第 5 章

成人までの後天的発育





 上の図は scanmon の成人までの発育状態の原図に、私が加筆したものですが、学生、生徒に、今の自分の体と心がどういう状態にあるのかを理解させ、親や先生には、彼らの言動への理解と、指導法を考えてもらう重要な線図です。
 まず上から二番目の神経系の発達=思考回路の形成曲線(青色)に注目して下さい。これは140億もあるといわれる脳細胞→その内の約10億が神経細胞であり、それらをとり囲んで、これに酸素と栄養分を送り込む約130億のグリア細胞…その一つひとつから1万本もの線維が伸びて、その尖端同士が接触してシナプスという接点を作って行く→これが生まれた時から20歳で成人するまでに、どのように完結するか→コンピューターの回路形成と見てもよいし、思考力の成長と見てもよいでしょう。
 この線上の6歳の所の○印…この歳までの幼児は、食べて、遊んで、寝る→殆ど動物と変わらない行動状態で、「餓鬼」と呼ばれる年頃。また10歳の所の○印は、この頃になると、思いやりの心が少しは出てくること、また早熟の子供は自殺を始めるのです。こうして思考回路が100%できたとしても、それはコンピューターの回路完結と同じで、良いインプット=良い躾や教育を送り込まなければ、良いアウトプット=立派な行動が出ないと同じです。
 その下の肉体系曲線(緑色)は、中学生になると身長が急に伸び出すこと、また最下位の生殖系曲線(オレンジ色)は、女子ならばメンスの開始、男子ならば夢精やマスターベーションが始まる…口には出せない深刻な悩みをかかえることになる歳頃です。
 問題は一番上のリンパ系=白血球など免疫機能と、成長ホルモンの生成曲線(赤色の点線)であって、12歳頃には実に190%にも達することです。
 この成長パワーが、まだ生活体験も少なく、右脳のアクセル感情より、左脳のブレーキ意志力が弱いのに、押え切れない突き上げ力となって、自由行動への衝動、すなわち自由を遮ぎる一切の抵抗排除=反抗的態度となって現れる…。
 私にもこうした時代がありましたが、ロック歌手、尾崎豊の歌→「盗んだバイクで走り出す…誰にも縛られたくないと、逃げ込んだこの夜に、自由になれた気がした15の夜」。これがティーン・エージャーに圧倒的に受ける気持はわかります。
 子供も親も先生も、一緒にこの図を見て、まず話し合うこと!「心を入れ換えろ」という月並の説教は無役です。彼らの心は、急成長の体に振り廻されて、目を廻している訳ですから…。



第6章 成人後の肉体機能の残存率

目  次

ホームページへ戻る