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2007.06.14 製薬協が考える薬価制度改革案

新薬メーカーが中心メンバーの日本製薬工業協会(製薬協)は、このほど薬価制度改革案をまとめ、厚生労働省に新しい薬価制度を提案したそうです。朝日新聞、日刊薬業の記事および、製薬協関連の医薬産業政策研究所がまとめたレポートを整理すると、下記のような内容になるようです。

  • 日本では、新薬の薬価は「類似薬効比較方式」または「原価計算方式」のいずれかによって算定されているが、前者の方式については、類似薬が上市後長い年数を経過した品目の場合には、大幅に低下した薬価が基準となるため、革新的な新薬であってもその価値に見合った価格が設定されにくい。また後者についても、製造原価や販売管理費などをベースに薬価が決定されるため、新薬がもたらす医療上の価値は考慮されていないといえる。
    (米国、イギリス、ドイツ市場では、新薬の価格設定は原則として自由価格制度)
  • 日本では新薬上市後は市場実勢価格に応じて原則2年ごとに薬価の改定が行われている。新薬上市直後から、こうした定期的な価格の引下げが行われるのは主要先進国のなかでは日本だけで、現行の薬価制度下で形成される市場価格は、必ずしも価値を適正に反映したものとなっていない。
    (政策研のレポートではスタチンの15年間の価格推移の各国比較を掲載、シンバスタチンを例にあげれば、米国では15年間で価格が2倍に、英・仏・独などでは後発品参入までほぼ横ばい、日本は40%下落。また、またアトルバスタチンとロスバスタチンは、既に価格が低下した既存品との類似薬効比較方式で算定されているため、既存品の上市時の価格と比べると相当低い価格水準での市場に参入を余儀なくされていると指摘)
  • 新薬の価値が適正に反映された市場価格の形成を促す仕組みとして、医療機関が購入した価格で償還する実費償還制度は望ましいが、インフラ整備等が必要であり、当面は、現行制度に修正を加えていくことが必要と考えられる。
  • 具体的には、薬価改定しない合理的と認められる乖離幅(実質的な特許期間中で平均納入価格が償還価格の7%以内)を設定し、その範囲内であれば定期的な薬価改定の対象外とするなど、特許期間中の新薬については、一定の条件下で価格の循環的低下を回避できるメカニズムを導入する。
  • 一方、特許失効後は先発品から安価な後発医薬品へのシフトが進むような施策(後発医薬品発売後には先発医薬品を一律で最大50%引き下げる、薬価の毎年改定など)を強化する。

今回の改革案は、簡単に言えば「新薬は高く、古い薬は安く」するというもので、「画期的な新薬」を開発できるメーカーにとっては、国際競争力を高める上でも必要な方法かと思います。しかし、後発品主力のメーカーや開発力の乏しい中堅以下のメーカーにとっては不利な内容であり、今後反発も予想されます。

参考・引用:日刊薬業ヘッドラインニュース6月14日
       朝日新聞6月13日
        http://www.asahi.com/health/news/TKY200706130346.html
       製薬産業の将来像−2015年に向けた産業の使命と課題−
        (医薬産業政策研究所 2007年5月)
        http://www.jpma.or.jp/opir/single/index.html  
     本文:http://www.jpma.or.jp/opir/single/syourai.pdf[PDF:5.2MB]

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