☆ コラム

  2009/5/25「温室効果ガス排出量取引は
          地球温暖化対策とは別問題」

      二酸化炭素など温室効果ガス排出量削減の中期目標に関する世論調査の
     結果が24日に政府から公表された。2020年時点で1990年比4%
     増〜25%減とする6案のうち、「7%減」が4割強の最多の支持を集め
     た。環境のためなら自己犠牲もやむなしと思う日本国民もいるであろう。

      日本は京都議定書で2008年〜2012年の間、1990年比で6%
     の温室効果ガス削減を掲げている。達成できない場合は、他国から排出権
     を購入して穴埋めしようとしている。これにより1兆円からの資金が海外
     へ流出してしまうともいわれている。それでも環境のためなら、と思う国
     民もいるかもしれない。
      そこで考えていただきたい。地球温暖化問題は一国のみの問題ではなく、
     世界的に取り組まなければ解決できない問題である。日本が排出量の帳尻
     を合わせたところで、日本から排出された温室効果ガスは、1990年比
     増加であることに変わりはない。この約束は既に省エネを進めてきた日本
     にとっては不利なもので、外交上に失敗ともいわれている。
      京都議定書を離脱しても温室効果ガスを削減することはできる。「環境
     のため」といった錦の御旗に惑わされるのではなく、帳面上の数字合わせ
     のためだけに、1兆円からの資金が海外へ流出してしまうことの問題点も
     真剣に考えるべきである。