☆ コラム

  2012/3/28「三陸海岸の状況と政治の役割」


      先週、地震予知研究の関係で三陸海岸を訪れた。岩手県釜石市、大船渡
     市、山田町、陸前高田市、そして、宮城県の気仙沼市にも足を伸ばした。
     いずれの地域でもがれきの山はあったが、復旧への進捗状況は、各地で異
     なっているようにみえた。岩手県内では、津波の被害にあった家屋のほと
     んどが撤去され、コンクリートの基礎だけが残る風景が広がっていた。し
     かし、気仙沼市では、被害にあったままの姿の家屋が多く残されていた。
     山田町のある住民の方が「石巻など宮城県は復旧が遅れている」と話して
     いたが、その言葉通りの状況を目にすることとなった。
      さて、車で道を走っていてしばしば目に飛び込んできたのは、政治家の
     看板(ポスター)であった。関心があるから自然と目に入ってきたとも考
     えられるが、復旧まっただ中のエリアでも議員の看板があったことには、
     ある面感心した。また、「復興」を掲げた議員のポスターも多く目にした。
     道沿いに何枚も連なっているポスター(看板)を見て感じたことは、「自
     らの宣伝を復旧させる前に、国会議員としてやるべきことがあるのでは?」
     といった思いであった。
      宮城県は、復興にかかる国への予算要求がかなり削られ、宮城県知事が
     憤っていた姿をテレビで見たことがある。これについては宮城県側の要求
     が、国を納得させるだけの内容ではなかったのでは?といった批判の声も
     あった。私が見たのは気仙沼市の一部だけであり、それだけで宮城県の復
     旧進捗状況をどうこう言うことはできないが、今はまさに政治の力が求め
     られているときである。国・県・市町村、それぞれの立場で、住民のため
     に今やるべき最優先のことは何か考えて行動していただけたなら有り難い。
     政治家は自分の宣伝(看板)を復旧させる前に、住民の生活を復旧させる
     ことに力を注いで欲しい。また、被災地以外の地域では、がれきの処理も
     含め、地域エゴを排除して考えてもらいたい。そして、地方議員は保身の
     ために地元の人気を優先させるのではなく、政治家として今果たすべき役
     割を考えてもらいたい。