☆ コラム

  2011/8/18「次の日本のリーダーに求めることは?

      管首相の退陣がやっと現実味を帯び、民主党では次期首相候補に名乗り
     を上げる議員が次々と現れている。マスコミは「大連立」や「復興増税」
     の是非を争点として取り上げているが、これらは目的達成のための手段に
     過ぎない。その前に、この国をどのように立て直していくのか?といった
     大命題(目的)が必要である。それ抜きにして方法論だけを争点としたと
     ころで、震災後の混迷を脱することはできないであろう。
      宮城県は17日、県震災復興計画の最終案を決定した。その中身は、住
     居の高台移転や防潮堤などを組み合わせた多重防御を柱としたものである。
     しかし、財源の手当てなどは国頼みで、計画実現は不透明といえる。また、
     村井知事は「地域の意見を盛り込んだ提案型の計画」を強調しているが、
     福島県が復興ビジョンで示した「脱原発」については、「エネルギー政策
     を担う国が方針を示していない以上、県がうたうべきではない」と、提案
     を避けている。一方では国に提案し、他方では国が方針を示していないこ
     とを理由に提案を避けている。現場(地方)主導で復興をしていく覚悟を
     もっているなら、エネルギー政策についても国に提案して欲しかった。こ
     れでは地方分権、地域主権は夢のまた夢になってしまう。
      私が大学生の頃、原子力発電所は「トイレのないホテル」と言われてい
     た。きれいなホテルで美味しいものをたらふく食べ、美味しいお酒も飲ん
     で、いざトイレに行こうとするとトイレがない。プールの側にいたある人
     が我慢しきれなくなって、排泄してしまった。その排泄物はプールの水を
     汚染し、悪臭は風に乗って方々へ広がった。やや汚い例えではあるが、福
     島第一原発事故は、そのような状態といえる。

      エネルギー政策は、我が国が進むべき道を示す大命題のひとつである。
     この議論を避けて、大連立だとか復興増税だとか言っているようでは、政
     治家とは言えない。これからの日本のリーダーを目指す方々には、是非と
     も日本の将来ビジョンを語ってもらいたい。また、エネルギー政策だけで
     なく、外交も重要な問題である。尖閣諸島や竹島問題など、我が国の主権
     が脅かされていることについても、しっかりとしたビジョンを国民に示し
     て欲しい。
      ちなみに私の個人的な考えは、エネルギー政策は、脱原発、自然エネル
     ギー推進、さらに、それに伴うライフスタイルの変換である。尖閣諸島や
     竹島問題などについては、中国や韓国の実効支配を許さず、国際的に我が
     国の正当性を訴えるところから始めるべきと考える。