☆ コラム

  2011/12/31「国民が見えていない野田内閣

      昨日、民主党で消費税の引き上げ時期と税率を明記した社会保障・税一
     体改革の原案がまとまった。野田首相は、ここにきてやっと国会議員定数
     削減や国家公務員給与削減に全力を挙げることを強調した。「順番が逆」
     と思っているのは私だけではあるまい。2009年の総選挙で民主党が掲げた
     マニフェストに書かれていることを実行せず、書かれていない消費税増税
     を「不退転の決意」で取り組むなど、こんな総理大臣さっさと退場しても
     らいたい。ただ、高齢化の進展を考えれば、消費税増税によって社会保障
     を支える必要性を感じている国民は少なくないかもしれない。しかし、国
     会議員も公務員も血を流さずに、国民だけに負担を強いるようなことを認
     められるほど寛容な国民は少ないに違いない。
      これまでの野田首相の言動・行動を見ていると、自分が国民にどのよう
     に見られているのかわかっていない節がある。そのためにやることが後手
     後手である。例えば、今年の秋に注目を集めた朝霞の公務員宿舎について
     も、首相として一度は建設を容認しているが、世論も思わぬ(予想を超え
     た)反発を受け、凍結を支持している。しかし、これも凍結であって廃止
     ではなかった。また、福島第一原子力発電所の事故についても、野田首相
     は12月16日の記者会見で「原子炉が冷温停止状態に達し、発電所の事故
     そのものは収束に至った」と宣言した。いまだに原子炉内に入ることさえ
     できない状態で“事故収束”と言ってしまうなど、国民を欺く行為である
     と多くの国民はわかっているはずである。それがわからない野田佳彦首相
     は本当に国民が見えていないとしかいいようがない。
      私が野田佳彦首相の選挙区住民であったなら、次の選挙では絶対にこの
     人に一票を投じることはない。それだけでなく、野田佳彦首相の落選運動
     を展開したいぐらいの思いである。国民の期待を集めて政権交代を実現さ
     せた民主党は、いまや詐欺師集団以外の何者でもない。ただ、約束の期間
     はまだ残されている。せめて次の総選挙までに衆議院の定数を80削減さ
     せていたなら、まだ次へのわずかな期待を持ってもいいかもしれない。し
     かし、それすらできずに国民と約束していない消費税増税に命を賭けるな
     ら、次の選挙では野田佳彦首相をはじめ、現職の民主党衆議院議員は国会
     から全員消えて欲しい。
      いったいこの国はなぜおかしくなってしまったのであろうか?問題の本
     質は政治家にあるのではなく、政治家を選ぶ私たち国民・有権者にあるこ
     とを、もう気づかなければ本当にこの国は没落してしまうと感じている。
     問題の本質は選ぶ側の私たち国民の意識にある。地元から総理大臣が出た
     となれば、それだけで喜ぶ地元民は多いであろう。だから、世論でいろい
     ろ言われても地元の星として、また一票を投じてしまうのが人の情け、有
     権者の意識でもある。しかし、こうした有権者の情け、ひいき目がこの国
     を借金大国し、議員・公務員天国にしてしまったことをもう気づいて欲し
     い。契約違反をした議員は、たとえ身内であっても次の選挙では退場させ
     る覚悟を持つことが、今求められていることだと強く感じている。