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2007.06.21　低年齢層に広がる運動選手の禁止薬物の使用（フランス研究）

フランスの研究者は、このほど思春期前の運動する子どもたちの禁止薬物の使用実態をまとめ、British Journal of Sports Medicine 誌に発表しています

Doping prevalence among preadolescents athletes. A four-year follow-up
　（British Journal of Sports Medicine　2007.6.19　advance online edition）
　　　http://bjsm.bmj.com/cgi/content/abstract/bjsm.2007.035733v2

French child athletes admit to doping（BMJ 2007;335:70）
　　　http://www.bmj.com/cgi/content/full/335/7610/70-c
　　（上記論文にリンクしていて全文読めます）

この研究は、東フランスのVosges地方の11歳の運動選手を４年間追跡調査（アンケート調査）をしたもので、WADAの禁止薬物、たばこ、アルコール、大麻などの使用の有無や子どもたちの心理状態を尋ねるなどして、禁止薬物等の使用実態を調べています。報告を整理すると次のようになります。

これらの禁止薬物が故意的に使われたかどうかはわかりませんが、禁止薬物を使用した子どもたちのうち44％が、少なくとも1回は競技大会で優勝することができたという事実があることから、年齢が上がるにつれて使用者が増えるという結果になったのかもしれません。

一方、使用する子どもは、女子より男子の方が多く（6th gradeで0.6％と1.7%、9th gradeで2.3％と3.7％　）、たばこやアルコールなどを経験する子どもたち、練習に熱心な子ども、不安感の多い子ども、自尊心の低い子どもに多い傾向が見られたそうです。また、4％の子どもたちに、失神・暴力行為・声変わり・自覚の欠如など関連性が疑われる健康問題が認められたそうです。

研究者らは一地方でのアンケートによる調査結果であり、すべての子どもたちに当てはまるとはいえないとしながらも、思春期前の子どもたちであっても、禁止薬物を使用している実態があるとして、大人たちは十分注意を呼びかけています。

medpage TODAY によれば、米国では10年前に高校生の間に同様な傾向があることから、現在高校生の運動選手向けの薬物検査プログラム（drug testing programs for student athletes）が始められており、おそらく小中学生の間にも同様の傾向があるのではないかと指摘しています。日本では、まさか同じようなことはないですよね？

参考：Steroid Abuse Found Among Preadolescents（medpage TODAY 2007.6.22）
　　　　　http://www.medpagetoday.com/Pediatrics/GeneralPediatrics/tb/6000
　　　　European Kids Using Banned Sports-Doping Drugs（Forbes 2007.6.19）
http://www.forbes.com/forbeslife/health/feeds/hscout/2007/06/19/hscout605649.html
　　　　Doping May Start When Athletes Are Kids（WebMD 2007.6.19）
　http://children.webmd.com/news/20070619/doping-may-start-when-athletes-are-kids
　　　　Sports doping seen among pre-teens（reuter 2007.6.20）
　　　　　http://uk.reuters.com/article/healthNews/idUKCOL07101620070620

関連情報：TOPICS 2007.06.18　薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック2007年版

6月21日　12:40掲載　23日12:50更新　2008年7月25日リンク追加