☆ コラム

  2011/12/4「大阪・橋下劇場の勝利
        
  ー維新の会は本物か?ー

      先月27日に投開票が行われた大阪市長選及び大阪府知事選のダブル選挙
     で、大阪維新の会の橋下・松井の両候補が勝利を収めた。事前の世論調査
     でも両氏の有利が伝えられていたから、予想通りの結果といえる。
      個人的には首長率いる地域政党は独裁につながりかねないため、好まし
     いものとは思っていない。首長と議会は緊張関係を保ちつつ、お互い切磋
     琢磨して地方政治をリードしていくことが理想であると考えている。首長
     主導の地域政党は首長のイエスマン政党であり、自民党政権下時代のオー
     ル与党議会と何ら変わらない。本来ならば、議員主導の地域政党が首長と
     肩を並べて政策論争をするのが理想と考えている。しかし、多くの地方議
     会は、いまだに首長の追認機関から脱することができないでいるのが現実
     である。これは首長と議会議員を共に選挙で選ぶ二元代表制が、もはや正
     常に機能しないことを意味しているのかも知れない。また、首長主導の地
     域政党が各地で誕生しているのは、地方政治も国会のように、議員のなか
     から行政のトップを選ぶといった流れへの布石なのかもしれない。
      さて、大阪のことに話を戻すと、大阪市も大阪府も厳しい財政事情であ
     り、橋下新市長は早速自らの月額給与を3割、退職金を半額カットする条
     例案を、12月議会に提案する意向を明らかにしている。また、大阪府議
     会では議員報酬の3割削減を本年度から実施している。厳しい財政事情を
     鑑み、いずれも自ら範を示した行動である。また、ところは違うが、名古
     屋市の河村たかし市長も自らの給与を年額800万円に引き下げるなど、
     自ら範を示している。こうした姿勢は高く評価したい。そして、国会議員
     にはこうした姿勢を見習って、国民に負担を強いる前にぜひとも自ら範を
     示して欲しい。国会議員ひとりに使われる税金は、1億円以上といわれて
     いる。公務員宿舎の全廃ができないのは、自ら豪華な議員宿舎を持ってい
     るからであろう。まずは政党助成金年間約320億円を全額返納していた
     だきたい。よく政治に金はかかるといわれるが、今世間では厳しい懐事情
     のなかで“やりくり”しているのである。国会議員も特権階級意識を捨て、
     国民同様にやりくりすることを考えて欲しい。
      大阪の動きが果たして国政にまで広がっていくのかどうかはまだ未知数
     ではある。いずれにしても、議員という特権をありがたがる人たちを政治
     の表舞台から退場させないことには、真の改革はできないであろう。市民
     (国民)に負担を強いる前に自ら身を削ることが、これからの政治家には
     求められる。しかし、有権者はそこでダマされてはいけない。有権者に見
     えるところでは自ら身を削る姿勢を示す一方で、見えないところでがっぽ
     りと金を集めている政治家もいる。政治が儲かる商売であっては、国民が
     幸せになるような政治はできないであろう。市民(国民)が幸せになるよ
     うな真の改革を実現させるには、私たちがこうした偽善者(にせ者)を見
     抜く目を養うことも必要なのである。