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2007.04.10 オキシブチニンと精神神経症状(米FDA)

9日米国各紙は、FDAがこの間検討を続けていたオキシブチン(米国販売名:Ditropan)の市販後調査の結果をまとめ、中枢神経系への影響の可能性があるとして、高齢者や子どもにおける幻覚などの精神神経症状のリスクについて、注意喚起を強化すべきという方針を決めたと伝えています。

この方針は、11日に開催される小児諮問委員会(Pediatric Advisory Committee)で検討が行われますが、これに先立ち、FDAのウェブサイトには、当日配布の資料が掲載されています。

Age-dependent manifestations of central anticholinergic effects, FDA, Oxybutynin : Ditropan
 (Pediatric Advisory Committee Briefing April 11, 2007 Information

FDAによれば、2007年1月までに副作用報告として寄せられたのは1667件で、うち347件が中枢神経系の症状を占めたそうです。このレポートでは、中枢神経系の症状のうち、202の事例(17歳未満37例、17歳以上143例、年齢不明22例)について検討を加えています。

中枢神経系の症状のうち最も多かったのが、幻覚(hallucinations)の22%(子どもは27%の10例で最も多く、また60歳以上の高齢者でも25%の24例で2番目に多かったのに対し、それ以外の成人では11%の5例に留まる)で、以下鎮静(sedation)が21%(高齢者を除く成人に多い)、錯乱状態(confusional state)が21%(高齢者に多い)と続いています。

今回の調査結果を受けて、レポートでは「投与開始後数ヶ月間、または用量の増量時は、抗コリン作用による中枢神経系症状の発現の兆候がないかどうか、監視されるべきである」としたラベルの変更を行うよう勧告しています。

わが国では、同効果薬である、プロピベリン、トルテロジン、ソリフェナジンいずれにも、すでに副作用の欄に「幻覚」の記載があります。高齢者でこれらの抗コリン作用のある薬剤が投与されている場合は、やはり注意すべきでしょう。

また一般的には成人、特に高齢者に使われると考えられるオキシブチンが小児諮問委員会で検討されるというのは不思議な感じもしますが、この背景には、夜尿症など適応外で本剤を子どもに使われるケースがあり、また、大人に比べて子どもに中枢神経系症状の報告事例が使用量に比べて多い傾向にあるという事情があるようです。日本では、オキシブチニンを夜尿症など、子どもに使うケースはどれだけあるのでしょうか?

関連情報:TOPICS 2006.02.02 抗コリン作用薬と高齢者の軽度認知障害

参考:Bladder drug may cause hallucinations
    (MSNBC 2007.4.9ロイター通信配信)
     http://www.msnbc.msn.com/id/18023570/
 Pediatric Advisory Committee Briefing Information(2007.4.11 FDA)
     http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/07/briefing/2007-4295b1-index.htm

4月10日 22:40掲載

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