アポネットR研究会のホームページ・ロゴ

最近の話題2007.10

HOME>最近の話題>2007年10月

2007.10.10 SSRI、NSAIDsの併用と上部消化管出血のリスク

米国の研究者らはこのほど、SSRIとNSAIDsを同時に使った場合、上部消化管出血(UGIH:upper gastrointestinal haemorrhage)のリスクが6倍以上に高まるとする研究結果をAlimentary Pharmacology & Therapeutics 誌に発表しています。

Meta-analysis:Gastrointestinal bleeding due to interaction between selective serotonin uptake inhibitors and non-steroidal anti-inflammatory drugs
 (Alimentary Pharmacology & Therapeutics, Online Accepted Articles 2007.10.5)
 http://www.blackwell-synergy.com/doi/abs/10.1111/j.1365-2036.2007.03541.x
   [PubMed PMID : 17919277]

この研究は、4研究153,000人のデータとカナダ・米国の副作用データベースの101の事例を分析したもので、服用開始後平均25週後にUGIHを発症し、67%がNSAIDsを併用しその多くが高齢者だったそうです。

この結果、UGIH発症のリスクは、SSRI単独でも2.36倍、NSAIDsを同時に使用した場合には6.33倍に達するとし、50歳以上のSSRI服用者の411人に一人が入院が必要なほどのUGIHを発症するのに対し、SSRIとNSAIDsを併用している場合には、82人に一人がUGIHを発症する可能性があるとしています。

この場合のNSAIDsとは、セレコキシブなどの処方薬だけではなく、アスピリンなどのOTC薬を含むとの事です。また、具体的にどのSSRIがリスクが高いかについてはわかりませんでしたが、別の研究ではパロキセチン、セルトラリン、フルオキセチンなどがリスクが高いとするデータがあるそうです。

SSRI+NSAIDsがUGIHのリスク上昇を高めるとする可能性については、これまでも報告がありますが、うつ症状でSSRIを飲んでいる高齢者が足腰の痛みにNSAIDsを併用することは私たちのまわりでもしばしば見られることであり、服薬指導時に胃腸障害の有無をきちんと尋ねることが必要でしょう。

研究者らは、SSRIとNSAIDsの併用によって何らかの相乗効果があるためにUGIHのリスクが高まるのではないかとして、「医師は、これらを同時に処方する場合には、UGIHの潜在的なリスクに気付くべきであって、処方を選択する際には十分考慮に入れる必要があるかもしれない」と述べるともに、当局に対しても 「リスクの大きさをもっと強調するよう、添付文書の改訂を検討すべきである」としています。

参考:Increased Risk Of Gastric Bleeding From Antidepressants And Painkiller Combination(Medical news TODAY 2007.10.9)
      http://www.medicalnewstoday.com/articles/84973.php

10月10日 13:50掲載

top↑

HOME

最近の話題

研究会情報

役立ち情報

keywords

意見交換

リンク

私たちの紹介

更新情報

Copyright(C) Ryomo Apotheker Network, All rights reserved, since 2004