☆ コラム

  2012/2/1「首都圏直下地震M7級、
   
       4年以内に70%の衝撃」

      先月末に「首都圏直下地震M(マグニチュード)7クラス、4年以内の
     発生確率が70%」といった報道がマスコミを賑わせた。これは東京大学
     地震研究所のある研究チームが行った試算である。この研究結果は昨秋に
     開かれた研究発表会でこの結果を報告し、報道もされている。ただそのと
     きは「30年で98%」という記事だった。意味するところは同じであっ
     ても、「30年以内」と「4年以内」では切迫度が大きく異なり、今回の
     騒ぎになったと考えられる。
      「首都直下型M7級/4年内70%」という試算結果については、批判
     的な見解を示す研究者もいる。この試算結果の基となった地震活動度の活
     発化が3.11東日本大震災による余震活動ではないといえるかどうかが大き
     な問題点である。こうした議論は今後も続くであろう。
      さて、ここで考えたいのはこの報道が社会に与えた影響である。報道を
     聞いて地震対策が進んだのであれば、それなりの効果はあったいうことも
     できよう。しかし、いたずらに世間を騒がした面もある。1月25日大地震
     発生説がインターネット上を騒がした。この件について、私のところにも
     また、同僚の地震研究者のところにも問い合わせの電話やメールがあった。
     ネット上ではこうした地震発生のうわさは四六時中出ている。しかし、今
     回は「首都直下型M7級/4年内70%」の報道とたまたま時期が重なっ
     たため、デマに不安を感じてしまう人が多くなってしまったようだ。
      安政年間 (1854年−1860年)には、伊賀上野 (1854, M7.4)、 安政東海
     (1854, M8.4)、安政南海 (1854, M8.4)、豊予海峡 (1854, M7.4)、飛騨
     (1855, M6.8)、宮城県沖 (1855, M7.3)、安政江戸 (1855, M6.9)、安政三
     陸 (1856, M7.7)、芸予 (1857, M7.3)、飛越 (1858, M6.7)、青森県東方
     沖 (1858, M7.3)など、数多くの被害地震が発生している。今の日本も地
     震活動期に入ったとみていいので、いつどこで地震が起きてもおかしくな
     い。「首都直下型M7級/4年内70%」といった地震発生予測や、地震
     発生のうわさ(デマ)に一喜一憂する前に、ニュースのネタにはならない
     地味なことではあるが、備えを進めることが何よりなすべきことである。