮問書によれば、検討部会の分類結果から分類するもの以外のもの(成分又は使用方法が 新規のもの)については、以下の観点で分類作業を行ったそうです。

  1. 第1類・・スイッチOTCの市販後調査(PMS)期間中、又は薬理作用などからみてPMS終了後引き続き副作用等の発現に注意を要するものに相当する成分
  2. 第2類・・医療用医薬品の添付文書において、重篤な副作用、併用禁忌、適応禁忌があるもの
  3. 第3類・・第1、2類以外のもの、社会通念上食用に供するものなどとして判断されるもの
第1類 第2類 第三類
テオフィリン
(内服:鎮うん剤)
(内服:鎮咳去痰薬)
第2類より変更
第1類より変更 *塩酸ネチコナゾール
*塩酸アムロルフィン
*塩酸ブテナフィン

(外用:塗布・みずむし・たむし用薬)
グリセリン
濃グリセリン

(外用浣腸・浣腸薬)
クエン酸鉄アンモニウム
(内服:ビタミン含有保健薬)
マレイン酸トリメプチン
(内服:健胃薬)
第3類より変更
第2類より変更 アミノ安息香酸メチル
(外用塗布:歯痛・歯槽膿漏薬)
チモール
(外用うがい・含嗽薬)
(外用塗布:歯痛・歯槽膿漏薬)
ヨウ化カリウム
(外用塗布・殺菌消毒薬)
(外用塗布:歯痛・歯槽膿漏薬)
新たに指定
アデノシン三リン酸二ナトリウム
トリアムシノロンアセトニド
(口内炎用)
ニザチジン
フマル酸ケトチフェン
(内服・外用)
プラノプロフェン(外用)
ラナコナゾール
塩酸アゼラスチン
塩酸テルビナフィン(外用)
塩酸ロキサチジンアセテート
臭化チキジウム
アミノフィリン
ジエチルスチルベストロール
プロピオン酸テストステロン
新たに*付に分類された主な成分
*塩化ベタネコール
*パルミン酸レチノール
*カサントラノール
*シュウ酸セリウム
*テオクル酸プロメタジン
*サリチル酸(内服)
*塩酸プロメタジン
*リン酸コデイン

など39成分が追加(合計57成分)
今回の分類でも*マークがつかなかった主な成分
アセトアミノフェン
イソプロピルアンチピリン
臭化水素酸デキストロメトルファン

今回の分類でも変更がなかった主な成分
塩化リゾチーム
ウルソデオキシコール酸
メンフェゴール
(避妊薬)

*(アスタマーク付):陳列方法の工夫がもとめられるもの

テオフィリンが、*マークなしの第2類から第1類に変更されたことは妥当な判断とは思いますが、卵白アレルギー患者への禁忌がある塩化リゾチームは第3類のままです。果たして、大丈夫でしょうか?

また、依存性・濫用などの懸念のある、コデイン類(第2類*マーク付、米国では処方せん薬)やデキスロトメトルファン(第2類*マークなし)、米国やカナダでは販売規制が行われているプソイドエフェドリン(第2類*マーク付)、長期連用による肝障害の可能性が否定できないアセトアミノフェン(第2類*マークなし)などの成分の分類変更はありませんでした。

報告書に従えば、第2類で*マークが付いている成分は「オーバー・ザ・カウンター又は積極的な情報提供を行う機会をより確保することが可能となるような陳列・販売方法とすべきである」とされていますが、果たして報告書の通りになるかは疑問な点が残ります。「オーバー・ザ・カウンターでの販売」を明確化するとともに、痛み止めや総合感冒剤などの大包装品の販売を制限することなども検討する必要があるのではないでしょうか?

さらに、薬剤師のみが取り扱える第1類がまだまだ少なすぎるような気もします。スイッチ品開発のためのコストなどを考えると、現場の薬剤師が期待するような大衆薬の出現にはどうしても時間がかかってしまうのが現状です。まず、処方せん医薬品に指定されなかった医療用医薬品の成分についてはまず第1類に指定し、安全性などの確認ができ、一般用医薬品として発売された時点で、第2類へ移行させるなどの方策はとれないものなのでしょうか?

関連情報:2005.12.21 医薬品販売制度改正検討部会、議論を終了

参考:一般用医薬品のリスク分類まとまる-2月には答申の予定
     (薬事日報 HEAD LINE NEWS 12月4日)
      http://www.yakuji.co.jp/entry1753.html
    日薬ニュース12月1日、10月2日

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