☆ コラム

  2012/10/7「国民は本当に橋下大阪市長に期待していいのか?」


      橋下徹大阪市長が先月いよいよ国政進出を決めた。橋下氏はかつて大阪
     府知事選出馬も2万パーセントないといって出馬した人である。政治には
     駆け引きやタイミングがあるので、この程度のウソはたいしたことないの
     かもしれない。しかし、同じウソでも民主党・野田佳彦首相のように、マ
     ニフェストのウソは決して許してはいけないウソである。橋下大阪市長も
     その点を理解しているのかどうかは定かでないが、選ぶ側の私たちが今後
     しっかりと見極めなければならない点である。
      地方分権(地方主権)を唱える橋下市長の意見には私も賛同する。そし
     て、地方分権を力強く推し進めるために、国政へ影響力を持つことも支持
     する。しかし、国政に影響力を持つことと、自らが国政へ進出することと
     は全く次元が異なる。地方分権の目的は、国が持っている権限と財源を地
     方へ移譲させ、地方がぞれぞれ独立意識をもってその地域を治めることに
     ある。しかし、国政に進出となると外交や国防など、地方の権限を超えた
     ところまで責任を持たなければならない。本来、地方分権の趣旨は「地方
     でできることは地方に任せる」であって、国のやるべきことを地方が行う
     ことではない。橋下人気に浮かれている国民もこの点をよくよく考えても
     らいたい。
      維新の会の国政進出については、橋下代表が大阪市長を辞して国会議員
     を目指すというなら話はわかる。しかし、地方の首長と国政政党の党首を
     兼任するといった形は「やってみなければわからない」ではなく、「やる
     べきことではない」と私は考える。今の橋下市長をみていると、いったい
     何がやりたいのかがわからない。国民的な人気を背景に、ただ単に次から
     次へと注目を集めることが目的のようにもみえる。大阪都を実現したいな
     ら、まずはそれに集中し、大阪府民が大阪都になって良かったと思っても
     らうことが、大阪都構想の目的なのではないか。
      また、日本維新の会を本当に日本を変える国政政党に育てないなら、い
     きなり過半数を狙うようなことは避けるべきである。たとえ、橋下人気で
     多くの新人議員が生まれたところで、粗製濫造になるのはみえている。か
     つての小泉チルドレンや小沢ガールズなどを見ればわかる。まずは小さく
     産んで、大きく育てる道を考えるべきであろう。