☆ コラム

  2009/6/25「副市長を一名にする条例改正は
                適切であったのか」

      23日の市議会定例会本会議において、現行二名の副市長を一名とする
     条例改正が議員提案され、賛成多数で可決された。私は副市長制度が導入
     された平成18年12月議会において、本市人口規模では副市長は一名で
     十分との立場で、副市長を二名と定める条例案に反対した。行政のスリム
     化が叫ばれる現在においては、なおさら一名で十分といえよう。また、両
     毛六市においても、足利市を除く五市で副市長が二名いるのは佐野市だけ
     である。本市よりも人口が多い太田市でも一名である。こうした事実をふ
     まえれば、なおさら副市長一名にすべきであるといえる。
      しかし、今回の議員提案については反対した。なぜならば、大豆生田市
     長がなぜ副市長二名プラス特別秘書複数名の市長スタッフにしたいのかに
     ついて、具体的な説明がまだなされていなかったからである。反対するに
     しても、まずは市長の話を伺ってからというのが、順序というのものでは
     なかろうか。
      6月議会における市長答弁では「行財政改革を強力に押し進めるため」
     というのが副市長二名プラス特別秘書複数名の理由とされた。だが、どの
     ような業務があるのか、誰が携わるのかといった具体的な内容は全く示さ
     れなかったのも事実である。しかし、副市長等の人事については、9月議
     会初日に上程する予定であることが示され、その事前段階として、7月か
     8月には議会にその内容を示したいとしていた。議会としては、まずは、
     その内容を伺ってから、副市長二名の正当性について判断を下すべきでは
     なかったのか、と思っている。

      大豆生田市長は本議会において「お金がないなら知恵を出す」と何度も
     答弁していた。本市よりも人口が多い太田市では副市長一名であるにもか
     かわらず、さまざまな改革が実現おり、市民の期待が大きい大豆生田市長
     にもできないはずはないと思っている。
      例えば、組織改編をして、現在行財政改革を担当している課を廃止し、
     変わりに市長直属の行財政改革プロジェクトチームを作ることでも可能で
     はないかと考えている。民間の力としては、現存する行政改革推進委員会
     の改編で対応できるであろう。今でも11名中9名が民間人だが、場合に
     よっては、ここに市長推薦枠を設けてもいいかもしれない。委員会の発言
     力を強化したいなら、理事会などを設けて、行財政改革プロジェクトチー
     ムの会議には常に参加するようにすればいい。
      これはあくまで一例だが、「お金がないなら知恵を出して」行財政改革
     を強力に押し進めることも可能だと、私は考えている。

      行財政改革において、最も大変な作業になるであろう事業仕分け(行政
     の仕事のムダを洗い出す作業)は、市長答弁によると、民間のシンクタン
     クに委託するとことである。では、副市長二名と特別秘書複数名は何をす
     るのであろうか。事業仕分けされたものを実行していくのであれば、現行
     の組織体系でも可能なのではないかとも思ってしまう。
      行財政改革を断行するにあたっては、まずはどのような業務があるのか
     具体的な内容をはっきりさせる必要がある。次にその業務を遂行するには、
     どのような人材が適任なのかを見極め、そのあとに人選である。副市長二
     名と特別秘書複数名が本当に必要なのかどうかの検証もせずに、ポストあ
     りきの考え方は、それ自体が既にムダを抱えているのではなかろうか。