☆ コラム

  2009/3/23「マニフェスト型の選挙」

      本市においても、次期市長選挙から選挙期間中の文書図画の配布が可能
     になる。これにより、マニフェスト型の選挙になることも期待されるが、
     配布枚数は1万6千枚までと上限があり、また、単に文書図画の配布が可
     能になっただけなので、マニフェスト型の選挙になるかどうかは不透明で
     ある。

      その前に、マニフェストがどの程度理解されているのか、議員であって
     も正しく理解されていない方が見受けられるので、一般市民の方はどの程
     度理解されているのか、不安に感じるところでもある。
      マニフェストとは、これまでの何でもやりますの選挙公約とは異なり、
     財源や実施期間などにも言及し、より具体的に政策を示すものである。こ
     れにより、実行できたかどうかの事後検証が可能となる。約束を守れなか
     った場合は、次の選挙で交代してもらうというように、政策中心の選挙に
     なることが期待される。「行財政改革を断行します」や「・・・を検討し
     ます」といった表現では、何をどこまで達成できたかの検証が難しく、マ
     ニフェストとは呼べない。また、マニフェストは政権公約と訳されること
     が多いが、約束という意味合いから「市民との契約書」ぐらいに考えても
     いいのではないかと思っている。

      国政においては、政党が選挙で勝って与党になれば公約は実行できる。
     一方、地方では首長も議員も選挙によって選ばれる、二元代表制になって
     おり、首長がマニフェストを実現するには議会の議決が必要となる。また、
     議員提案についても、過半数以上の賛同が必要である。このように、国と
     地方では事情が異なるので、マニフェストを「政権公約」という場合は、
     国政において政党が掲げるものを指してのことと考えた方がいい。そのよ
     うな違いから、地方におけるマニフェストをローカル・マニフェストとし
     て区別することもある。
      地方政治では、どんなにすばらしいマニフェストが掲げられたとしても、
     それが実現可能なのかどうか、国政以上にその内容を吟味する必要がある
     といえる。最後はその人が信じられるかどうか、候補者の信頼性に関わっ
     てくるのかもしれない。