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2007.01.11 環境省、農薬の大気汚染対策に乗り出す

9日の共同通信は、環境省は8日までに、散布された農薬を吸い込むことで人の健康に悪影響が出るのを防ぐための対策を講じることを決め、空気中の農薬濃度の基準値づくりなどの検討を始めたと伝えている。

日本の農薬は、農薬取締法で製造、販売から使用法まで厳しく規制されているが、現在その審査にあたっては、経口摂取した場合の毒性評価試験結果などのデータ提出が義務付けられているものの、吸入した場合の中、長期の毒性評価は義務付けられていないという。

世界各国では、有機リン系農薬が大量に使われているが、思考力や免疫力の低下を招くなど、神経や免疫、内分泌などさまざまな機能に慢性的な悪影響を及ぼす可能性を示す報告が行われていることから、近年は、急性中毒だけでなく、中・長期の影響が懸念されている。

欧米では、既に吸入影響への懸念から使用を規制する国も出始めており、環境省でも微量の農薬を繰り返し吸入することによる影響を検討することになった。

今後、2007年度から09年度まで、公園や街路樹など市街地周辺での使用量が多い農薬について、吸入毒性に関する動物実験を実施するとともに、専門家の検討会を設置し、3カ月程度吸入し続けても健康に害が出ないとみなせる許容量などを定めるという。

また、これまで進めてきた農薬散布の実態調査や、飛散範囲と空気中の残留濃度に関するモニタリングの結果と合わせ、農薬飛散による健康影響を防止するための散布マニュアルも作っていくという。

国内では昨年群馬県が、独自の調査を基に「有機リン系農薬の空中散布による人体への危険性について、慢性毒性 の可能性が完全に否定できない」として、無人ヘリによる有機リン農薬散布の自粛を農業団体に要請し、実際に昨年は空中散布が行われなかったようです。

有機リン系農薬の空中散布の自粛要請について(群馬県ウェブサイト)

一方生産団体の「農薬工業会」は、群馬県の散布の自粛要請に対して、「安全性が確認されて登録が認められている有機リン系農薬に対して、科学的・毒性学的事実を考慮しない極めて遺憾な措置」との見解を発表していて、今後大きな論争になりそうです。

群馬県知事あてに意見書を提出−有機リン系農薬の群馬県による散布自粛要請に関し−
  (農業工業会 平成18年6月2日)
 http://www.jcpa.or.jp/ibox/pdf/060602ylgkenkai.pdf

また、有機リン系化合物は室内用殺虫剤や建材などに使われているケースもあることから、シックハウス症候群の原因の1つとして規制を求める動きもあるという。

関連情報:TOPICS 2006.06.27 農薬曝露とパーキンソン病のリスク

参考:神戸新聞他 共同通信配信 1月9日
    http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/news/0000210463.shtml

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